
8歳の息子を亡くした両親が、どうしてもその現実を受け入れられずデジタルツールを駆使して「息子が生き続ける世界」をつくり出し、その家族生活の様子をインターネットで紹介するようになるのだが……。「仮想空間上の命」をテーマにした物語に果たして行き着く先はあるのか、はてしない空間と現実の狭間に揺れる両親の心の動揺はいかばかりか。「生と死」「バーチャルとリアル」そして「演者と観客」虚実を巡る私たちの物語に興味は尽きない。
ワンツーワークス#43新シリーズ「時代を見つめる」① 『仙人草の凱歌イン・ヨーロッパ』は、1982年オーストリア生まれ、数々の文学賞を受賞している人気作家クレメンス・J・ゼッツの注目作で本邦初演!11/28~12/7、シアター711で上演する。
本作で息子を亡くした母を演じる関谷美香子より、メッセージが到着した。

この作品を初めて読んだとき、頭の中は「???」でした。息子を亡くした母親の言動、周囲の興味や反応……短いシーンの連なりはある意味とても不親切で、解釈は無限大。稽古初日から様々な解釈や意見が飛び交っています。一人で読み込むだけでは発見できなかった感情や各シーンの意図が、こうした話し合いや試しの中から浮かび上がってきて、改めて舞台演劇の面白さを痛感し、ますます夢中になる日々です。私は息子を亡くした母親レナーテ・ヘルツァーを演じますが、彼女の心情をどんなふうに表現できるか、演出家はもちろん、共演者、翻訳家、スタッフすべての力を借りて模索中。限られた劇場空間で、生の舞台演劇でしか成しえない面白さを追求するのもワクワクです。この作品の解釈は無限大。それが最大の魅力です。ご覧になって「???」となるもよし、登場人物の誰かに共鳴するもよし、世界や社会に物申したくなるもよし。どうぞ劇場で味わってください!
【あらすじ】
「仮想空間上の命」をめぐる、ある両親の格闘。
8歳の男の子が交通事故で死んだ。そのことが両親の人生を一変させる。
両親は息子のいない空虚な日常をどうしても受け入れることができず、
やがてコンピューター、カメラ、タブレットなどを介し、デジタルツールの力を借りて、
「息子が生き続ける世界」をつくり出してしまう。
両親は息子を中心とした家族生活の様子をネットで紹介するようになるのだが……。

【公演情報】
ワンツーワークス
『仙人草の凱歌 イン・ヨーロッパ』
作◇クレメンス・J・ゼッツ
演出◇古城十忍
出演◇関谷美香子 奥村洋治 小山萌子 松戸デイモン 阿比留丈智 川畑光瑠 武田有紀子 金光柊太郎
11/28〜12/7◎シアター711
https://www.onetwo-works.jp/works/senninso/




