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宝塚宙組公演『PRINCE OF LEGEND/BAYSIDE STAR』桜木みなと&春乃さくら囲み取材レポート

宝塚宙組公演TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『PRINCE OF LEGEND』と、ビートオンステージ『BAYSIDE STAR』の賑やかでパッショネイトな二本立て公演が、東京宝塚劇場で上演中だ(2026年1月4日まで)

この公演は新トップスター桜木みなとと、引き続いてトップ娘役を務める春乃さくらのお披露目公演。芝居ものの『PRINCE OF LEGEND』は、宝塚歌劇でも既にコラボレーション作品が上演されている「HiGH&LOW」を制作した、LDH JAPANが2018年にドラマ化、19年に映画化し、ライブやゲーム世界でもメディアミックスを繰り広げた同名作品初の宝塚化。「HiGH&LOW」でLDH JAPANと宝塚歌劇の世界観を融合させた実績を持つ野口幸作が、個性豊かな“王子”が繰り広げる、ヒロイン争奪戦を賑やかに展開。宙組一人ひとりの顔がよく見え、組創設以来十代目にして初の生え抜きトップスター誕生の祝祭を、賑やかに盛り上げている。また、『BAYSIDE STAR』は、「桜木みなと」にちなんだ世界各地の“港街”を巡りながら、作者の斎藤吉正らしい極彩色の氾濫で描くエネルギッシュなショー作品になっている。

そんな晴れやかな舞台の初日を前に、新トップコンビ桜木みなとと春乃さくらが囲み取材に応えて公演への抱負を語った。

トップコンビ挨拶

桜木 桜木みなとでございます。今日無事に通し舞台稽古を終えましたので、初日から千秋楽までみんなの力を合わせて頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

春乃 春乃さくらです。本日はお集りいただきありがとうございます。千秋楽まで精一杯頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

質疑応答

──宙組のみなさんの魅力が大渋滞している舞台になっていますが、いまの宙組の魅力は?

桜木 その通りでございます(笑)。色々な子が個性を発揮して輝いていると思いますので、魅力が大渋滞していると思います。お芝居に様々に出てくる王子たち、王子としてではないのになぜだか煌めいている後ろにいる子たち、みんなして芝居を繰り広げている。ショーでもそれぞれ「こうやりたい、ああやりたい」という思いが、豊かに舞台上に彩られているのではないかと思います。

春乃 普段から宙組はみんな個性的で、とても活気がありますので、舞台上もですが、普段から私も背中を押してもらうほど、元気をいただいております。

──クリスマスシーズンの公演となります。少し早いですが1年を振り返っていただくと?

桜木 そうですね、早いですね(笑)。私たちは今日舞台稽古を一生懸命しているので、なかなか季節というものを感じられずにいるのですが、いま訊いていただいて気づくことができました。街はイルミネーションでいっぱいで、宝塚では(まだ)そういうことはなかったので、素敵なクリスマスシーズンに公演をさせていただきますし、お正月もまたぎますので、今年の締めくくりとして宙組の作品を充実させていたきたいなと思っております。

春乃 1年を振り返りまして、何事も感謝だと心の底から思います。来年もその気持ちを忘れることなく過ごしたいなと思いますし、今年は最後まで元気に、元気いっぱい駆け抜けていきたいと思っております。

──大羽を背負った感触、また組替えで多くのメンバーが入れ替わったことについては?

桜木 本当に重いです。重さとして重いということと、その重さは責任の表れではないかと。最後にこれを背負って、(宙組)みんなが本当に羽根1本1本だと思っているので、きちんと最後に締めくくれるように。みんなを背負って立ちたいなと思う、そんな羽根でございます。組替えで来てくれた、とても戦力になる仲間たち。みんな色々な王子のキャラクターなどになりまして、お客さまが初めてごらんになっても「こういう人なんだ。こういう風にお芝居をするんだな」と飛び込んでいって刺さるように演じてくれていると思います。それを受けて、元々宙組にいたメンバーも刺激をもらい、相乗効果、化学反応が至るところで生まれていると思っております。

春乃 桜木さんがおっしゃったように、本当に刺激をいただいております。私はずっと宙組で育ってきていたので、他組から来てくださった方たちの魅力やパワーを間近で感じさせてもらえて、たくさん学ばせていただけて、本当に毎日幸せでございます。

──新トップコンビとして感じるお互いの魅力は?

