
つかこうへい十七回忌特集
つかこうへいが2026年に十七回忌を迎えるにあたり、今もなお繰り返し上演され続けているつかの代表作『熱海殺人事件』が、2月に『熱海殺人事件』ラストメッセージとして紀伊國屋ホールで上演される。木村伝兵衛部長刑事役には2020年から6度目となる荒井敦史、昨年『新・幕末純情伝』の沖田総司役で舞台単独初主演を果たし、今回は水野朋子婦人警官役をダブルキャストで演じる村山彩希に、作品に向けた意気込みを聞いた。
つか作品と『熱海』の魅力を劇場で感じてほしい!
つか作品初挑戦はシンプルに難しかった
──荒井さんはこれが6回目の『熱海殺人事件』(以下、『熱海』)です。
荒井 僕、つかこうへいさんの作品は、『熱海』以外は『新・幕末純情伝』に1回出ただけなんですよ。歴代の伝兵衛役の方々は『熱海』以外の作品にもいろいろ出ていたりするじゃないですか。でも僕はもうシンプルにほぼ『熱海』だけをやっている男なので。良い言い方をすればスペシャリストかもしれないけど、悪い言い方をすれば「他を託されなかった男」とも言えるので(笑)。
──村山さんは昨年『新・幕末純情伝』(以下、『幕末』)で初単独舞台主演を務められました。初めてつか作品に出演した感想をお聞かせください。
村山 シンプルに難しかったです。台本を読むだけでは分からないこともたくさんあって、書いてあることが全てではないというか、それをお客さんに伝えなくてはいけないというのがすごく難しいし、まず自分が理解するのにも時間がかかりました。私のファンの方たちも、つかさんの作品を観るのが初めてという方が多かったので、最初はビックリしたり戸惑った方もいらっしゃったようですが、観るうちにだんだんその良さや面白さが伝わったのか、何度も観に来てくださったり、ファンからの反響が大きかったことがすごく嬉しかったです。ですからまたつかさんの別の作品に携われるというのはとても楽しみですし、緊張もしています。
──『熱海』のお話が来た時の率直なお気持ちはいかがでしたか。
村山 嬉しさもありましたし、「今回はどんな難しさなんだろう」という思いもありました。あと今回はダブルキャストということで、同じ役柄で比べられるというのが。
荒井 わかる。つらいよぉ!(笑)
村山 そうですよね(笑)。だから、尊敬はありつつも、あまり刺激というか引っ張られないように、自分の軸はぶれないようにしたいなと今は思っています。
──荒井さんからは「つらいよ」という言葉が出ましたが。
荒井 僕はもう本当に、ひがみ、ねたみ、そねみで生きている人間ですから(笑)。でも「絶対負けねぇ!」と思いながら、逆にそれをエネルギーにしています。とはいえ、比べられるというのは、結構心に来るものはあるので、だから例えばお互いにいいところを取り合いながら、自分の役を作り上げていくとかもいいんじゃないかな、と思います。
──荒井さんは『熱海』に何度も出演されていますが、初挑戦の時のことは覚えていますか?
荒井 2020年の『改竄・熱海殺人事件』が初めてでしたが、もうずっと震えてたという感じです。その前年に朗読会で『熱海』の伝兵衛役をやったときから震えてましたけどね。「こんなに緊張するんだ」って思いました。何であんなに震えていたのか、恐怖なのか不安なのか分からないですけど、自分で勝手にハードルを上げていた部分もあるだろうし、「ここで出来なかったら後がないぞ」というのもあっただろうし。だから、1回目のことは今でも鮮明に覚えてますよ。最近の人はみんな肝が据わってるのか全然そんな感じがしないから、すごいなと思います。緊張とかないのかな?(村山に)『幕末』のときはどうだった?
村山 いや、何度逃げようと思ったか(笑)。自分の出番が終わるたびに「次のセリフ何だっけ」というのが頭から離れなくて。ステージに上がるのが怖かったのを今でも覚えています。
きっと「伝兵衛やりたい」って言う!
