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情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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Web版シバイのミカタ(2025年11月)

2025年11月より、えんぶ本誌に「シバイのミカタ」が復活!
本誌に載せきれなかった公演のご紹介もこちらに掲載いたします。

Bunkamura Production 2025
『アリババ』『愛の乞食』

作◇唐十郎 脚色・演出◇金守珍 出演◇安田章大 壮一帆 伊東蒼 彦摩呂 福田転球 金守珍 温水洋一 伊原剛志 風間杜夫 他

2025/8/31〜9/21◎世田谷パブリックシアター 福岡、大阪、愛知でも上演

心身を生きたまま貫く、担い手たちの芝居


人間が放出するエネルギーが、匂いや色や響きや手触りをもって、身に迫り刺さり貫かれる。そんな体感が齎され、現実と虚構の境界線を失い、それでいて己が生きていることをこれでもかと思い知る。約60年前に書かれた唐十郎の初期作品2作品連続上演。主演は、2025年夏に花園神社でのテント公演『愛の乞食』『アリババ』でも主演を務めた安田章大。次世代へ唐戯曲を伝える担い手として金守珍より絶大な信頼を得ている役者である。その彼の生きたエネルギー迸る芝居が、五感にダイレクトに届く。伊東蒼演じる万寿シャゲの、時代と場所が交錯し魂が錯乱する中で、恋と愛に生きる少女の健気でいて逞しく狂気的でいて美しい姿も圧巻であった。()

writer/日沼暁美

mintons
『ともだちが来た』

作◇鈴江俊郎 演出◇小川結子 出演◇宮川飛鳥 ホリユウキ

2025/9/5・6◎SCOOL

「苦痛」を感じるという「特権」


「文化系によるストリートの演劇」mintonsは、俳優ホリユウキさんのソロプロジェクト。会場のscoolは、2025年もっともエッジな作品が上演される場の一つ。ホリさん宮川飛鳥さん出演、小川結子さん演出、と現在小劇場を中心に活躍している安心のメンバー。そして鈴江俊郎さんの戯曲『ともだちが来た』の上演となれば、約束された演劇になることは分かっていました。テキストに内包される不確かさが、俳優たちの演技によって、関係の色合いの移り変わりとして届いてきます。それは苦痛であったり、バカバカしさだったり、色気であったり、孤独であったりする。それは、生者だけの特権、たぶん。この日は溺れるような雨でした。

writer/黒澤世莉 https://serikurosawa.com

メイシアター開館40周年記念
『MOTHER-君わらひたまふことなかれ』

脚本◇マキノノゾミ 演出◇内藤裕敬(南河内万歳一座) 出演◇キムラ緑子 升毅 や乃えいじ(PM/飛ぶ教室) 平井久美子 坂口修一 國藤剛志(SEVENSENS)  他

9/10〜14◎吹田市文化会館メイシアター 中ホール

メイシアター開館40周年記念
『MOTHER
-君わらひたまふことなかれ』
撮影◇植村耕司

関西演劇が生んだスターたちの文学群像芝居


90年代の関西小劇場ブームの最中に開館した、大阪府吹田市の公立劇場・メイシアター。そのシーンの中心にいた、マキノノゾミ×内藤裕敬×キムラ緑子×升毅がタッグを組む、貴重な舞台を実現させた。与謝野鉄幹・晶子夫妻の自宅を訪れる男女の会話を通じて、当時の日本の文学・社会情勢の激動ぶりと、夫婦関係の変化を同時に見せていく。文学者として名声を高めながらも、良き妻・良き母でありたいと願う晶子の葛藤を、激しくも愛らしく見せるキムラが圧巻。不甲斐なさが一周回って笑ってしまう、升の演技のコンビネーションも見事だ。ただの会話でも俳優たちが何かと動き回り、止まらないうねりを舞台上に作り出す、内藤演出の特長を見直す機会にもなった。

writer/吉永美和子 https://note.com/yoshine_a

かるがも団地
『意味なしサチコ、三度目の朝』(再演)

作・演出◇藤田恭輔 出演◇波多野伶奈 村上弦 北林佑基 大西薫 板場充樹 守谷花梨 上田茉衣子 長井健一 フジイヨウヘイ 助川紗和子(声の出演) 藤田恭輔 宮野風紗音 古戸森陽乃

2025/8/8〜11◎吉祥寺シアター

撮影◇月館森

秋田弁で語る、親友女子へのクソデカ感情


2021年に初演された、劇団の代表作を初演と同キャストで再演した本作は、秋田県能代市を舞台に、ほぼ全編が秋田弁で繰り広げられる人生讃歌。実家の団地取り壊しを機に、久方ぶりに帰省した幸恵は、何も言わず20歳でこの世を去った、幼馴染みで親友のサチコを思い出す。カットバックされる二人の楽しげな記憶と、衰退する地方の町の空気。行き場を失って右往左往する幸恵の姿に、観客は、誰かを失うことは、同時に、その誰かと一緒にいるときの自分を失うことでもあるのだと、思い知らされる。主人公幸恵を演じる波多野伶奈と、サチコ役・村上弦の、カラッとしたやりとりの間から、不意に立ち上る互いへのクソデカな感情にぶん殴られて、呆然とした。

writer/イトウシンタロウ http://nice-stalker.com(イトウシンタロウ主宰団体)

ホリプロ
ミュージカル『ある男』

原作◇平野啓一郎 音楽◇ジェイソン・ハウランド 脚本・演出◇瀬戸山美咲 歌詞◇高橋知伽江 出演◇浦井健治 小池徹平 濱田めぐみ ソニン 上原理生 上川一哉 知念里奈 鹿賀丈史 他

