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妖しい魅力を持つ“毒婦” 8人の奇想天外な人生が現代に甦る!

【対談】仲 万美・中屋敷法仁

日本犯罪史・文学史に名を残す、妖しい魅力を持つ“毒婦” 8人の奇想天外な人生に焦点をあてた物語が、個性的な女優たちのオールフィメールで2月に品川プリンスホテル クラブeXで上演される。プロデュース・主演は、現在は表現者として多彩に活動している仲 万美、作・演出は劇団「柿喰う客」の代表で、躍動感あふれる独自の演出で評価の高い中屋敷法仁が担当して、「実在した“毒婦”8人の物語を現代に甦らせる!」という。はたしてその企みやいかに、初タッグとなる個性溢れる二人に話を聞いた。
仲 万美・中屋敷法仁

なかばんび○マドンナのワールドツアーダンサー(2015年)として世界的な注目を集め、その唯一無二の存在感と身体能力を活かした表現力を武器に、映像作品や舞台で活躍している俳優。

なかやしきのりひと○演出家、脚本家、俳優。劇団「柿喰う客」代表。人間の欲望や本質を鋭く描き出す脚本と、視覚的なインパクトを重視した独自の演出手法が高く評価されている演劇界の鬼才。

——本作は仲 万美さんのプロデュースということですが、ご自身のこれまでの活動と、今作のテーマになっている“毒婦”とのイメージはどこでつながっているのでしょう?

仲 万美 心身共に追い込まれても、与えられた場所でやり遂げる。理解されなくても、評価のされ方に違和感があっても、自分を捨てない。私のこれまでの活動は、ずっとその繰り返しだったように思います。毒婦と呼ばれた女性たちもまた、時代や社会の枠の中で「扱いづらい存在」とされながら、最後まで抗い続けた人たちでした。その姿に、どうしても重なるものを感じてしまうんです。私もこれまで、個性が強いという理由で評価から外されることが多くありました。でもそれは、消せと言われて消えるものではない。むしろ、消そうとするほど強く残るものです。傷を負っても、評価されなくても、それでも立ち上がり続ける。その在り方こそが、毒婦たちと私をつないでいるのだと思います。だから私は、毒婦という存在を“怖い女”としてではなく、“語るべき美しさ”として舞台に立ち上げたいんです。もちろん、犯罪を肯定するわけではありませんけどね(笑)。

——作・演出に中屋敷さんを選ばれた理由は?

仲 万美 ずっと憧れていた方だったので、お受けしてくれた時は天にも昇る心地でした。中屋敷さんは、役を分かりやすくまとめるのではなく、その人物が抱えている矛盾や揺れを、そのまま舞台に立たせてくれると私は感じていました。中屋敷さんのもとでなら、無理に答えを出す芝居ではなく、生身の人間として存在できると思い、ご一緒したいとずっと思いました。

——中屋敷さんは今回のお話しがあったときの感想を聞かせてください。

中屋敷 血が騒ぎました。女性パフォーマーたちが秘めている本来の底力を自由に解き放つことができる舞台だと確信しました。

——仲さんから構想をきいて、女性の“毒婦”を選ばれた理由は?

中屋敷 コンセプトの核にあったのは「強い女性」という言葉。傷だらけでも立ち上がり、何度踏みつけられてもなお美しい女性たちの誇り。それを考える中で「毒婦」というモチーフに行きつきました。罪を背負いながら、なお人の心を奪う。彼女のもつ妖しい魅力を是非、令和の演劇にしたいと考えました。

——女性の“毒婦”を選ばれ、出演者も女性のみになりますが、その理由は?