桜木 とっても元気にあふれていて、いつも「任せてください!」と言ってくれるような子なんです。元々私より先にトップとして舞台に立っている経験もあって、本当に頼もしいと思っています。私は今、(トップ)1年生ですけれども、春乃がこういう景色をずっと見ながら舞台に立って、責任を果たしていたんだなと思うと、今まで本当に頑張ってきたんだなとすごく感じます。私はそれ以上に組を引っ張る立場としていなければいけないので、彼女を見ていると身が引き締まる思いです。彼女のすごく真摯な姿勢に胸を打たれますし、本当に尊敬しています。これからも、この2人でしか出せない、コンビならではの雰囲気や空気というものを大切にしながら、宙組のトップコンビとして頑張っていきたいと思います。

春乃 (感極まった様子で、桜木を見つめながら)ありがとうございます。桜木さんを見て、もっと頑張ろうと思いますし、その桜木さんが先陣を切って、とてもたくましく歩いてくださって……

桜木 2人の時間みたいになっちゃったから(報道陣が微笑ましく笑い合うなか、春乃に記者の方を向いて、と促すと質問者から「大丈夫です」との声があり)大丈夫ですか?

春乃 (桜木を見つめたまま、声を詰まらせつつ)本当に感謝をしても、しつくせないほどでございます。桜木さんの、ただおそばにいるのではなく、しっかりと力いっぱい、地に足をつけて精いっぱい、頑張って参りたいいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

桜木 お願いします。

──横浜出身の桜木さんらしいショーについては?

桜木 これほどまで私への思いを形にしてくださる(作・演出の)齋藤先生に、感謝の気持ちでいっぱいですし、私だけではなくて組のメンバー一人ひとりにスポットが当たるように考え、導いてくださっていたので、本当に感謝が尽きません。こんなに愛のあふれるハートウォーミングなショーを作っていただいて、自分が1番みんなから愛情を受けているので、今度は私がみんなに愛情を伝えていけるようなパフォーマンスをしないと、と思う日々でございます。

──フィナーレは、阪神大震災後の神戸の復興を思わせますが。

桜木 心してやらねばと思います。それはテーマに関わらず、お客さまにお見せするのは、どの作品でもきちんと、1回1回、大切にしなければと思っています。フィナーレナンバーは、ショーにおいて組の雰囲気が如実に出る、芸名の自分で立っているような感覚が私自身、します。他の場面はストーリーがあったり、役があったり、ポジションによって衣装が違い、役割を演じなければいけないのに対して、フィナーレはほとんど自分の姿でいるところが、いつもシンプルに初心に帰ると言いますか、舞台に向き合える時間だと思っているので、大切にしたいと思います。私がみんなに囲まれ、踊らせていただいている場面では、みんなの顔を見ていると泣けてしまうほど、もらうパワーがたぎっていて、みんなのすてきな笑顔を見ると、私自身もパワーをもらえますし、私がみんなのコンパスになって進んでいかなければという思いを、ひしひしと毎回感じさせてもらえるので、すごく大切に演じたいなと思っています。

春乃 フィナーレナンバーは、お客さまに何より幸せをお届けしたい。それはフィナーレナンバーに限らず、公演を見て、楽しんで幸せになって帰っていただきたい。ただただその気持ちで、舞台に立たせていただいておりますので毎公演毎公演、大切に舞台に立たせていただきたいなと思っております。

新トップコンビ初の囲み取材は、桜木みなとの質問する記者の言葉にまず反応を返す、当意即妙なやりとりで、スタートから笑い声が絶えない和やかな雰囲気満載。分けてもお互いの魅力をとの質問で、桜木から自分への讃辞が信じがたいと言わんばかりに感極まって聞いていた春乃が、桜木への感謝と魅力を、声をつまらせながら語る姿からは、宝塚のトップコンビの尊さがあふれるよう。そんな春乃の目線が、自分だけに向けられていることを慮った桜木が、記者の方を向いて話しなさいと促した折のやりとりの微笑ましさで、新トップコンビへの祝福ムードは頂点に。思えば「桜木みなと」「春乃さくら」という、偶然と言うにはあまりにも字面の良い二人の芸名の並びに象徴される愛称の良さが、ここからはじまる新生宙組の未来を明るく照らす、満開の桜を開かせるだろうことを確信できる囲み会見だった。

公演データ

TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE
『PRINCE OF LEGEND』

原作・著作・構想/HI-AX
脚本・演出◇野口幸作   
ビートオンステージ

『BAYSIDE STAR』
作・演出◇齋藤吉正 
出演◇桜木みなと、春乃さくら ほか宙組  

●2025/11/21~2026/1/3◎東京宝塚劇場

公式サイト
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2025/princeoflegend/index.html

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】