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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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大和悠河のパリから贈るエトワール紀行 ~ロマンチックに紡ぐ魔法~⑪

「光の中で、舞台はまだ続いている」

パリに、やわらかな春の光が戻ってきました。

私の家の窓の外には、桜に似たアーモンドの花が咲き始めて、もう二週間ほどが過ぎています。今は満開。日本でも、桜がほころびはじめるニュースを目にしました。

東京より2週間くらい早く咲き始めました。今、満開です。

窓から手を伸ばせば触れられるほどにひらいた白い花びらには、蜂たちが蜜を求めて飛び交っています。窓を大きく開けることはできません。パリの家には網戸というものがないのです。
春の光は、時折り静かに部屋の奥へと差し込み、肌にやさしく触れながら、時間をやわらかくほどいていきます。

オペラ・ガルニエの舞台を背にして立つと、そこに宿る気配が、静かに語りかけてくる。

この冬、いくつもの国の、いくつもの劇場の光をくぐり抜けてきました。それらは、体の奥にうずいたまま、まだ言葉にならずに息づいています。

年末から、パリと日本を往復する日々が続いていました。その仕事の合間に訪れた宝塚。東京宝塚劇場、そして宝塚大劇場。

鳳月杏ちゃんの『GUYS AND DOLLS』を、静かにめくる。その時間が、ネイサンを演じていた頃の記憶を、そっと呼び戻してくれました。

パリに住むようになってから、私にとって帰ってきたパリの玄関口はオペラ・ガルニエ、そしてバスティーユ。
日本の玄関口は東京宝塚劇場。そして出発は宝塚大劇場。
旅はいつも、舞台から始まり、舞台へと還ってきます。

シンデレラタイム、真夜中0時を過ぎても、焼きたてのバゲットに出会えることがある。やさしい光のブーランジュリー(パン屋)

シャンゼリゼのブーランジュリーで、日本では慌ただしさの中でゆっくりと見ることのできなかった宝塚のプログラムを手に取る時間が、愛おしく感じます。日本から必ず持ち帰るその紙の質感が、心を静かにほどいてくれるのです。ドイツやイタリア、そしてパリの劇場で受けた強い刺激のあとに宝塚の世界に触れると、それはまるで静かな呼吸のように、身体の奥をやすらかに整えてくれます。

そして三月。

遠く離れた日本で、もうひとつ、昨年出演した舞台が時間の中に現れます。3月22日、NHK Eテレにて『ビットワールド THE STAGE』が放送されます。

【放送情報】
『ビットワールド THE STAGE』
NHK Eテレ
2026年3月22日(日)13:35〜15:00(日本時間)
2026年3月22日(日)5:35〜7:00(パリ時間)

パリにいながら、日本の時間に私が存在している――その感覚は、どこか舞台そのものに似ています。ここにいながら、そこにいる。触れていないのに、確かに残っている。

舞台とは、時間や距離を越えて、ひとつの気配として私の中に生き続けているのかもしれません。

パリでは今も夜ごとに舞台が立ち上がり、その光と影が、私の内側に新しい感覚をひらいていきます。

その続きを、また紡いでいこうと思います。
春の光の中で。

文◇大和悠河 写真提供:(株)GOOGA

大和悠河のパリから贈るエトワール紀行 ~ロマンチックに紡ぐ魔法~

宝塚トップスター・女優・大和悠河 が紡ぐ、伝説の都からの最新アートのトキメキとカンゲキのクロニクル。
『えんぶ☆TOWN』連載では、大和悠河が石畳のパリで感じた街の鼓動や、心温まる出会いから得た感動、その感動から生まれるインスピレーションで、あなたの日常に新たな光を注ぐことでしょう。
大和悠河の感性と情熱が生み出す独自の美学―既成概念を超える『C調と遊び心』―が、未知なる芸術の航路へとあなたをご招待します。