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おぶちゃ8周年記念公演、西野亮廣・脚本の『魔法使いのパレード』間もなく開幕! 大部恭平・堤下 敦・柳下 大・瀬口美乃 インタビュー

大部恭平 瀬口美乃  堤下 敦 柳下 大 

 
大部恭平の個人企画として始動した「おぶちゃ」が、8周年記念公演として西野亮廣の脚本による『魔法使いのパレード』を、10月2日〜7日に横浜赤レンガ倉庫で上演する。

本作は、西野亮廣の人気小説『グッド・コマーシャル』を、西野自身が新たに書き下ろしたシーンも加え脚本化したもので、時速246億の川本成が演出、大部恭平のおぶちゃ初主演で贈る4人芝居。
生きる目的を失った無敵の人を、誤って人質にとってしまった立て籠もり犯の物語。悲劇なのか、喜劇なのか…予想を次々に裏切るシチュエーションが有無を言わせず観客の心をわしづかみにする。

そんな作品で初めて主演をつとめることになった主宰の大部恭平、そして堤下 敦、柳下 大と瀬口美乃、4人に稽古場で語り合ってもらった。

これはもう堤下さんに出ていただくしかないと  

──今回の舞台は、原作が西野亮廣さんの人気小説『グッド・コマーシャル』で、西野さん自身が新たに脚本化されたものになります。その作品で大部さんは初主演されるのですね。 

大部 去年の春、今回演出してくれる川本成さんと仕事をしていたときに、「おぶきょ(大部の愛称)、せっかく主宰してるんだから主演やったらいいじゃん。俺なんでもするよ。」と言われたんです。僕は自分が主演という発想は全然なかったので、「言われないとやらないだろうし、せっかくならやってみようかな」と。そのあと地元・横浜の赤レンガ倉庫で演劇ができると知ってすぐに企画書を提出して劇場を取りました。西野亮廣さんに主演舞台をどうしたらいいか?と相談したところ「これもしかしたら(脚本)僕かも知れないですね」と言ってくださって、堤下さんの出演も提案してくださったんです。

──その時点でこの作品にしようと決まっていたのですか?

大部 いえ、西野さんに相談した時点では「年内に企画書を出すからそれを見て僕の作品にするか判断してくれ」とだけおっしゃって。その5日後に『グッド・コマーシャル』を『魔法使いのパレード』という脚本に書き換えたものをいただいたんです。すでに台本の役名も大部と堤下になっていて、これはもう堤下さんに出ていただくしかないということでお願いしたら快諾してくださって、あれよあれよというまにこの企画が実現したんです。

──堤下さんは今回のオファーを受けていかがでした?

堤下 僕は『グッド・コマーシャル』には、吉本新喜劇の佐藤太一郎の企画公演で、今回柳下くんが演じる久保の役で出演しているんです。この公演への出演の話は、大部くんと西野が話した翌日に西野から電話がかかってきて、「大部くんと一緒にやるんだけど堤下が出るって言っちゃったから」と。「いいよ、出るよ」と言ったんです。ただ、おぶちゃの皆さんは俺よりだいぶ若いから、「俺はなるべく負担の少ない役にしてね」と言ったんだけど、蓋を開けてみたらこんな感じになってて。

全員 (笑)。

堤下 大部くんも初主演とはいえ、もともと役者もやってるし、作家で演出家だから読み込む力は素晴らしいので、それにひけをとらないように。でも2人ともシンドイ役なので、スタミナが切れないようにしたいですね。

──柳下さんと瀬口さんはこの企画についてはいつ頃知りましたか?

柳下 1年ぐらい前に8周年記念公演は横浜でやりたいということや、西野さんのアドバイスで『グッド・コマーシャル』をやるということもその頃に聞いていて、僕もできれば出たいなと思っていたので、出られることになって嬉しかったですね。人数が少ないのでシンドそうですけど(笑)。

瀬口 私も1年前ぐらい前にお話を聞きました。もともと私は西野さんの書かれる著書がとても好きで、「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」という本を、自分の応援歌みたいな感じで読んでいたんです。私が経営しているバルーンの会社もその本の通りに起業したぐらいで。ですから西野さんの作品に出られると聞いて、そんなことがあるんだとすごく嬉しかったです。それに、この芝居の冒頭に私のナレーションがあるのですが、それはその「ゴミ人間」に書かれている内容を彷彿とさせる言葉で。私が大事にしていた本の言葉を舞台で喋る日がくるなんて思ってもいなかったことで、すごく気合いが入っています。

──今回の台本ですが、原作と大きく違うところは?

