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情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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Web版シバイのミカタ(2026年4月)

2025年11月より、えんぶ本誌に「シバイのミカタ」が復活!
本誌に載せきれなかった公演のご紹介もこちらに掲載いたします。

梅田芸術劇場 ミュージカル
『ISSA in Paris』

原案・作詞・作曲◇モーリー・イェストン 脚本・歌詞◇高橋知伽江 演出◇藤田俊太郎 出演◇海宝直人 岡宮来夢 潤花 豊原江里佳 中河内雅貴/染谷洸太(Wキャスト) 彩吹真央/藤咲みどり(Wキャスト)ほか

1/10〜30◎日生劇場

撮影◇岡千里

言葉には未来を変える力がある


日本の俳人・小林一茶の「空白の10年」に着目した『グランドホテル』『ファントム』ら多くの傑作ミュージカルの音楽を手掛けたモーリー・イェストンの原案を基に、脚本・歌詞の高橋知伽江、演出の藤田俊太郎が、それぞれの才能を注ぎ込んだオリジナルミュージカルが初演の幕を開けた。現代日本のシンガーソングライターと一茶が時空を超えてフランス大革命勃発間近のパリで魂を交わし合うという壮大なファンタジーだが、根底から言葉には未来を変える力があるという信念が奇想天外なドラマに祈りを与えている。海宝直人、岡宮来夢以下キャストの熱演が創作に寄与し、今後更に練り上げ、洗練されていく伸びしろを感じるオリジナルミュージカルの船出だった。

writer/

燐光群+グッドフェローズプロデュース
『OIL』

作◇エラ・ヒクソン 翻訳◇一川華 演出◇水野玲子 芸術監督◇坂手洋二 出演◇森尾舞 円城寺あや 猪熊恒和 岡本舞 ほか

1/9〜18◎ザ・スズナリ

撮影◇姫田蘭

まるで長編小説の読後感


1880年代から始まる物語は、一組の母娘と約200年の時空を旅する。石炭から石油へ。石油の発見による時代の大きなうねりを、様々な時代を生きた母娘を通して映し出す。戦争・利権問題・お金・支配…。石油が人々へもたらしたものは幸せか、、。娘への支配にも似た母の愛と、恩恵とも争いの火種とも受け取れる石油の関係性がどことなく近しい。弦部分に細工を施したピアノの生演奏による効果音が劇世界をより立体的にし、母を演じた森尾舞が劇場全体を支配する素晴らしく重厚な作品。物語の余白が未来まで続くようだった。

writer/辻林 遙

ワンダーヴィレッジ LiVE×Reading Musical
『オッサン(36)がアイドルになる話』

原作◇もちだもちこ 脚本◇白柳力 演出◇中本吉成 音楽◇岡村洋佑
出演◇スタンミじゃぱん 反橋宗一郎 廣瀬智紀 谷内伸也 金井勇太 雨宮翔 たいよう きょうへい 徳井太一 前田峻輔 免出知之 ほか

2025/12/11〜14◎博品館劇場

ひとに優しく。遅すぎるなんてことはない。


無職・引きこもり・肥えた36歳が動画投稿サイトに触発され、ジム通いで激痩せイケメンになりダンスに挑戦する。そのダンス動画がバズりアイドルデビューすることに。一見、ザ・漫画的展開に気持ちが置いてけぼりになりかけたが、これは自分のことだろうかと私自身に置き換えて観劇する瞬間が何度も訪れた。ある程度の年齢以上の人なら誰もが思う「今更無理」という感情に「できる」という波動を送ってくれるオッサンアイドル達。常に他者を尊重して前に進もうとするオッサン達に人生の厚みも感じた。自分の内面の「無理」を跳ね返す要素のひとつは「他の尊重」なのかもしれない。思わぬギフトを貰った気持ちで劇場を後にした。