──お二人は初共演ですが、現時点でのお互いの印象はいかがですか。
村山 今回出演される百名ヒロキさんとは『幕末』でご一緒したのですが、百名さんと荒井さんが同い年だと聞いてびっくりしました。荒井さんはもっと大御所の方だと思っていたので。
荒井 大御所って(笑)。そんなことないから!
村山 そう思うぐらい、どっしりと構えてる姿が頭にあったので(笑)。最初はどんな方なんだろうと探っていたんですけど、お話ししてみたらすごくフレンドリーで優しい方なので、「あ、いろいろ相談していいんだな」と今の段階で思えているのが、すごく嬉しいです。
荒井 僕は村山さんが出演した『幕末』を観に行って、舞台で見たときはもっと背の高い人なのかと思っていたんですが、実際にお会いしたら想像以上に小柄でビックリしました。舞台で大きく見えるということは、それだけ覇気が出る人なんだと思います。
──今回もシャッフル公演がありますし、「十七回忌特別公演」というのも気になります。村山さんはシャッフル公演があると聞いた時にどう思いましたか。
村山 いや、今でもよく分かってないですし、「大丈夫かな」って。多分戸惑うだろうし、それが楽しいと思えるのか……きっと観てるほうが楽しいですよね。だから私も観たいです。
荒井 いや、あなたは出ないと!(笑)
村山 はい(笑)。今はまだ何も見えてない状態ですが、本番は楽しめてるといいなと思います。
荒井 『幕末』の総司をやったんですから、大丈夫だと思いますよ。心の中では「負けないぞ」と思ってるんじゃないかな。
村山 いやいや(笑)。
荒井 シャッフル公演の日に村山さんが言うことを、今のうちから予想しておくと、「木村伝兵衛やりたい」って言うと思う。
村山 ええー、本当ですか? 早くそうなりたいです!(笑)
──公演を楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
村山 個人的には、自分のファンの方に新しい一面をお見せしたいというのはもちろんなのですが、やっぱりつかさんの作品ならではの魅力というのは、実際に観ていただかないと分からない部分が多いと思っています。来て、観て、ハマってリピートしてしまうくらいの良さがありますので、何度も観に来ていただけると嬉しいです!
荒井 今回は水野と大山はダブルキャストで2チームありますので、それぞれのチームと良い創作の時間になればいいなと思っています。僕のやることは、本当に一生懸命頑張ることしかないと思うので、毎回新鮮な気持ちで、人が変われば感じ取れる部分が変わったりもするので、それを全部拾いに拾った上で、最後は勝ちにいける作品にできたらいいなと思います!
(このインタビューは「えんぶ2月号」より転載)
インタビュー文◇久田絢子 撮影◇松山仁
プロフィール
むらやまゆいり○神奈川県出身。2011年、AKB48第13期生オーディションに合格し、AKB48のメンバーとして活動開始。劇場公演への出演回数歴代最多を誇り、〝シアターの女神〟と称された。2025年、AKB48卒業後初の主演舞台として、革命ミュージカル『新・幕末純情伝』に挑み、沖田総司役を演じ、俳優としても高い評価を受ける。
あらいあつし○埼玉県出身。第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでビデオジェニック賞を受賞。ドラマや映画、舞台など幅広く活躍中。主な出演作は、映画『神さまの轍』(主演)『真田十勇士』『HiGH&LOW THE WORST』『教場Reunion/Requiem』、ドラマ『サ道』、『まだ結婚できない男』武田鉄矢版『水戸黄門』(格之進役)、Netflix『幽☆遊☆白書』(武蔵役)、舞台『新・幕末純情伝』、『巌流島』など。『熱海殺人事件』の木村伝兵衛役は6回目となる。
公演情報

つかこうへい十七回忌特別公演『熱海殺人事件』ラストメッセージ
作◇つかこうへい
演出◇中江功
出演◇荒井敦史 大原優乃・村山彩希(Wキャスト) 横田大雅(CLASS SEVEN)・百名ヒロキ(Wキャスト) 高橋龍輝
2/14〜3/2◎紀伊國屋ホール
〈問い合わせ〉Mitt 03-6265-3201(平日12:00〜17:00)