大部 もとの話は3人芝居だったのですが、今回は瀬口の役が書き加えられました。

堤下 『グッド・コマーシャル』は芸人用のコメディで、登場人物は、自殺したい人、人質立てこもり犯、交渉人久保という3人だけだったんです。それが今回の瀬口さんの登場で、大部くんが演じる役の背景が少し深掘りされています。

──瀬口さんは複数の役を演じますね。

瀬口 ナレーションのほかに、アナウンサー役なども演じていて、ずっと3人が話している中にちょこちょこ出入りしています(笑)。3人だとコント的な笑いが強かったと思いますが、堤下さんがおっしゃったように4人になったことで、演劇的な物語になっていると思いますので、重要なポジションをいただいたことに感謝しています。

大部 そこは西野さんがうまく書き加えてくれて、さすがだなと思いました。

──劇中で、男性3人が同じ地元とわかって一気に距離が縮まるのですが、そこも今回のオリジナルですか?

堤下 出演者に合わせて共通するものに変えていて、今回は僕ら3人が神奈川出身なので、それを使っています。西野くんが『グッド・コマーシャル』を戯曲化したときに、誰でもやれるようにいじれる本にしたんです。

柳下 すごく柔軟ですよね。西野さん自身は、僕が知っている中では2回上演していて佐藤太一郎さんは何度も上演していて、その動画を何本か観たんですけど、セリフもけっこう変えているし、重要なセリフを言う人間が変わっている公演もありました。

大部 そういう意味では、シチュエーションコメディのスタンダードという構成で、強度が高い脚本だなと思います。

──大部さんと堤下さんだけでなく柳下さんの久保役も面白いですね。

柳下 人質を解放させるための交渉人として、ある異物感を持って入ってくるので、やり甲斐があります。

大部 大くんが俳優として完全復帰してそろそろ1年になるのですが、彼とはプロデューサー同士として知り合ったので、今一緒にお芝居をしていてちょっと不思議な気持ちになってます(笑)。

これこそがツッコミなのか!と

──稽古動画を拝見したら、始まってからずっと堤下さんと大部さんのコントのようなやりとりがあって、すごく面白いのですが、堤下さんにとってお笑いとお芝居の違いは?

堤下 芸人はあんなに動かないですからね(笑)。たまにネタで動きますけど、長時間動きっぱなしというのはないですから。まあ、僕は年齢的にも一番先輩ですから、若い3人のために少しでも役に立てればと思いますし、そのためにはラクはしないで、結果をちゃんと出すためにがんばっているという感じです。

大部 本当に頼りになる兄貴です。毎日一緒に芝居していても、さすがだなと思うし、とくにツッコミが素晴らしいんです。今まで芝居の中でいろいろなツッコミを浴びてきましたが、これこそがツッコミなのか!という。自分までうまくなった気になってます(笑)。

──その堤下さんと丁々発止とやり合っている大部さんもすごいです。

大部 もし少しでも息が合っている感じてくださっているのだとしたら、たぶんこの企画が立ち上がったときから、打ち合わせなどを含めて稽古外でもたくさんの時間を共有できていることが大きいと思います。先輩としてリスペクトできるし、思い切り飛び込める。そういう器を作ってくださっているんです。

堤下 この芝居は4人芝居ですが、実は野球みたいなもので、野球って9人で試合しますけど、実は個人技がうまい人が集まっているんですよね。この芝居もそれぞれ個人技ができる4人であることが大事で、そういう中で、まず彼がどういう出方をするのかなというのを僕は見ていたんです。どういう間合いでどういう表情でどういう言い方をするのかなと。それを見たうえで僕はその物差しに嵌めにいこうと。