writer/きんぐ

きっとろんどん
『首2』

作・演出◇井上悠介 出演◇リンノスケ 山科連太郎 渋木のぼる 井上嵩之 佛淵和哉 平川和宏 井上悠介 久保章太 ほか

2025/11/27〜12/7◎OFF・OFFシアター

撮影◇種田基希

“超能力”取材で描く、異色の社会派ルポ演劇


2023年に北海道で実際に起こった「すすきのラブホテル猟奇殺人事件」を題材に作品を創る…という過程自体を演劇にした、現実の「二次創作」とも言うべき怪作。劇団員達が「突如目覚めた”超能力”によって取材を進める」というトンデモ設定により、フィクション性を担保し、実在の加害者・遺族らの個人情報から上手に距離を取りつつ、同時にコメディとエンタメ性を実現した見事な構成。リンノスケら演じる加害者父と娘の生々しい会話が露わにする「当事者の静かな絶望」と、それを描いた作家の圧倒的な想像力に戦慄したが、アフタートークでは、殺人現場となったホテルで実際に働いていた女性本人まで登場し…現実が歪む不思議な感覚に陥った。

writer/イトウシンタロウ http://nice-stalker.com(イトウシンタロウ主宰団体)

0の地点 キビるフェス2026参加作品
『西のまるい魔女』

作・演出◇池田美樹(劇団きらら) 出演◇峰尾かおり 宗 真樹子 秦かよこ(ペッツ)

2025/12/19〜21◎ぽんプラザホール

大人のシスターフッド、シャランラ!


まず50代の女性3人芝居という構造が良い。日本の劇場には本作のような「成熟した大人向けの演劇作品」がもっと必要だ。とはいえ小難しい話ではなく、漬物屋でのアルバイトや、降って湧いた遺産相続や、こつこつ集めたマンガの本棚や、追いかけて手放した東京が、軽やかに朗らかに語られていく。子どもの頃に夢中になったマンガに、大人になってから抱きしめられるような、大人全員に必要な時間を過ごせる演劇。福岡を拠点に活動する、峰尾かおりと宗真樹子の俳優二人のユニットが熊本の劇団きららの池田美樹の作・演出で、福岡で10年間続く演劇祭「キビるフェス2026」参加作品。

writer/黒澤世莉 https://serikurosawa.com

ウイングコネクト Wing New Creative Connection 01
白いたんぽぽ×イトウワカナ(intro)

『ハートの有無にかかわらず』

脚本◇中辻英恵(白いたんぽぽ) 演出◇イトウワカナ(intro) 出演◇毛利あかり(原脈) 荒金理香 大江雅子 竹内宏樹 水本名海子(劇団昴)

2025/12/26〜29◎ウイングフィールド

撮影◇晴川言葉

「冷蔵庫との結婚」から浮かび上がる、心の在処


奇しくもこの公演の直前に「第32回OMS戯曲賞」大賞を受賞したばかりの中辻英恵の戯曲を、北海道の劇団「intro」主宰のイトウワカナが演出する企画。中辻が所属する「白いたんぽぽ」の旗揚げ作品を、俳優を一新してリクリエーションした。一人の女性が「冷蔵庫と結婚する」と言って、大真面目に式の準備を進めていく、なんとも不条理な設定からスタート。そこから女性と周囲の人々の本音と共に、どうせ心が読めないのなら、それは人間も冷蔵庫も変わらないのでは? という「心の存在」をめぐる哲学的な問いかけも浮かび上がってくる。各人物の会話を丁寧に紡ぎ上げて、最後はハッピーな空気を作り上げた、イトウの誠実な演出も光った。

writer/吉永美和子

発見の会60+1公演
三島由紀夫生誕百年・宇能鴻一郎追悼記念

『復興期の精神ー近代篇』

作◇上杉清文 演出◇有馬則純 出演◇飯田孝男 輿石悦子 後藤恭徳 金子清文 反町鬼郎 秦京極 ししくら暁子 柿澤あゆみ 山崎春美 他

2025/12/18〜21◎上野ストアハウス

熱を帯びた空間


凝縮されたアングラ演劇の熱を浴びた。良い悪いといった括りでは縛ることができない、 ただただ純粋で引き込まれる情熱のようなものを全身で感じるような体験だった。時代が進んでいくかのように逆行していく物語は難解ではあるが、 よく知っているはずなのに進む方向が違うだけで生じる違和感はコミカルな側面を持ちながら、 時に風刺的でとても魅力的なものだと感じた。 時代の変化にともなって大きく場面の雰囲気が変化していくため、 長尺の演劇ではあるもののテンポが良くとても楽しめた。作品に関わった人々のもつ様々な形の熱が同じ空間に居る観客にもダイレクトに伝わるような一体感を感じることができた。

