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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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中山優馬インタビュー

〝ドラマティック〟というより〝ドラマ的〟な舞台

数々の映画やドラマの脚本を手がけ、現代的なテーマを描く作品で高い評価を得ている藤井清美による、お仕事コメディシリーズの第3弾『スイートホーム ビターホーム』。「大阪松竹座さよなら公演」として上演される本作は、「信頼とは何か」をテーマに、現代人のリアルな本音と葛藤を描く。主人公の努力良介を演じるのは中山優馬。シリーズ初出演となる中山が、笑って泣けるこの物語にどう挑むのか、話を聞いた。

平等社会でバランスをとって生きる人たち

──出演が決まった際のコメントで「これまで現代劇にはあまり出演する機会がなかった」とお話されていましたが、本作の脚本を最初に読んだときの感想を教えてください。 

 現代の悩みや日常の面白さを描いた作品だと思います。平等社会の中でバランスをとって生きている人たちの抱える悩みが散りばめられていて、〝ドラマティック〟というよりは〝ドラマ的〟な印象を受けました。

──ハウスメーカーの営業マンたちの姿を描いた物語ですが、中山さんにはあまり馴染みのない世界なのかなと思います。そうした中でも、本作に共感できるところや理解できるところは多かったですか?

 理解まではいかないですが、仕事に対するジレンマはどの仕事にも共通しているのかなと思います。僕が演じる良介は、良い仕事をしたいという気持ちを常に持っています。お客さんが信頼して家を買ってくれるのだから、良い条件で家を売りたいし、幸せになってほしい。でも、会社の利益のことも考えなくてはいけない。幸せを売ったはずなのに、家庭内別居していたり、子どもが悲しい思いをするという現実もある。そんな現実と理想に挟まれて苦しい思いをしています。それは僕たちの仕事も同じことかなと。まず、この演劇も12月6日には幕が開くので、その期限内で作品を仕上げなくてはいけない。もっと良いものを作りたいから開幕を伸ばしてくれと言えたらいいですが、それはもちろんできない。期限を守るのはビジネスの基本ですよね。そうした与えられた中で最良の仕事をしたいという思いは共感できます。

──良介という人物はどのように作っていきたいですか?

 良介は、不器用で真面目で、元パートナーともしっかりしたお付き合いをしていた男性なんだろうと思います。弱さと信念の強さとプライドを絶妙なバランスで持っているキャラクターです。ただ、演じる上では、そこだけで作り込んでしまうと頭でっかちになってしまいます。もっと多面的な要素を持った良介でいたいと思うので、稽古をする中で柔軟に作っていきたいです。この物語は特にチームプレイが大事だと思うので、まずは皆さんと作っていくという気持ちを大事にしたいです。稽古場でもいろいろな役者さんと過ごして、稽古を積み重ねる中で見えてくるものがあるように思います。

──今回、謎多きキーパーソンの山田を演じる佐藤アツヒロさんとは13年ぶりの共演だそうですね。

 そうなんです。しかも、こうしてしっかりとお芝居させていただくのは初めてです。13年前は少年隊さんが長期にわたって公演されていた『PLAYZONE』という作品でご一緒させていただいたのですが、歌って踊るアツヒロさんの近くに居させていただいていたんです。そういう意味でも、今回、お芝居でご一緒させていただけるのが楽しみですし、何よりずっとお世話になっていた先輩がカンパニーにいるということがすごく心強いです。伸び伸びとやらせていただこうと思います。アツヒロさんが演じる謎の男は、きっとこの作品にスパイスを加えてくれる役どころになると思うので、それもまた楽しみです。

──久々の共演、楽しみです! ところで、「大阪松竹座さよなら公演」でもある本作ですが、中山さんは大阪松竹座とは深い関わりがありますよね。

 本当にたくさんの思い出があります。12、13歳の頃からずっと立たせていただいていたので、僕を育ててくれた劇場だと思っています。僕にとってはもう「自分の家」みたいなもので、松竹座の舞台に立つと安心しますし、すごく大切な場所です。その歴史に幕を閉じるときにこうして舞台を任されるのは本当に幸せなことだと思うので、感謝を胸にステージに立ちたいです。いつかまた「松竹座」として復活することを願っています。

見たことがない景色をたくさん見られた1年

──この公演は12月6日から公演がスタートし、29日の大千穐楽まで大阪、石川、東京で上演されます。年末の公演ということで、ぜひ2025年を振り返っていただけたらと思います。中山さんにとって今年はどのような1年でしたか?

 2025年は自分の人生の中でも重要な1年だったと思います。大きな会社からの独立もありましたし、主演舞台もこの作品で4作となります。作・演出・出演の作品も上演させていただき、ライブもやりました。なんだか久しぶりに1年が長かったです(笑)。独立したこともあって、毎日が、とにかく新鮮でした。

──その新鮮さというのは?

 僕たちが舞台に出演するときは、入学と卒業が繰り返されているような感覚なんですよ。入学して、新たな仲間ができて、そこを卒業してまた違うところに入学する。それが3カ月ごとにやってくるというような。そうした新たな作品に出会うという意味での新鮮さもありましたし、独立したことによってお仕事の幅が広がり、これまでになかったお仕事のご依頼をいただくことも増えました。自分で台本を書いて興行するというのもこれまでになかったことで、見たことがない景色をたくさん見させていただきました。

——そうした活動の中で、ご自身も得られるものが大きかったのではないですか?

 僕は人に恵まれているなと改めて感じました。独立する前にはやはり不安もありましたが、でも、いざ勇気を持って一歩踏み出してみたら、ちょっと助けてあげようと思ってくださる人がたくさんいて。それは扉を開けてみるまで分からなかったことですが、開けてみたらたくさんの方たちに出会えました。感謝の気持ちでいっぱいです。

——そんな2025年を経て、2026年はどんな1年にしたいですか?

 とにかく健康に、風邪を引かずに過ごしたいですね。まずはライブからスタートしますが、ミュージカルの出演も決まっていますし、新たなことにまた挑戦できたらと思っています。せっかく何でもできる環境があるので、やったことがないことは全てやろうと思っています。呼んでくださるところがあるならどこにでも飛んで行きます!(笑)

(このインタビューは「えんぶ12月号」より転載)

プロフィール

なかやまゆうま○大阪府生まれ。2006年から芸能活動をはじめ、08年ドラマ「バッテリー」にて初主演で俳優デビュー。12年に歌手としてソロデビュー。15年『ドリアン・グレイの肖像』にて舞台単独初主演。最近の舞台作品は、『Endless SHOCK』、『血の婚礼』、『大誘拐』〜四人で大スペクタクル〜、『いただきます! 〜歌舞伎町伝説〜』、『YUMA NAKAYAMA ONE MAN’25 -ReTRY-』、『あゝ同期の桜』など。

構成◇宮田華子 文◇嶋田真己 撮影◇松山仁 ヘアメイク◇JOUER  スタイリング◇柴田拡美(Creative GUILD) 

公演情報

『スイートホーム ビターホーム』

作・演出◇藤井清美出演◇中山優馬 秋元才加 藤野涼子 井上拓哉 舞羽美海 瀬戸カトリーヌ 駿河太郎 佐藤アツヒロ

12/6〜14◎大阪松竹座
〈問い合わせ〉チケットホン松竹(10:00-17:00) 0570-000-489 チケットWeb松竹(24時間受付)12/20◎北國新聞赤羽ホール12/26〜29◎シアターH

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