情報☆キックコンテンツ一覧
お得なチケット販売中!
情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
広告掲載のお問い合わせ

大和悠河のパリから贈るエトワール紀行 ~ロマンチックに紡ぐ魔法~②

大和悠河のパリから贈るエトワール紀行 ~ロマンチックに紡ぐ魔法~

宝塚トップスター・女優・大和悠河 が紡ぐ、伝説の都からの最新アートのトキメキとカンゲキのクロニクル。
『えんぶ☆TOWN』連載では、大和悠河が石畳のパリで感じた街の鼓動や、心温まる出会いから得た感動、その感動から生まれるインスピレーションで、あなたの日常に新たな光を注ぐことでしょう。
大和悠河の感性と情熱が生み出す独自の美学―既成概念を超える『C調と遊び心』―が、未知なる芸術の航路へとあなたをご招待します。

「こんなファンテーヌ、見たことない。」~夢を見ることさえ許されなかった人々

それは、偶然の出会いでした。
ちょうど日本では東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』の新シーズンが幕を開けようとしていた頃、私はパリ、シャトレ劇場にいました。
フランス語による新演出の『レ・ミゼラブル』を観劇できることに、胸を躍らせていたのです。

けれど、そこで私が出会った『レ・ミゼラブル』は、今まで私が思い描いていた舞台とはまったく違うものでした。
それは、私の想像を遥かに超える、予想もしていなかった驚きと感動に満ちた体験だったのです。
まるで、作品の深い地層にひっそりと眠っていた“まだ語られていない新たな解釈の物語”が、そっと語りかけてくるような──。
19世紀のパリを生きぬいた女性・ファンテーヌが、時代を越えて「母」の象徴として立ち上がってきたのです。

「こんなファンテーヌ、見たことない!」

最初の音が奏でられた瞬間、オーケストラの躍動感は期待通りでした。
それは、ニューヨークでもロンドンでもない、“パリ”の響き。
パリの空気を含んだ、しなやかで熱のこもった音楽が、劇場全体を包み込みました。

舞台に現れたファンテーヌは、黒人の女性でした。
それは想像をしていなかったキャスティング。
けれどその事実が、時代や人種を越えた「物語の拡がり」となって、私の中で深く息づく公演となったのです。

そして、彼女が第一声を発したその瞬間、劇場の空気が明らかに変わりました。
そこにいたのは、もはや“19世紀のフランスの女工”ではなく、名前すら持たない、“夢を奪われた人々”を代表する祈りの存在だったのです。

彼女の「夢やぶれて」は、まるでジョージ・ガーシュウィンの『Summertime』を思わせるようなブルースの香りと、黒人霊歌(スピリチュアル)の祈りを宿していました。
それは、歌という表現を超えた、“抑圧された記憶”が音楽となって立ち上がる瞬間。
彼女の声は、まさに「歴史を背負った声」として舞台の空気を一変させ、『レ・ミゼラブル』という作品に眠っていた可能性を目覚めさせたのです。

1幕が終わった後、私は彼女が代役だったと知りました。
けれど、その存在感は明らかに代役の域を超えていました。

舞台は、まさに一公演限りの奇跡。
このファンテーヌが奏でた「夢やぶれて」は、「夢を見ることすら許されなかった人々」の記憶と祈りを背負いながら紡がれた一曲として、私の胸に深く刻まれました。

そして彼女が1幕で亡くなったあとも、その声と存在感は、静かに、しかし確かに2幕の舞台にも残り続けていたのです。
そして今もなお――
その歌声は、私の中で「レ・ミゼラブル」、そしてファンテーヌという祈りの声として、力強く鳴り響き続けています。

夢とロマンの宝塚、そして“奪われた夢”の祈り

宝塚は110年の歴史を通じて、夢とロマンを届けてきました。
私自身、トップスターとして舞台に立ち、「ときめき」や「夢」という光を観客の皆さまに届けることを、心から大切にしてきました。
そのことに誇りを持っています。宝塚の夢は、舞台に生きる私の誇りです。

けれど、あのシャトレ劇場で出会ったファンテーヌの姿は、まったく異なる地平に立っていました。
それは、「夢を見ることすら許されなかった人々」の声。
彼女の歌は、奪われた夢の記憶を取り戻そうとする、静かで、しかし燃えるような祈りだったのです。

ときめく夢の世界と、奪われた夢を歌い継ぐ声――。
この両極にある“夢”の姿を舞台で届けられること、そこにこそ舞台芸術の真価がある。
そう感じた瞬間でした。

そしてその公演で、ファンテーヌに深く心を揺さぶられた私に、さらなる“驚き”が待っていたのです。

それは──

え?ジャン・バルジャン?何がおきたの??

──二幕の幕が上がった瞬間、劇場がざわめいたのです。

(つづく)

【文◇大和悠河 写真提供:(株)GOOGA】

活動予定

映画『怪盗クイーンの優雅な休暇』5/23より公開!
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=miragequeen2025
◯「怪盗クイーン の優雅な休暇(バカンス)」PV第1弾
http://youtu.be/y7qPLVTe-mQ
◯大和悠河コメント
https://youtube.com/shorts/gFsvg7A2Tq0?si=VqPBBtNfAx-eUqy-
◯本予告
https://youtu.be/7n6DoArdo-I?si=czkpTVomI1ETvqze
◯クイーン役 大和悠河アフレコ映像とインタビュー映像
youtu.be/ZTMNrG3bUWc

NHK『ビットワールド』25周年記念公演 特別出演
2025年7/4~13◎サンシャイン劇場(東京)
https://directions.jp/company/news/bitstage/

NHK みんなのうたミュージカル『リトル・ゾンビガール』(日生劇場ファミリーフェスティバル)出演
8/23・24◎日生劇場
8/29◎北上市文化交流センターさくらホールfeat.ツガワ(岩手)
9/4◎太田市民会館(群馬)
9/10・11◎千葉県文化会館(千葉)
9/18・19◎NHK大阪ホール(大阪)
9/26◎ホクト文化ホール(長野)
9/30◎岡山芸術創造劇場 ハレノワ(岡山)
10/9◎愛媛県県民文化会館(愛媛)
https://zombiegirl.nissaytheatre.or.jp

活動予定詳細はこちらより
《大和悠河HP》
http://yugayamato-googa.jp

演劇ぶっく無料公開
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!