💎舞台からパリへ──宝石の光の継承

ファンの皆様からの楽屋暖簾

大和悠河30周年楽屋暖簾
今年の夏は、6月から10月にかけて——
パリがバカンスに入る期間、私はパリから日本に戻って、舞台に立たせていただいていました。
日生劇場のファミリーフェスティバル
「NHKみんなのうたミュージカル ノノとショーと秘密の森」では、
真夏の東京・日生劇場を皮切りに、日本各地を巡り、
最終地・愛媛の松山で、秋の風を感じながら大千秋楽を迎えました。
そしてその夜、羽田へ──
全国の子どもたちの光り輝く瞳、あふれる拍手。
その一つひとつが、私に大きなエネルギーをくれました。
この公演を観た子どもたちは、これからの日本をしっかりと支えていく人になる。
そう信じて、心を込めて舞台に立ち続けてきました。

ファンの皆様からの楽屋暖簾
舞台には、人の心を動かし、未来を変える力がある。
日生劇場、NHK、そして東宝——
この作品に込められた思いを真摯に受けとめながら、
何よりも、今年、私の舞台生活30周年という節目の年に、
この素晴らしい作品に立たせていただいたことへの感謝を胸に刻みました。
劇場の楽屋口が玄関口となり、
羽田国際空港からパリ・シャルル・ド・ゴールへ。
舞台の幕が次のシーンへと続くように、
私は再び、パリへと戻りました。


私はルーヴル美術館の「友の会」の会員で、年間パスポートを持っていて、
ルーヴルは私の日常の通り道のひとつです。
街ではボジョレーの準備が始まり、街のあちらこちらで梯子が掛けられて、冬を迎えるパリがゆっくりと装いを変えようとしていました。

寒いパリに戻って一週間ほどして、ようやくひと息つけるかなと思っていた日曜日の朝。
観光客で賑わおうとしていたルーヴル美術館での“宝石強奪”のニュースが飛び込んできました。
「ルーブル美術館に梯子が掛けられて4分で9点の宝石が盗まれ、そのうち1点を落として8点、総額156億円が消えた」——
その報道を見つめながら、私は思いました。
宝石は、私には単なる装飾ではなく、芸術と魂が一体となる“美の頂”の光であり、ともに歩む仲間であり、時に宗教画のような崇高な静けさをたたえる“永遠の象徴”なのです。


フランス政府・文化省が「国家文化遺産への攻撃」と位置づけたこの事件。
芸術も、歴史も、時に危うく、そして眩しい。
私はこの出来事を知ったとき、
パリは永遠に“世界一”の舞台であり続ける街だと、改めて深く感じました。
この街がいまもなお「美と挑戦の都」であることを、
世界に知らしめた瞬間のように——。

──この光と挑戦の物語は、
これからも私の人生の中で生き続け、新たな物語の幕開けを予感させてくれるのです。
つづく。
⸻大和悠河
文◇大和悠河 写真提供:(株)GOOGA

 
	