仲 万美 女性だけにする事で、どこかに「負けてたまるか」という感覚が生まれる気がしています。誰かに対抗するためではなく、自分自身を諦めないための力。その気配が、演劇の言葉や、ダンスの身体、歌の声に自然と滲んでくる。その切実さがあるからこそ、女性のみの舞台はパワーを持ち、そして単純に、見ていて美しいと感じます。

——個性豊かな出演者が揃いました、どのような目線で選ばれたのでしょうか。

仲 万美  一番は、歌唱力が高い人。でした。ダンスに関しては、練習次第で後からいくらでも磨けます。でも、歌と感情表現は最初から持っているものが大きい。なので、歌った瞬間に「この子だ」と思わせてくれる声かどうか、そこを重視にしました。二番目は、女性たちが憧れる女性でいることを大事にしました。私自身、同性に憧れられる存在であることに魅力を感じているので。

仲 万美
蘭舞ゆう
太⽥夢莉
安川摩吏紗
⻄葉瑞希
なかねかな
岩佐美咲
永⽥紗茅

——中屋敷さん、本作に出演する女優陣と役柄の魅力についてお聞かせください。

中屋敷 役柄が抱える主題や情念は、すでに出演者の皆様の肉体に宿り始めています。それぞれが持つ人生の重み、声の温度、視線の鋭さ。そのすべてが舞台の奥行きを何倍にも広げています。

——仲さんならではの感性と中屋敷さん独特の演出がどんな形で舞台上に出現するのか興味は尽きませんが、現時点でお二人はどのようなお話をされていますか。

仲 万美 虫の話をしています…。中屋敷さんも私も虫が好きで、アシダカグモがかっこいいとか、虫の目が好きとか、そんな話をよく…(笑)なので、この舞台のタイトルが「女郎蜘蛛」となった時は、テンションが上がりました。

中屋敷 そうなんです、最初に意気投合したのは「蜘蛛(クモ)が好き」という点でした。禍々しくも機能美に満ちたフォルム、恐ろしくも美しいデザイン。蜘蛛はまさに生きたアートです。危険で、魅惑的で、抗いがたい魅力。そこに、毒婦=女性犯罪者たちの姿を重ねることができました。

——現在稽古中だと思いますが、手応えはいかがですか?

仲 万美 稽古が始まって1週間(取材時)ですが、正直もうめちゃくちゃ面白いです!まず、歌が本当に上手い子たちが集まっているので、度肝を抜かれる瞬間が多々あります。ダンスもみんな振り覚えが早く、その分しっかり練習時間を重ねられているのが心強いですね。役としてはまだ探り探りな部分もありますが、その時間も含めて、ここからどう化けていくのか。完成までの道のりそのものを、今は味わっている最中です。

中屋敷 まさに蜘蛛の巣です。ひとりひとりのパフォーマンスがしなやかに絡み合い、気づけば観る者の心臓をがっちりと掴んで離さない。戦場のような、お祭りのような稽古場です。

——怖そうな話もありそうですが、観客はどんな覚悟で観に行けばいいでしょう?

仲 万美 覚悟だなんて(笑)。ただ、毒婦たちが確かにそこに生きていて、愛し、愛され、美しく、そして残酷に散っていった、その姿をまっすぐに見ていただけたらと思います。

中屋敷 歌あり、ダンスあり、血の匂いあり。エンターテイメントの仮面を被った、極上の悪夢です。
時代を越えて燃え続ける情念と、現代の悪意が交差する、きわめて刺激的な舞台をお届けします。

——最後に、とっておきの見どころを教えてください。

仲 万美 歌やダンスはもちろん見どころのひとつです。それ以上に、実際に生きていた毒婦たちの、嘘か真か分からない噂に包まれた人生を、ひとつの答えにせず立ち上げている点です。美しさと残酷さが同時に存在する瞬間を、身体と声で目撃してほしい。観終わったあとに残る感情が、慈悲なのか、お情けなのか、それとも不気味さなのか。その答えは舞台ではなく、観た方それぞれの中にあります。そして、差し出されたその手を取るのか、あるいは黙殺するのか。その選択の重さこそが、この作品の見どころだと思います。

中屋敷 すごい時代の、すごい女の、すごい生き様が、ここにあります。どうか、覚悟してご覧ください。

公演情報

「女郎蜘蛛」

プロデュース◇仲 万美

脚本・演出◇中屋敷法仁

出演◇仲 万美 蘭舞ゆう 太⽥夢莉 安川摩吏紗 ⻄葉瑞希 なかねかな 岩佐美咲 永⽥紗茅
⼀篠思瑠 平井沙弥

2/19〜23◎品川プリンスホテル クラブeX