
江戸糸あやつり人形結城座は、その名の通り江戸時代の寛永12年(1635年)に、初代結城孫三郎が旗揚げ。現在の十三代目結城孫三郎まで390年以上の歴史を持ち、国の記録選択無形民俗文化財および東京都の無形文化財に指定されている、伝統ある「江戸糸あやつり人形」劇団として知られている。
現在は、古典の操りをベースに書き下ろしの新作公演、江戸写し絵公演、海外の演出家・作家とのコラボレーションなど様々な公演活動を行い、数度にわたる海外公演も成功を収め、1986年ベオグラード国際演劇祭においては、『マクべス』で今までの人形劇のジャンルを越えた演劇として「特別賞・自治体賞」を受賞し、国外でも高い評価を得た。その旗揚げ390周年記念公演の第三弾として、『伽羅先代萩 めいぼくせんだいはぎ』を、3月25日~29日に東京芸術劇場 シアターイーストにて上演する。
『伽羅先代萩』は1660年から1671年にかけて仙台伊達家に起こった「伊達騒動」を題材とした人形浄瑠璃および歌舞伎の演目で、結城座での初演は天明五年(1785年)。以来、240年も上演され続けてきた。
物語の発端は、遊郭に耽溺し不行状がやまず隠居処分になった足利義綱に替わり、若君・鶴喜代(つるちよ)が家督を相続する。しかし、お家横領を狙う奸臣・仁木弾正(にっきだんじょう)らは若君殺害をもくろむ。そこで、乳母・政岡(まさおか)は、毒殺をおそれて、若君は病気と偽り御殿で自ら飯を炊いて養い、また万一のときは、自分の息子である千松(せんまつ)を幼君の身替わりにと考え、常日頃、千松にも言い聞かせてきた──。
幼君の命を守るため、我が子を見捨てざるを得なかった母の悲哀を描く名作で、旗揚げ390周年記念公演の掉尾を飾る!
三代目両川船遊(構成・監修)からのメッセージ

三百九十周年記念公演も第三弾、とうとう最後になってしまいました。出し物は「伽羅先代萩」です。この作品は結城座にとって大切な作品に違い有りません。この先代萩の政岡役を私は何度もやらせていただきましたが、一番印象に残っている舞台は、自分が演じた政岡ではなく、父が十年間病に臥せって九十歳で復帰した時でした。稽古が進むにしたがって、父は出たくないとか自信がないとか言い出して、私を始め全員が困り果て、最終的には、私が後見をつとめて、父が何か有った時には代役をつとめると説得し、父はシブシブ了承し、政岡を演じる事になりました。本番の時は父の背中合わせに正座をし、父の人形を遣っている姿を見る事が出来ず、自分の背中に神経を集中させ、父の気配を一寸でものがさないように、全神経をそば立てて居りました……それまで父から人形の遣い方を何も教えてもらえなかったのに、この瞬間父にすべての事を背中ごしに伝えられた気持ちになった事が今でも思い起こされます。父はその後3ヶ月後にこの世を去る事になりました。

公演情報

江戸糸あやつり人形結城座『伽羅先代萩~花水橋から床下まで~』
構成・監修◇三代目両川船遊
出演◇三代目両川船遊 十三代目結城孫三郎 結城育子 湯元アキ 小貫泰明 大浦恵実 安藤光 大島千波
3/25〜29◎東京芸術劇場シアターイースト





