高橋いさをの「昭和事件シリーズ」4作品を、同時期に2つの劇場で連続上演！

2023-10-18

高橋いさをを中心とする演劇ユニット「ISAWO BOOKSTORE」と、舞台の企画・運営を手掛ける「オフィスリコ」、俳優の田島亮が主宰する「Acting Space」が連携して、昭和に起きた大事件を元に書かれた高橋いさをの戯曲4作品を同時期に連続上演する。

高橋いさをは1982年に劇団ショーマを結成し、昭和・平成・令和と劇作家・演出家として日本の演劇界を牽引。2018年の劇団解散後は、ISAWO BOOKSTOREを旗揚げし、自らの作・演出作品を上演している。

今回上演されるのは以下の新作を含めた4作品▼

『獄窓の雪─帝銀事件─』
2020年12月、新宿サンモールスタジオにて、ISAWO BOOKSTORE vol.5として上演。
1948年に起きた「帝銀事件」の目撃者である女子銀行員を主人公に、犯人とされた画家と周辺の人々の苦悩と葛藤を描いた作品。

『好男子の行方─三億円事件─』
2018年12月、オメガ東京にて、ISAWO BOOKSTORE vol.1として上演。
1968年に起きた「三億円事件」の被害にあった銀行の支店長室を舞台に、事件の時に銀行の人々はいかにして事態に対応したのかを描いた作品。

『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』
2019年12月、オメガ東京にて、ISAWO BOOKSTORE vol.4として上演。
1963年に起きた「吉展ちゃん誘拐事件」を題材に、犯人とそのきょうだいたちの葛藤と苦悩を描いた作品。

『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』
今回、ISAWO BOOKSTORE vol.7として上演される新作。
1986年に起きた「トリカブト殺人事件」を題材に、事件を追うライター、死んだ妻の解剖を担当した医師ら、犯人の周囲の人々の視点で描いた作品。

『獄窓の雪─帝銀事件─』と新作『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』で演出を務める高橋いさをよりコメントが届いた。

この度、Acting Space の田島亮さんとオフィスリコと連携して、「昭和大事件シリーズ」の一挙上演を企画しました。上演する作品は、年代順に『獄窓の雪─帝銀事件─』『夜明け前 ─吉展ちゃん誘拐事件─』『好男子の行方─三億円事件─』『あなたはわたしに死を与えた ─トリカブト殺人事件─』の四本です。若い人にはピンと来ない事件かもしれませんが、いずれも昭和時代に起こり、たくさんの人々の関心を集めた有名な事件です。

わたしがこれらの事件に興味を持ったのは、事件そのものへの興味もさることながら、その事件の周辺にいた人々への興味でした。必ずしも事件の当事者ではない彼らは、その時、何を思い、どのように行動したのか？歴史的事実は事実として記録されますが、そのような事件の周辺にいた人々に関する事柄は、なかなか記録として残りません。そんな歴史に埋もれた部分を想像力で捕い、捉えることはとても楽しい作業です。そういう意味では、これらの作品群は、世に知られた有名事件を別の視点で捉え直す「アナザーストーリー」を作り出す試みです。

本作の連続上演により、すでに忘れ去られつつあるこれら昭和時代の四つの事件が、新しい相貌を持って今を生きる皆さんの前に現れることを願っています。

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今回、『好男子の行方─三億円事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』の演出を務め、『獄窓の雪─帝銀事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』に出演する田島亮からのコメントはこちら。

唐突ですが、僕はサグラダファミリアという建築物が大好きです。
僕が出会った頃はまだ「永遠に完成しないかも」と言われていました。
ガウディという天才が、現世では完成しえない天才的な設計図を描き、
彼の後を継ぐ天才や労働者たちが目を輝かせて完成への道のりを紡いできました。
僕は演劇とはまさにそういう類の芸術だと思っています。

尊敬する諸先輩方から何を学び、そして何を残していくのか。
その演劇のリレーの中に、隅っこでいいから、僕も立ち会いたい。

この度、僕に演劇を教えてくれた蜷川幸雄さんの劇団にいた銀ゲンタくんからオファーを頂き、俳優養成所時代に使用していたテキストの原作者である高橋いさをさんとの共作を企画し、僕の尊敬する 29 人の俳優に集まっていただきました。
本当に素晴らしい俳優さんたちで、稽古をしていて感動することばかりです。

皆で一生懸命、演劇の井戸を掘ってみます。
僕自身も数年振りに舞台の演出に挑戦致します。
このような無謀とも言える企画は、人生の中で最初で最後であるかのように思います。悔いのないよう尽力します。

「昭和の大事件を風化させない」という大義と同じくらい、
この「演劇実験」に意義があると思っております。
全力で掘りますので、是非お立ち会いくださいませ。

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