8/4〜17日◎東京建物 Brillia HALL

ミュージカル『ある男』原作◇平野啓一郎『ある男』(文春文庫/コルク)
撮影◇田中亜紀

新たなオリジナルミュージカル鮮やかに誕生


不慮の事故で急逝した夫の名前も経歴も全てが別人のものだった、という衝撃の事実から、人を“その人”たらしめるものは何かを問う平野啓一郎の傑作小説初のミュージカル化。原作に深い敬意を払う脚本・演出の瀬戸山美咲以下強力なスタッフ陣の英知が結集した舞台は、複雑に絡み合う人間模様を、浦井健治、小池徹平をはじめとした強力なキャスト陣が動くことで明確に視覚化。心の声をジェイソン・ハウランドの多彩な楽曲に乗せた歌で伝えるミュージカルの手法も、ミステリー要素を含む作品にベストマッチ。未来に希望を感じさせた美しい終幕は忘れ難く、長く上演を重ねて欲しい文学の香りとエンターティメントを両立したオリジナルミュージカルに仕上がった。

writer/橘涼香

https://horipro-stage.jp/(ホリプロ公式HP)

ろりえ
『ろりえの暴力』

脚本・演出◇奥山雄太 出演◇小川麻琴 安藤理樹 岩田恵里 尾倉ケント 小見美幸 加藤夏子 架乃ゆら 三遊亭仁馬 鈴木研 仲美海 七海ティナ 西美歌 他


2025/8/27~9/7◎新宿シアタートップス

ろりえ『ろりえの暴力』
撮影◇あかさかくみ

ギャルがハモネプ?! 令和の青春譚!


新宿歌舞伎町にある中学校を、暴力で支配する7人のギャル。そこに現れた新任教師が、暴力ではなく音楽の力で7人をなんとかする! 音楽の力に魅せられたギャルたちがまっすぐに青春の道へと突き進んでいく。そこで度々起こる「省略」。このワードが後半でぐっと刺さってくる。コロナ禍で失われた何か、思い通りではない現実、それでもあの頃の青春はいつだってキラキラしていて、観ているこちらの心を熱くさせてくれた。(ひろ)

writer/ひろ

道産子男闘呼倶楽部
『きのう下田のハーバーライトで』

作・演出◇蓬莱竜太 出演◇津村知与支 犬飼淳治

2025/9/23〜28◎浅草九劇、10/3〜5◎札幌公演シアターZOO

撮影◇金子裕美

漂う哀愁が切なくさせる男二人芝居


2023年初演作品の再演。中年男二人芝居、簡素なセット、生涯やれる名作、とのオーダーで書かれた作品とのこと。実演販売の販売員とそのマネージャー。舞台には机ひとつと椅子が二脚。場面は小さなモーテルから始まり、青春を過ごした学校、TVの収録現場や明け方の歌舞伎町と移り変わりながら、【出会わなければ人生は違っていたかもしれない】誰もが一度は抱いたことのあるような思いを巡らせ回想していく。笑える場面が多いも、どこか漂う中年の哀愁がじわりと切ない。劇中2人の関係性そのままに、息の合った演技を見せる俳優2人の強い絆を感じる作品だった。

writer/nagisa @g_girl_nagisa

ホリプロ
『ジェイミー』

作◇トム・マックレー 音楽◇ダン・ギレスピー・セルズ 日本版演出・振付◇ジェフリー・ペイジ 出演◇髙橋颯 三浦宏規 石川禅 安蘭けい 他

2025/7/9~8/11◎東京、大阪、愛知

21世紀の16歳が夢見る「ドラァグクイーン」


ロンドンから遠く離れた町でドラァグクイーンを夢見る16歳の少年・ジェイミーが、夢を応援してくれる母親や、伝説のドラァグクイーンだったヒューゴの助けを借りて、自分は何になりたいのか向き合い、ついに夢のステージに立つ……ここで終幕となりそうだが、これはまだ1幕の終わりである。

2幕では、子を思い嘘をついていた母親との衝突や、学校からの圧力、同級生たちとの関わりにより、ジェイミーが自分だけでなく周りや現実と向き合ってさらに成長する様子を描く。傷ついたジェイミーを励ますヒューゴも多くの傷を負っていることも垣間見える。

2幕を経ることで、地に足のついた未来へと向かうジェイミーを心から応援できるのが良い。

writer/ナカママキ

舞台『日本三國』

原作◇松木いっか「日本三國」(小学館「マンガワン」連載) 脚本・演出◇西田大輔 出演◇橋本祥平ほか

2025/7/25〜8/3◎シアターH

あなたがくれた言葉を胸に、この道を行く


観劇の予習としてコミックを手にとったところ、あまりの面白さにページをめくる手が止められなかった。本作の主人公、三角青輝も止まらない。荒廃し、三国に分かれて争う近未来の日本で、彼は国の再統一を目指す。橋本祥平演じる青輝の、紡ぐ言葉の一つ一つの速度と重みが心地よい。勇敢さと切なさが同居したテーマ曲「これから」に乗せて、キャストがステージ上を駆け回るオープニングの段階で、気がつけば泣いていた。一癖も二癖もある登場人物たちが、ある時は怒濤の台詞の応酬で、またある時は武器を手にぶつかり合う。原作の名シーンが目の前で繰り広げられる感動はもちろん、舞台版ならではの構成の巧みさに度肝を抜かれた。

writer/クロエ https://note.com/kuroe3chi

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