キノカブ×杉原邦生の名作『勧進帳』開幕!

歌舞伎の人気演目を軽やかに再構築した、木ノ下歌舞伎版『勧進帳』が東京芸術劇場シアターイーストにて、9月1日に開幕した。

演劇に関わる者なら一度は耳にし、その斬新な作品創造スタイルに注目せずにはいられない木ノ下歌舞伎(通称:キノカブ)。木ノ下歌舞伎の代表作である『勧進帳』は、主宰・木ノ下裕一が監修・補綴、そして創作当時は企画員として木ノ下歌舞伎に在籍していたKUNIO主宰の杉原邦生が演出・美術を担い、2010年に初演された。その後、2016年にリクリエーション版を上演、ジャポニスム2018の一環として招聘されたパリ公演も好評を博した。

近年、木ノ下裕一の多岐にわたるメディアなどでの活躍とともに、歌舞伎の現代における上演の可能性を問う挑戦的な作品を生み出し続けるキノカブと、国内外、古典・現代劇を問わず確かな演出力を発揮し続ける杉原邦生。今、大注目の二人が、「再び上演したい!」と願った自信作の5年ぶりの再演で、初めての東京公演となる。

さらに、今回の『勧進帳』公演では、オーディションで選出された若手スウィング俳優の出演回の設定や、東京芸術劇場が2009年から取り組む鑑賞サポートの特別版の実施、公演前の特別対談映像配信、公演期間中の有料トークイベント(詳細は後日発表)など、より深く作品を楽しめる、さまざまな関連プログラムを展開される。

【コメント】
公演の初日を迎えたスタッフ・キャストからコメントが届いた。

木ノ下裕一/監修・補綴
木ノ下歌舞伎の『勧進帳』は「境界線/ボーダー」をテーマに再構築しています(それは原作中にある「人目の関」というワードが発想の元なのですが)。物語の中では、敵と味方、主人と家来、そして出自の違いなどいくつものボーダーに、登場人物たちは直面します。私たちもまた、実社会の中で思想や属性、性差や経済状態などたくさんのボーダーの中を生きています。そう易々と越えられるものではないこともよく知っています。
舞台上の弁慶や義経や富樫の姿を見ていて、「たとえ越えられなくても、寄り添うことはできるんだな」と思いました。悪しきボーダーは無くなるに越したことはありませんが、その第一歩として、他者との間にあるボーダーをつぶさに診て、寄り添おうとすること。
その勇気とやさしさが、皆さんの心に届くといいなと思っています。

杉原邦生[KUNIO]/演出・美術
2023年版『勧進帳』が劇場に立ち現れた様を観て、この作品の持つ〈チカラ〉を再び感じられている自分がいます。2016年初演のリクリエーション版から基本的な演出プランの変更はありません。それでも、今回の上演はいまの僕にとって新たな挑戦です。心から信頼するキャスト、スタッフとともにこの挑戦に挑めていることが誇らしいです。古典の、そして、演劇の〈チカラ〉を劇場で体感してください!皆さまのご来場お待ちしております。

リー5世/武蔵坊弁慶 
木ノ下歌舞伎の『勧進帳』はとても面白い作品で、忘れられない舞台になることは間違いないです。是非、見に来てください。
舞台上で使われる日本語は現代語なので、安心してください!
『勧進帳』を初めて見る人でも楽しめます!
『勧進帳』を知ってる人は更に楽しめます!
私たちが作り上げた作品をとても誇りに思い、私がこの作品を見るたびに楽しむぐらい、皆さんにもこの作品を楽しんで頂きたいです。
劇場でお会いできるのを楽しみにしています。

坂口涼太郎/富樫左衛門 
生涯やり続けたいと思えるこの作品を同じ仲間と、そして新たな仲間と今お届けできて幸甚です。
『勧進帳』はボーダーラインを挟み、暴力ではなく言葉と知性で戦う物語です。
ボーダーラインを作るか作らないか、越えるか越えないかはいつも自分で決めるもの。
戦争や差別や暴力に対抗する一番の武器は知性と理性とユーモアだという願いと教えが込められたこのキノカブ版『勧進帳』は百年後に古典として受け継がれるような名作だと思っておりますが、私達には今しかございません。
日常というボーダーラインを越えて、是非劇場でボーダレスへの第一歩を目撃しにいらしてください。

高山のえみ/源九郎判官義経  
2023年版、開幕しました。
歌舞伎ですし、時代も違えば、身近に起こる出来事でもないのに、キノカブ『勧進帳』の道のりは舞台上の道に乗っかっている気さえする。
そんな私たちの”今”を観にきてください。
木ノ下さんの言葉を借りれば、心を込めて臨みます。


 
【公演情報】

東京芸術祭 2023 芸劇オータムセレクション
東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』
監修・補綴:木ノ下裕一
演出・美術:杉原邦生[KUNIO]
出演:
武蔵坊弁慶…… リー5世
源九郎判官義経…… 高山のえみ
富樫左衛門…… 坂口涼太郎
常陸坊海尊/番卒オカノ …… 岡野康弘
亀井六郎/番卒カメシマ …… 亀島一徳
片岡八郎/番卒シゲオカ …… 重岡漠
駿河次郎/太刀持ちの大柿さん ……大柿友
スウィング……佐藤俊彦 大知
●9/1~24◎東京芸術劇場 シアターイースト
〈お問い合わせ〉東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296(休館日を除く 10:00~19:00)
WEB https://www.geigeki.jp/t/
〈東京芸術劇場公式サイト〉 https://www.geigeki.jp/performance/theater331/

【全国ツアー】
●9/29〜10/1◎沖縄公演 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場(特設客席)
●10/7・8◎上田公演 サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール(特設客席)
●10/14・15◎岡山公演 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 小劇場
●10/21・22◎山口公演 山口情報芸術センター スタジオA
●10/27・28◎水戸公演 水戸芸術館 ACM劇場
●11/4・5◎京都公演 京都芸術劇場 春秋座(特設客席)

 【舞台写真/東京芸術祭 2023 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』 撮影:細野晋司】

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