
「濱マイク」は自分が思い描くかっこいい人物像
舞台『私立探偵 濱マイク -罠- THE TRAP』が本年2月〜3月に上演される。永瀬正敏主演、林海象監督により1994年の第一作公開以降、数多くのファンを生んだ映画「私立探偵 濱マイク」シリーズを原作として、一連の映画公開30周年を記念し、2021年に朗読劇、2022年にその第1弾を舞台化、そして2025年には第2弾の舞台版を上演し、今回がついに第3弾・完結編の上演となる。朗読劇から主人公の濱マイクを演じ続けて来た佐藤流司に、完結編に向けた思いを聞いた。
西田演出には絵画のような美しさがある
──朗読劇からはじまった本作ですが、今回が完結編となります。率直なお気持ちは。
第1弾の時から「完結編までやりたい」という話はずっとしていたので、無事にここまでこぎ着けたことに非常にホッとしています。
──濱マイクという役を演じるにあたって、過去のインタビューで「自分のままで演じている」とお話しされていました。それは具体的にどのような感覚で演じていらっしゃるのでしょうか。
自分が台本を読んで思うままといいますか、濱マイクという役だからこうしなきゃ、みたいなことを意識せずに演じているという感じです。役によっては「なんでこういう思いになっちゃうのかな」とか、「ここでこういう動きをしてしまうんだな」みたいな、ある種の驚きだったり納得がいかない部分が出てきたりします。それを埋めるのも役者の仕事だとは思いますが、濱マイクに関してはそんなことはないというか、動きもすごく理解できるし、自分が思い描くかっこいい人物像に合致しているので、とても共感が持てます。
──「役を演じる時には、結局どうやったって自分になる」というようなお話しもされていましたが、それは濱マイクという役以外の時もそういう感覚で演じていらっしゃるのでしょうか。
役を演じるときに、自身のスパイスが全く入っていない役者というのは見たことがないというか、絶対にその人が演じているからこその役になっていると思うんですよね。声色だったり立ち姿だったり癖だったり、絶対に自分は出てしまうので、それを無理に消す必要はないですし、むしろ役と混ざり合った時に新しい化学反応が生まれるものだと思っています。
──西田大輔さんの演出の魅力を教えてください。
まず絵作りが美しい。舞台装置や照明の作り方、役者の立ち位置やアクションに至るまで、他にはない唯一無二の、絵画のような美しさがあると感じます。アクションは特に、舞い踊るような西田さんならではの美しさのあるアクションが特徴的かなと思います。
──作品におけるアクションの存在というのは、どういった効果があると感じていますか。
やっぱり会話のみだと、どうしても集中力が切れる瞬間が来ると思うんですよ。そういった時に「目で楽しい」みたいな場面があると、きっと舞台への集中力も違うと思います。アクションが入ることで迫力や臨場感も違ってくるかなという気はします。
──前回から引き続きのキャストがいることは、安心材料の一つになりそうですね。
本当に言うことがないというか、家族みたいなキャストが揃っているなという感じです。個人的には、やはり星野くんと妹の茜は芝居の根幹に関わってきますので、今回も矢部(昌暉)くんと小泉(萌香)さんが出てくれてよかったなと思います。新作なので新しいキャストの方もいらっしゃいますし、その方々がしっかりのびのびお芝居できる環境を整えるのも、引き続きの出演になるキャストの役割だというふうにも思うので、稽古場の空気作りからやっていきたいですね。
──〝座長〟というような意識はお持ちですか。
それはないですね。アンサンブルの方からスタッフの方まで、全員で横一列に進んでいくのが座組だと思っているので。
何かしら人生に影響を与える作品だと思う

──佐藤さんはこれまでも様々な幅広いジャンルに挑戦されてきました。
そうですね。特に2024年と2025年は、とにかく新しいものに挑戦していく年にしたいという思いがずっとありました。やはり同じことだけできてもしょうがないというか、役者ってそういうことじゃないと思っているので。例えば、ダンスといえばこの人、立ち回りといえばこの人、歌といえばこの人、みたいな何かに突出した役者がたくさんいる中で、僕自身は何かに突出する才能はないと思っているんですね。5段階評価はそれぞれ全部「4」で、「5」のない人間なんじゃないかな、と。ただ、全部「4」はできるぞ、という自信もあるので、何かのトップではないけど全部できる人間になりたいという思いはあります。そういった意味でも、いろいろ挑戦させてもらっているという感じです。
──夏にはTRPGを舞台上でプレイするという異色の舞台『カタシロ』にも挑戦されました。
いやあ、あれは面白かったですね。言ってしまえばエチュード(即興劇)なので、瞬発力が試されたというか。興味のある話題が盛り込まれた内容だったので、物語にも入りやすかったような気がしています。
──舞台上で瞬発力が試される瞬間というのは、役者としてはどのような感覚なのでしょうか。
ちょっとしたトラブルへの対処力とか、いろんな状況で必要になってきますよね。役者って基本的には同じことはできないと思っていて、その日のコンディションとか、体調とか精神状態に左右されて然るべきだと思うんです。本作について言えば、本番の舞台でお見せするものは稽古期間で作り込んできて完成したものなんですが、相手が変われば自分も変わるし、自分が変われば相手も変わるということで、作り込んだ上で柔軟に対応しながらその日の舞台を作り上げることが大事かなと思います。
──シリーズ完結編となる公演を楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
第1弾からすごく好評をいただいている作品です。お芝居を観て、受け取るものがあるとかないとかって、よく言われる言葉ですが僕自身はあまりそういうことは気にしたことないのですが、でもこの濱マイクという作品に関しては、お客さんが受け取るものが多いみたいなんです。きっと少なからず、何かしら人生に影響を与える作品なんじゃないかなというふうに思います。個人的には、毎回マイクには辛い別れがあったりして、それでも前を向いていくかっこよさがあるので、皆さんもきっとしんどいことが多いと思いますが、「マイクみたいに強く生きていける」と感じてくれたらいいな、と思います。
(このインタビューは「えんぶ2月号」より転載)
インタビュー◇◇久田絢子 撮影◇松山仁 ヘアメイク◇有藤萌 スタイリスト◇吉田ナオキ 衣装協力◇sus-sous(シュス)/株式会社マサムネ 03 6869 5359
プロフィール
さとうりゅうじ○東京都出身。2011年ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」で俳優デビュー。以降、ライブ・スペクタクル『NARUTO』、ミュージカル『刀剣乱舞』等、数多くの舞台作品に出演。また、映画「HiGH&LOW THE WORST」、ドラマ「三屋清左衛門残日録 永遠の絆」など映像作品でも活躍。最近の出演舞台は、舞台『応天の門』(主演)、舞台『私立探偵 濱マイク-遥かな時代の階段を-』(主演)、ミュージカル『東京リベンジャーズ』#2 Bloody Halloween、舞台『近松忠臣蔵』(主演)。

舞台『私立探偵 濱マイク-罠- THE TRAP』
原作◇林海象 映画「-罠- THE TRAP」(「私立探偵 濱マイク」シリーズ)
脚本・演出◇西田大輔
音楽◇田井モトヨシ
出演◇佐藤流司/福井巴也(UNiFY) 川上千尋/上田堪大/矢部昌暉(DISH//) 小泉萌香 七木奏音/なだぎ武/大沢健/野々花ひまり
2/28〜3/8◎東京 サンシャイン劇場
3/14・15◎大阪 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
3/20◎愛知 COMTEC PORTBASE
©林海象/舞台「私立探偵 濱マイク」製作委員会2026
公演情報