柳下 いうなれば、これはもはや長―いコントですよね(笑)。堤下さんがとにかくすごくて、しゃべるとすべて笑いのほうに持っていける。役者にとって笑いを取るって難しいんですよ。感動とかならストーリー的にそこに持っていけますけど。でも堤下さんはお客さんに「ここ笑っていいんだよ」というのをやってくれる。観客の気分を変えていくのは芸人さんならではで、堤下さんから学べるものは沢山あります。

瀬口 私も大部さんと堤下さんのところは、セリフを知っているはずなのに毎回笑わされてしまいます。堤下さんは小さい頃からテレビで観ていた方なので、その方とご一緒にできていることに感動しています。

──大部さんは今回は俳優一本で作品に向き合っているわけで、役者脳みたいなものをフル稼働させている感じかなと。

大部 その通りですし、なんだか懐かしいみたいな感覚でいます。というのは、野球の話が出ましたが、僕も野球部だったので部活の感覚に戻るというか、有無を言わさずやるしかない。それに演出もやっている公演では、自分の役は自宅で練習していましたから、稽古場でつねに自分の役と向き合っている自分が逆に新鮮です。

堤下 大部くんは久しぶりの芝居だそうですけど、毎日どんどんシャープになってきてます。2人の場面ではアドリブもあるんですが、もともと脚本家でもあるのでその言葉のチョイスもどんどん鋭くなっているので、それに対して僕もアドリブをどんどん出していける。たぶん役者としての本能が表に出てきているんでしょうね。

──野球の話で言えば、堤下さんの千本ノックを受けている状態ですか。

大部 まさに(笑)。1年生が3年生とキャッチボールしてるみたいな感じです。

堤下 燃え尽きてもいいぐらいの感覚でやってると思いますよ。というのも主演なので失敗できない。もちろん失敗してもいいんですけど、絶対に成功させたいという思いが大部くんをシャープにさせているんだと思います。

テーマは「死」なんですけど、「死ぬな」なんです

──皆さんそれぞれが自分の役に今どう挑んでいるかも聞かせてください。

大部 僕の役は死のうと思っている男で、まずはいかにお客さんをこの物語にひっぱり込めるかですね。冒頭で瀬口がナレーションで語っている中で、テーマ的に大事なことを言っているのですが、そのエンターテイメントやファンタジーを好きな人たちの思いを、この役の中に落とし込めたらいいなと思っているんです。

──ナレーションの中で「ノストラダムスの大予言」をはじめ、人間の中にある終末感に触れていますが、大部さんの役はそこを背負っている感じもします。

大部 その終末感の中で、じゃあ人生とかエンタメとかをそれぞれがどう信じて愛していくのか。それが西野さんの思いであり、僕の最後のセリフなどに込められている気がします。コメディ部分で笑って楽しんでいただいて、でもそれだけでなはいものを持って帰ってもらえたらいいなと。

堤下 僕の役はおもちゃ箱かなと。自分がここであることを遂行させたいのに遂行できない、それをさせない真逆な人たちが揃ってしまった。つまり翻弄されている人というキャラクターで、でも翻弄される理由が、本当に間が悪いというか、運が悪いという人です。今、西野の話が出ましたけど、テーマは「死」なんですけど、「死ぬな」なんですね。僕も西野もいろいろ失敗もしているし、嫌な思いもしているし、いろんなものと闘ってきた。でも死なないでやっていれば良いこともあるでしょうという。だからこの芝居は、死にたい大部くん、殺したい俺、それを解決しにきたけど本当は死ぬほどモテたい柳下くん、それをまとめて話してくれる瀬口さん、という4人なんですが、それぞれに必ず「死」と隣り合わせのシーンがあるんです。そして、そういう人間たちが死なないでがんばったら、こんな素敵なゴールが待ってるじゃんという。そういう作品なので、お客さんには笑って観ていただく中で、セリフのはしばしにある素敵な言葉を拾って帰っていただけたらと思っています。

柳下 「死」ということで言えば、相手が何をしてくるかわからないのに交渉に入ってくるのが僕の久保という役で、その怖さよりなんとか手柄を立てて好きな女性の心を掴みたいという思いのほうが勝っている。そういう久保という人間をリアリティある存在にしたいし、ただの面白い人ではなくて、その人の葛藤だったりコンプレックスだったり、悩みとかをちゃんと持っている。それがあるからこその勢いとかも出したいですね。

