
人間性とチームワークで『ALTAR BOYZ』の世界を伝えたい!
様々なミュージカルを輩出してきたショービジネス激戦区、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで、ベストオブ・オフブロードウェイ賞を受賞した『ALTAR BOYZ』。神と司祭に仕えるアルターボーイズたちが、福音の歌とダンスで愛を説き、観客たちの魂を浄化する、客席を巻き込んだライブ感に溢れた傑作ミュージカルだ。
今回で9回目の上演となる『ALTAR BOYZ』では「Team GOLD」「Team SPARK」「Team SAPPHIRE」と名付けられた3チーム制での上演が決定し、様々な組み合わせの妙が楽しめる。
そんななか、唯一前回2023年公演から同じメンバーが集結した「Team SPARK」で、リーダーのマシューを演じる鍵本輝と、アブラハムを演じる和田泰右が濃いチームワークを誇る互いの絆や、作品の魅力を語り合ってくれた。
ガッチリとしたひとつのチームが創れた
──Team SPARK再結集ですね!
鍵本 やっとこの日が来たという気持ちです。僕らも待ち望んでいましたし、2025年上演が発表された時の『ALTAR BOYZ』ファンである「ALTAR GIRLS」の皆さんの反応がとても熱くて、待っていて下さったんだなとすごく嬉しかったです。
和田 今回も3チームでの上演ですが、前回から全く同じメンバーなのは僕たちTeam SPARKだけなんです。しかも僕らは昨年このメンバーで『Blue Spark Show』を立ち上げた上での今回なので、テンションの上がり方が半端ないです。人間性とチームワークで勝負するぞ!という気持ちです。
──キャストが入れ替わることにももちろん新鮮な楽しさがありますが、Teamが固まっている醍醐味も大きいですが、前回公演で特に印象に残っていることは?
鍵本 僕は前回初参加だったので、はじめはみんなについていくのに必死でしたから、駆け抜けたという印象が強いです。特に『ALTAR BOYZ』は台本に添ったパフォーマンスももちろんしっかり準備して臨むのですが、『ALTAR BOYZ』はこういうものなんだという作品の本質に触れられたのは、やっぱり舞台に行ってからだったので。
和田 うん、でもね、僕は5回目で、これまで色々なTeamでやってきたんだけど、良い意味であっくん(鍵本)だけがはじめてという感覚ではなかったと思う。このメンバーで創る『ALTAR BOYZ』はみんなはじめてなわけだから、全員が同じスタートラインに立って『ALTAR BOYZ』ってどういうものなの?というところからきちんとコミュニケーションを取って作品に向き合っていけた。決してこれまでのTeamとの比較ではないんだけど、それでもすごくガッチリしたひとつのTeamが創れたな、という手応えがあったからこそ「これで終わりたくない、このメンバーで何かやりたい」って機運が盛り上がって『Blue Spark Show』にまで発展したんだし。
鍵本 そうだね。やっぱり今日こうして泰ちゃんに会えた瞬間に嬉しくなるし、普段の活動は個々それぞれだけど、パッと集まったらあの時の感覚にスッとなれるメンバー同士なのが、僕らの強みかなと思います。
二つ目のドアを開けた先に沼がある
──いま『ALTAR BOYZ』の本質はこういうものだ、というお話もありましたが、その部分をもう少し言葉にしていただくとすると?
