
観劇後にウキウキ小躍りしてもらえたら!
日本でも大ヒットしたフランス映画『最強のふたり』が、世界初演となるオリジナルミュージカルとして上演される。自由奔放な言動でいつも周りを笑顔にするドリス役を川平慈英、事故により首から下が麻痺した大富豪フィリップ役を浦井健治が演じる。ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』(2017年、19年上演)では親子役だった二人が再びタッグを組み、ぶつかり合いながら友情を育むという、まさに〝最強のふたり〟にふさわしいこの作品について、川平と浦井に話を聞いた。
心が浄化されて温かくなるような作品
──あの大ヒット映画が日本でオリジナルミュージカル化されるということへの気持ちを聞かせてください。
川平 僕もこの映画が大好きなので「来たぜ!」という思いでした。これは食いつかないわけにはいかないでしょう! と。健ちゃんもそうだったんじゃないかな。
浦井 その通りです! 映画の中には愛とか友情、そして、いつだってリスタートできるんだよ、という温かなメッセージなどが描かれています。そういう作品なので、いろんなことが起こる日々の中で、もしかしたらちょっと心が疲れているかもしれないお客様には、心が浄化されて温かくなるような作品になるかもしれないと思いましたね。
──共演者としてのお互いについて、どのような思いがあるのか教えてください。
川平 この企画自体が、健ちゃんと面白いことをやろう、ということで始まったんです。『ビッグ・フィッシュ』では親子役で共演して、あの作品は僕にとっても代表的な、非常に強く残る作品で、それを一緒にできたということで、僕の中には健ちゃんに対する絆というか、あのときの二人の素敵なブレンドは鮮明に残っています。
浦井 うわぁ、嬉しいです!
川平 だから、健ちゃんと一緒に『最強のふたり』をやるとなったときは、あのスパークをステージ上でまたできることへの喜びで、「やったぜ!」という気持ちになりました。
浦井 僕も本当に光栄だなと思っていて、『ビッグ・フィッシュ』は作品自体が大きな愛そのものみたいで、そういうものが人間は必要なんだよ、愛にはいろんな表現があるんだよ、ということを教えてもらえた作品でした。僕はエンターテイナーとして慈英さんのことを尊敬しているので、そんな慈英さんとまたこうして共演できることがとても嬉しいです。今回は役が『ビッグ・フィッシュ』と逆のパターンで、あのときは僕が車椅子を押す立場だったけど、今回は僕が押してもらう役なので、その配役の妙もあると思っています。
川平 最初は僕がフィリップだと思って「やった! ずっと座って芝居できる。これは体力的に楽だぞ」と思っていたんですよ(笑)。そうしたら、配役が逆で。普通に考えたら多分、僕がフィリップで健ちゃんがドリスなんですけど、そこを逆にした演出の板垣(恭一)さんの発想が素晴らしいなと思いました。
浦井 フィリップとドリスは、『ビッグ・フィッシュ』の父親と息子、エドワードとウィルの関係性にちょっと似てる気もしますよね。

