劇団銅鑼は、1972年に鈴木瑞穂・早川昭二など劇団民藝の出身者を中心に結成された。劇団名の銅鑼は、新劇の発祥である築地小劇場で開演ベルとして銅鑼(ドラ)が鳴らされたことから名付けた。また、ドラは出航の合図でもある。
創立以来、「平和」「人間愛」「本当に人間らしく生きることとは何か」をテーマに創造活動を続けている。
今回は、幅広いジャンルを手がける劇作家・演出家の斎藤栄作による書き下ろし新作で、演出には青年座の気鋭・金澤菜乃英を迎えての上演となる。

本作『HOPE』のテーマとなるのは「焚書」。焚書とは宗教的、または政治的な反発により焼却される書物のことを示す。
時は現代。辻優希は東京に住む中学生。画家である母と一緒にアトリエ兼新たな住居となる場所を探していた。不動産会社の赤木に連れられて東京都あきる野市にある古い蔵にやってきた辻親子。赤木が母を連れて2階へ行き、その場に残された優希。すると一瞬空気が歪み、元に戻るとそこには重そうな木箱を抱えたモンペ姿の少女が立っていた──。
今からほんの十数年前、シリアのダラヤで瓦礫の中から本を取り出し「秘密の図書館」を作った若者たち。ホロコーストのあったリトアニアの首都ヴィルナで、ナチスから本を守った通称「紙部隊」と呼ばれる人たち。太平洋戦争末期に日比谷図書館から疎開した貴重な本を受けいれた人たち。
様々な運命の扉が重なり、優希が時空を超えて経験する、命懸けで本を守った人たちの3つのストーリー。
金澤菜乃英(演出)からのメッセージ

命が危険に晒されても、戦火から「本」を守った人たちが居ました。絶望の淵で大切な人の顔を思い浮かべながら、“いつか誰かが手に取るかもしれない”と未来へバトンを繋ごうとした先人たち。そんな激動を駆け抜けた姿を想像し、1人の俳優が複数役を兼任して息を吹き込もうとしています。それぞれのシーンの演じ分けにより浮かび上がる人物の対比や共通点を発見すると、私たちの“今”と向き合うことと重なり、過去はそう遠くなく未来を見据えるような感覚になります。
先人たちからの【HOPE希望】のバトンを引き継ぎ、私たちも舞台上で「本」を運びお客様にお届けしようと奮闘中です。
ホロコーストの厳しかったリトアニア、終戦直前の日本、アサド政権下のシリア…まるで本のページをめくるように、主人公の優希と一緒に追体験して頂けると幸いです。