writer/野口

きっとろんどん
『首2』

作・演出・出演◇井上悠介 出演◇リンノスケ 山科連太郎 渋木のぼる 井上嵩之 佛淵和哉 平川和宏 久保章太(土日公演のみ) 伊藤百穂

2025/11/27〜12/7◎下北沢OFF・OFFシアター

撮影◇種田基希

曖昧な境界の中で、笑いと恐怖とリアルを


北海道の劇団「きっとろんどん」の東京進出後第2作目。2023年に北海道で実際に起こった猟奇殺人事件を、新作舞台の題材にしようとする、とある劇団の物語。観客はフィクションとノンフィクションと現実を行き来しながら、時に笑い、時にヒリヒリと心をすり減らし、この曖昧な境界の舞台の世界へずるずると引き込まれてゆく。途中目を背けたくなるようなシーンもあるが、ニュースで見聞きしていた事件が本当に自分の目の前で起きているようなリアル感と、見てはいけないものを見てしまったという恐怖感が身体中を駆け巡った。怖いものが正直苦手ではあったが、観劇後は「怖かったのにとてもおもしろかった!」と胸を張って言える作品だった。

writer/ひろ https://x.com/hiro165

なにわニコルソンズ
舞台『クレイジーレイン』

作・演出◇木下半太 出演◇立山誉 谷野まりえ 乃緑 吉見春人 いしだ壱成 ロッシー(野生爆弾) 二階堂心 中山佳祐 他

1/9~18◎インディペンデントシアター2nd

四者四様の狂気、一番のクズ刑事は誰?


2020年にドラマ化もされた本作。劇場のほか高級クラブや焼肉屋など、日本各地を多様に巡行し、キャスト・配役すら回替わりする変幻自在の公演だ。物語は、殺害現場のライブハウスで4人の刑事が張り込みをすることから始まる。人のいい上司と癖の強い3人の部下の会話で、それぞれが抱える秘密が暴き出されていく。ドラムが叩き鳴らされ、眼鏡が宙を舞う破天荒さを目撃するもその回限り。演劇における一期一会の醍醐味が濃厚に漂っていた。しかしその自由度をもってしても、観客を狂気の渦中に引きずり込むような伏線回収の衝撃には敵わない。本当に狂っていたのは誰か。観た人の数だけ答えが生まれる光景に、今もなお狂わされている。

writer/ぺぺアジこ https://note.com/ajipepepe

東映
舞台フォールポイント

作・演出◇広瀬格 
出演◇梅津瑞樹 花栁のぞみ 柳下大 今村美歩 加藤啓

2025/11/19〜11/30◎銀座 博品館劇場

実験室と化す劇場で、何度も何度も何度も


VRゲームの最終テスト中、トラブルに遭遇した開発メンバーたち。彼らが触れていたのと同じ装置を前にしたある男は、「答え」を求めて仮想空間へダイブする。冷え冷えとした開発室で発生する、時にあっけらかんとした惨事に泣き笑いしそうだった。次々と明かされる事実と、浮かび上がる関係性の矢印、その情報量に観客への信頼を感じた。応えたくて物語にしがみつき続けると、気持ちの良い疲労感を得た。ゲームの中の世界を描きつつ、会話中心のサスペンスとして魅せる。文章でこう書くのは簡単だが、演劇作品として成立していることに驚くばかり。抜け出せてほっとしつつ、再び囚われてしまいたくなる、不思議な悪夢のような2時間だった。

writer/クロエ https://note.com/kuroe3chi