鍵本 僕は世の中にこんなミュージカルがあるんだ、というのが自然に感じたことでした。カテゴリーとしてはミュージカルなんですが、お客様の盛り上がりは完全にLIVEで、客席が一体になって「参加してなんぼ」みたいな、みんなで創っているんだという感覚に痺れました。ちょっとしたカルチャーショックだったし、ミュージカルとLIVEの絶妙なラインを行き来している、斬新な作品です。
和田 『ALTAR BOYZ』って演者もお客様も作品に接した時に己と向き合う瞬間が絶対にあるんですよ。ちょっと耳が痛いというか、自分の胸に手を当てて考えると、後ろめたさが芽生えるところが。でもそれを昇華してくれるのがLIVEでの歌やダンスなので、だからこの形式なんだと思います。人が生きていく上での本質に迫っている、伝えたいものがきちんと根底にあるなと、回を重ねるごとに感じますね。
──まさに魂の浄化だと。
和田 そうです。すごく楽しい作品だね!という奥に実はもうひとつドアがあって、そこを開けると、とても深いところに行っているので。
鍵本 あぁ、すごくわかる。だからこそ皆さんに愛されてこれだけ再演が続いているんだと思う。二つ目のドアを開けた先に沼があるから。
こんなに純粋で真っ直ぐな作品はない
──そうしたTeamとしても深い絆を紡いでいるお互いの魅力をどう感じていますか?
鍵本 泰ちゃんの魅力はありのままなんですよ。全てに素直だし表裏がない。同じ業界にいるとやっぱりお互いライバルだったりもしますから、どうしても本音と建て前という部分は出てくると思うんですが、それを全く感じないし、普通に親しい友人として接してくれる。これはメンバー全員そう感じていると思いますが、本当に大好きです。
和田 僕に言ってくれたことに通じるなと思ったんですが、あっくんの素敵さは誰に対しても平等に接する人間味です。礼儀はもちろん必要ですが、相手によって態度がガラッと変わる人ってキツいんだけど、あっくんにはそれが一切なくて、誰に対してもほんの小さなことにでも「ありがとう」って言える。その真っ白さが一番の魅力じゃないかなと思います。
──素敵な交流が伝わってますます舞台が楽しみですが、是非『ALTAR BOYZ』を待たれている方たちにメッセージを。
鍵本 僕らにはTeam SPARKとして培ってきたものがあるので、熟練されたスキルを持った人たちの集まりであるTeam GOLD 、フレッシュな Team SAPPHIRE のみんな、それぞれにとても大きな魅力がありますが、やっぱり「Team SPARKがどこよりもいいね!」と言ってもらえるように、そこを目指して頑張りたいと思います。
和田 僕の芸能人生のなかでも、『ALTAR BOYZ』は特別で、こんなに純粋で真っ直ぐな作品ってないと思っています。その魅力を一人でも多くの人に届けたいですし、舞台を観たことがない人にも劇場に来ていただきという気持ちは僕ら世代の目標で、その入口として最適の作品でもあると思います。今回9回目の上演にして初めて劇場が有楽町のI’M A SHOW (アイマショウ)に変わりますので、是非多くの方に足を運んでいただきたいです。そしてTeam SPARKは今回も顔面偏差値王座で攻めていきます!
(このインタビューは「えんぶ12月号」より転載)
プロフィール
かぎもとあきら〇奈良県出身。3人組ダンスボーカルユニットLeadのメンバー。2002年にシングル「真夏のMagic」でデビュー。2025年9月には初のコンセプトミニアルバム「REPRISE」をリリース。音楽活動以外にもバラエティ・ドラマ・舞台と幅広く活躍中。主な出演作にミュージカル『インサイド・ウィリアム』『チェーザレ 破壊の創造者』『天使について~堕落天使編~』『イノサンmusicale』『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』など。
わだたいすけ〇14歳よりHIPHOPを始め、数々のコンテストで受賞。2009年ミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン 仁王雅治役で人気を得る。10年、DIAMOND☆DOGS加入。その活動の傍ら、声優・アーティストとしても活躍。19年よりTAISUKE WADA Solo Projectを始動し、自身のプロデュース公演開催など積極的に活動を続けている。主な出演にミュージカル『シンデレラストーリー』『SAMBA NIGHT 2022』ミュージカル『アルジャーノンに花束を』『ALTAR BOYZ』シリーズ、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageシリーズなど。
インタビュ−◇橘涼香 撮影◇中村嘉昭




