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韓国発のミュージカル『MURDERER』(松崎史也 演出)で子供を演じる工藤広夢・小西成弥インタビュー

小西成弥・工藤広夢
2026年3月、演出に松崎史也を迎え、韓国発のミュージカル『MURDERER』が本多劇場にて上演される。物語の登場人物は、収容所に閉じ込められた6人の子供たちと、彼らを発見する大人。子供たちはそれぞれの家族や未来を思いながら、わずかな食糧を分け合い、極限状態を生き抜こうとする。
子供を演じるキャストから、トミー役の工藤広夢とピーター役の小西成弥に話を聞いた。

——まずはお二人についてお聞きしたいと思います。小西さんは演劇をよくご覧になっているそうですね。

小西 昨年、観劇のために3週間くらいロンドンに滞在して、舞台を14本とライブを1本見ました。言語が違っても、僕が日本で演劇をやっていて追及しているものと、求めているものは同じだと改めて実感しました。特に心と心の会話、役をその場で生きて、相手とのやり取りによって生まれてくるものを大事にしている。丁寧な作り方をしていると感じました。

——特に印象に残っている作品はありますか?

小西 『となりのトトロ』と『ストレンジャー・シングス ザ・ファースト・シャドウ』です。『となりのトトロ』は「さんぽ」(♪歩こう~歩こう~)など、おなじみの楽曲が登場するのですが、シンガーの方が素晴らしかったです。せりふにところどころ日本語が取り入れられていたり、和を感じる部分がありました。『ストレンジャー・シングス ザ・ファースト・シャドウ』は舞台装置や人物の動きがとてもワクワクする演出で、どういう仕組みになっているのだろうと、非常に興味深かったです。

——工藤さんはこれまで数多くのミュージカルに出演し、様々な方と共演されていますね。

工藤 僕は一緒に仕事をする方を‟仲間”だと思っています。皆で良い作品にしたいという気持ちはもちろんですし、人との縁を信じたり、誰かと出会ったタイミングに意味を感じたりするタイプです。今回は同世代の男性キャストが集まっていることから、かつて水泳をやっていた、いわゆる体育会系だった頃を思い出しました。このメンバーと共演できることを大事にしながら、作品に取り組んでいきたいです。

——『MURDERER』に登場する子供たちも“同じ状況に置かれた集団”ですね。

工藤 新里宏太さんが演じるエリックとは、幼なじみという間柄なので関係性を強く感じています。そのほかの子供たちは、今はまだ、たまたま同じ場所にいたから一緒にいる、というような感覚ですが、これからじっくり考えていきたいです。

——松崎史也さんの演出について、どのような印象を持っていますか?

小西 先日、松崎さんが演出されたCasual Meets Shakespeare『ヴェニスの商人 CS』を観劇しました。シェイクスピアをわかりやすく誰でも楽しめるようにというコンセプトで創作されていることからも、演劇愛がものすごく強い人だということが伝わってきました。今回ご一緒できることがすごく楽しみですし、作品創作を通じて色々なことを吸収したいと思っています。

——工藤さんは今回、松崎さんと初めてご一緒しますね。

工藤 20代前半の頃は初対面の方と仕事をするときには緊張していましたが、ここ数年はなるべく気負わずにありのままでいることを心がけるようになりました。できるだけフラットに、自然に、自分が抱える感情に嘘がないように臨みたいと思っています。

——作品についてお聞きします。今回お二人は子供役ですが、大人役についてはどのように感じていますか?

工藤 あえて役名が「大人」なんですよね。彼が担っているものの大きさを感じます。

小西 記号的に「大人」と書かれていることに意味を感じますね。「大人」のような役柄は一見、物語の中で悪者という対象になりがちな存在ですが、『MURDERER』ではそうならない仕組みになっています。
どちらかというとトミーやピーターといった子供たちの方が、現代を生きる僕らに当てはまる存在だと思いながら脚本を読みました。

工藤 現代社会においてもあらゆる場面に大人のような存在がいると思います。皆それぞれの考えを持っているのに、暗黙の了解で一つの答えに収束させていくということが起こりますよね。大人が正しいと思い込みたい人もいればそうでない人もいて、複数の感情が渦巻いていくのがこの作品の面白さの一つです。それから、理由はわからないけれど大人を信じていく構図や、希望にすがって待ち続けてしまう感覚も興味深いです。

小西 稽古を進めていく中で見えることがとても多い作品だと思います。せりふを実際に声で聞いて、作品が立体的になっていったら、考え方が変わることがあるかもしれません。せりふだけでなく、『MURDERER』はミュージカルなので、歌ったり踊ったりすることでピーターにとって大人の存在がどのように見えてくるか探っていきたいです。

工藤 子供たちはずっと舞台上にいて、大人がスパイスのように現れる構成です。大人が出てくるシーンを体感できることが今から楽しみです。

——それでは最後にお客様にメッセージをお願いします。

小西 僕たちが生きる現代社会、たとえば皆さんが通っている会社や学校で起きていることにも通じるものを持っている作品です。ぜひ劇場で受け取っていただきたいです。

工藤 僕は、普段の生活の中で感じてきたことに重なる部分があったり、たとえ共感はできなくても自分に照らし合わせて考えることができる作品を見たときに、良いお芝居だったと実感します。『MURDERER』を見るお客様にも、ミュージカルの力を借りつつ、僕たちの会話によってそう感じていただけることを目指します。

【写真:交泰】

公演情報

ミュージカル『MURDERER』

[原作] ゲオルク・カイザー『メデューズ号の筏』
[脚本・歌詞] チョン・チャンス
[作曲] ハン・ヘシン
[オリジナル・プロデュサー] ハン・ソヨン
[演出] 松崎史也
[翻訳] みょんふぁ
[出演] 橋本祥平 / 山本咲希・黒川桃花(Wキャスト) / 工藤広夢 / 新里宏太 / 小西成弥 / 原 周石・田仲ゆら(Wキャスト) / 今 拓哉
(戯曲掲載順)

3/7〜15◎本多劇場

あらすじ

爆撃の音が鳴りやんだとき、収容所には6人の子供たちが閉じ込められていた。彼らを発見した大人は「必ず助けにくる」と言い残し、わずかのビスケットと水を放り込み去っていく。それぞれの家族や未来を思いながら、わずかな食糧を分け合い、極限状態を生き抜こうとする7日間。子どもたちを待つ運命とは?