負を抱えていても「生きているって素晴らしい」と
──浦井さんは首から下が動かない、車いすに座っているという役になります。
浦井 こういう役は初めてなので、また何か新しい表現の側面というものに出合えるなという思いもありますし、やりがいも感じています。フィリップは身体が動かないことを超えて、人生を謳歌しようという境地にたどり着くので、自分も何かに置き換えて彼の葛藤を自分にも見出して、身体の自由が利かない方に寄り添い、そこにある思いをフィリップを通して表現できたらと思います。
川平 フィリップは肉体的な部分で負を抱えていて、ドリスは生活面というか家族関係の悩みや自分自身の服役経験もあって、やはり負を抱えているんですよね。それぞれ違えども負を抱えている二人が、それを含めて「絆って素晴らしい」、「生きているって素晴らしい」と思えるところに持っていければ最高ですね。そして観劇後に、ちょっとウキウキして小躍りでもしていただければ(笑)、嬉しいです。
──演出の板垣さんが「慈英さんの前向きさと、健ちゃんの思慮深さ」とコメントされていますが、この言葉を受けていかがですか。
浦井 慈英さんの前向きさというのは同感です。誰よりも稽古場で動きますからね。
川平 前向きというか、単なるはしゃぎ屋という説もありますけどね(笑)。褒められるのが好きなんですよ。褒められるためなら何でもやります!
浦井 僕への「思慮深さ」というコメントは、言葉を選んでくださった気がします(笑)。
川平 いや、健ちゃんはよく考えていると思いますよ。僕よりお兄さんだなと思うときがありますからね。『ビッグ・フィッシュ』の時も、「あれ、ジョン・カビラかな」と(笑)。
浦井 違います!(笑)光栄ですけど。
川平 優しいんですよ、周りをよく見ていて。健ちゃんはずっと途切れずに舞台に出ていて、忙しいでしょう? 舞台の上のほうが日常になっちゃってるんじゃないの?
浦井 有難いことに。
川平 舞台上で体鍛えてるようなもんだよね。僕がジムで体を鍛えるように、健ちゃんは舞台で踊って鍛えてる。
浦井 慈英さんは、見ず知らずの人とフットサルをするという鍛え方もしていますよね。
川平 ハハハ(笑)。フットサル場に行って試合を見て、「ナイスゴール!」って声かけて、「あれ、川平さんですか?」って言われたら、「僕も入れてもらってもいいですか?」とお願いして一緒にやらせてもらって、終わってからみんなで飲むんですよ。
浦井 知らない人たちとすぐ仲良くなって、すごいですよね。
川平 僕はどこもピッチだと思ってますからね。もちろん舞台上も。だから今回も頑張って暴れますよ。
──オリジナルの音楽にも期待が高まります。
浦井 演奏が4人編成で少数精鋭だからこそ、この作品の抑制された中にある温かい気持ちが紡げるような気がします。バンドメンバーもキャストの一部みたいになっていくような、そんなアットホームな現場になるんじゃないかと思います。
──この作品を楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
川平 みんなでハッピーになりましょう! 僕たちがハピネスをお届けしますので、劇場でお待ちしております。僕らとハッピーになっちゃっていいんです!(笑)
浦井 キャストもお客様も、みんなで心の底からじんわりと温かい気持ちになっていくような時間を過ごして、観劇後に心が弾むような、「また明日頑張ろう」と思ってもらえるようなミュージカルにきっとなると思いますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

(このインタビューは「えんぶ4月号」より転載)
インタビュー◇久田絢子 写真提供◇NHKエンタープライズ
プロフィール
かびらじえい○沖縄県出身。大学在学中にミュージカル俳優としてデビュー。以降、俳優・サッカーナビゲーターなど幅広く活躍中。ミュージカル『雨に唄えば』で第4回読売演劇大賞男優賞、ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』で第45回菊田一夫演劇賞演劇賞を受賞。最近の出演作品は、ミュージカル『ナビレラ』、木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』、ミュージカル『なにわシーサー’s』など。
うらいけんじ○東京都出身。2000年『仮面ライダークウガ』(EX)で俳優デビュー。04年『エリザベート』皇太子ルドルフ役に抜擢。以降、幅広いジャンルの作品で活躍中。第22回読売演劇大賞最優秀男優賞、第67回芸術選奨文部科学大臣演劇部門新人賞をはじめ受賞多数。最近の主な舞台は、ミュージカル『デスノート THE MUSICAL』、ミュージカル『ある男』、ミュージカル『二都物語』、『天保十二年のシェイクスピア』など。本年3月・4月はミュージカル『破果』、6月には『舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入』に出演予定。
公演情報

ミュージカル『最強のふたり』
脚本・作詞・演出◇板垣恭一
作曲・編曲・音楽監督◇桑原あい
出演◇川平慈英 浦井健治/紅ゆずる 宮原浩暢(LE VELVETS)小野塚勇人 ほか
演奏◇桑原あい・大谷愛(Keyboard Conductor) 横田誓哉(Drums&Percussion) 飯島奏人(Cello) 近藤淳也[東京・名古屋公演]・小西稔大[大阪公演] (Reed)
5/1〜10◎東京公演 ヒューリックホール
5/14〜17◎大阪公演 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
5/21◎名古屋公演 御園座
〈問い合わせ〉
東京公演 サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12:00〜15:00)
大阪公演 キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00〜17:00※土日祝休み)
名古屋公演 中京テレビクリエイション 052-588-4477(平日11:00〜17:00)