瀬口 作品に入る前からみんなで集まって作品について話し合うことができたので、そのチームワークを大事にしながら、この作品の基本にある「人に夢を与える」という思いをちゃんと届けられるようにがんばりたいです。 

4人が舞台上で追い詰められている姿を

──最後にお客さまへのメッセージをいただけますか。

大部 僕がおぶちゃで初めて主演します。この4人が舞台上で追い詰められている姿を、その熱量とともに楽しんでいただいて、何かを持って帰っていただけたらと思っています。

堤下 演劇を観たことのない方も、観慣れている方も、いろんな方に楽しんでいただける作品だと思います。1回ずつ4人の誰かに注目して観ていただいても面白いと思いますので、何度でもいらしてください。

柳下 この芝居は普通の演劇とはちょっと違う、コントに近いコメディの世界なんですけど、それを僕たち3人の役者が演じることで、また違う面白さになると思います。芸人さんの堤下さんプラス役者3人という組み合わせがどんな舞台になるか、ぜひ観にきてください。

瀬口 作品を観にきていただいて、面白いだけではなく考えさせる部分もあるし、自分がワクワクしたことなどを思い出していただけると思います。明日またちょっと頑張ろうと思っていただける作品です。ぜひ観にいらしてください。

大部恭平・柳下 大・瀬口美乃・堤下 敦

 
【プロフィール】
おおぶきょうへい○神奈川県出身。おぶちゃ主宰。おぶちゃの全公演の脚本・演出を担当。作風としてリズム感のある台詞回し、人間味、温かみのある雰囲気・空間づくりの演出には定評がある。近年の主な脚本・演出作品は、【舞台】『ほむら先生はたぶんモテない~』(演出)、【テレビ】U-NEXT配信ドラマ『見上げた空に、あなたを想う』(脚本・監督)など。俳優としても活動している。

つつみしたあつし○神奈川県出身。お笑い芸人。NSC東京校4期生。1998年、板倉俊之と共にお笑いコンビ『インパルス』を結成。『キングオブコント2009』第4位入賞。フジテレビ系バラエティ『はねるのトびら』にレギュラー出演し、全国的な人気となる。バラエティの他、日本テレビ系ドラマ『ナースマンがゆく』、フジテレビ系ドラマ『人は見た目が100パーセント』にも出演。最近の舞台出演作品は『ありのままに生きろ。今』。

やなぎしたとも○神奈川県出身。2006 年、ワタナベエンターテインメント主催「第3回D-BOYS オーディション」にてグランプリを受賞し、俳優活動をスタート。様々なドラマ、映画、舞台へ出演。20 年に退社し、芸能界を引退。24年、プロデューサーとして再始動、『バンブーサマー2024』を上演。同年10月、おぶちゃ『ポエム同好会』にて俳優復帰、その後、おぶちゃメンバー入り。最近の出演舞台は、革命ミュージカル『新・幕末純情伝』。
 
せぐちよしの○東京都出身。中学時代のスカウトをきっかけに「Hana*chu→」の読者モデルとして芸能活動開始。Amazon Prime Video恋愛リアリティーショー「バチェラー・ジャパン」シーズン2(最年少の剣道家)はじめ、Netflix『全裸監督2』、MX2「東京電波女子2nd-青山テルマfeat-」(準レギュラー)、MV「AKLO / 221 feat. ZORN」などに出演。24年10月におぶちゃメンバー入り。俳優活動のほか株式会社BALLOON TOKYOを創設し経営者としても活動中。

   
【公演情報】
おぶちゃ8周年記念公演『魔法使いのパレード』 
脚本:西野亮廣 
演出:川本成 
出演:大部恭平 堤下 敦 柳下 大 瀬口美乃
●10/2〜7◎横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール(横浜市中区新港1-1-1 みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」より徒歩約6分)
〈公式サイト〉https://ofcha.biz/ofcha8th

 
【構成・文/榊原和子 撮影/松山仁】   

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