波乃久里子・尾上菊之丞・大和悠河、日本橋公会堂 錦秋公演『新編 糸桜』開幕! 

波乃久里子の主演で深い感動を呼んだ舞台『糸桜(いとざくら)』が、10月12 日、13日の二日間限定で、演劇ユニット「新派の子」錦秋公演『新編 糸桜』として日本橋劇場で上演される。その初日が12日に開幕した。

開幕前を前に舞台稽古が行われ、「新派の子」主宰で本作の脚本・演出をつとめる齋藤雅文はじめ、主演の波乃久里子、共演の尾上菊之丞、大和悠河からも充実した舞台への期待が膨らむコメントが届いた。

2016(平成28)年の初演から、コロナ禍の2021(令和3)年の再演を経て、この度、三度目の上演となる『糸桜』は、『新編 糸桜』として磨き上げられた。演出の齋藤雅文は「“新版”は、より深く描き出した“決定版”となりました!(主演を勤める波乃)久里子は、本当にすごい! いつも傍にいる私が言うのだから、本当です。今回、『新編 糸桜』をやってよかったと今、改めて実感しています! 菊之丞さんは笑っちゃいけないけど、本当に素晴らしい。久里子が稽古初日の読み合わせで、つい“大当たり!”と声掛けちゃったほど。今回出ていただけて本当によかったです。お見逃しなく! 大和悠河さんは華やかで素敵ですよね。三回目となる今回はひときわ大人の芝居になっていて、役が深まっています。今回は原作にある関東大震災の場面を書き加えましたが、彼女自身、阪神淡路大震災の経験と重なる部分があるようで、すごくいい場面になっています。是非、色んな方に観ていただきたいです!」と自信の漲るコメントを寄せた。

役者の個性を最高の形で発揮させる“究極の当て書き”がなされた齋藤雅文の脚本は、父・河竹黙阿弥の作品を守るために生涯独身を貫く一人娘・糸と、名優・十七代目中村勘三郎を父に持つ波乃久里子と重なり合い、まさに“虚実皮膜”の演技で賞賛を浴びてきた。

主演の糸を勤める波乃久里子は、「この『糸桜』という作品に出合えたこと、そして齋藤雅文先生が私に当てて書いてくれた糸さんを再び演じられること、本当に感謝しかありません。役者冥利に尽きる、こんな幸せなことはございません。齋藤先生が私に当てて書いていただいたということは、私の人生すべてを懸けて、舞台に臨まなければ失礼ですよね。この二日間、この大切な糸さんというお役に生きたいと思います! 当日券のご用意もあると伺っておりますので、向こう三軒両隣、皆様お誘い合わせで、劇場でお目にかかれることを楽しみにしております」と心からのコメントを寄せた。

本格的なストレートプレイに初挑戦となることも話題の日本舞踊尾上流四代家元・尾上菊之丞は「稽古から楽しくて、若返った気分です。なにぶん、一年生なものですから、全部が初めてで新鮮、刺激的な毎日です。客席とは違って、面と向かって飛んでくる役者さんたちのその迫力とエネルギーに、こんなにすごいんだ!と日々驚いております。特に久里子さんは、すごい…としか言いようがない。本当にご一緒させていただいて、よかったと心から思っております。僕はとにかく初めてですから、本番でどうなるかわかりませんが、是非、見届けていただけたらと思います」とコメントを寄せた。

初演以来、作者の家に嫁いでくる、みつを演じる、宝塚歌劇団元宙組トップスターの大和悠河は「久里子さんのお芝居が本当にリアルで!嫁姑として劇中で怒られる場面では、本当にいきなり怒られたんじゃないかと思うくらい(笑)…リアルなんです! 今回は旦那様が菊之丞さんにかわって、私としても今までとはまた違う『糸桜』を経験しています。菊之丞さんは初めてのストレートプレイとは思えないですよね。言葉が響くんです。素敵な旦那様です。今回、関東大震災の場面が加わり、これまでセリフだけだった息子を亡くす場面も描かれています。私自身、阪神淡路大震災のときの建物が崩れて、地面が割れて…という経験が甦ってきて、脳裏に焼き付くそんなシーンを思い出すと涙が出てきます。それだけ衝撃的でした。そんな経験も今回の舞台に生かせればと今、思っています。これまで以上に、もっともっと深めて行こうと齋藤先生に言われておりますので、三回限りの公演ですが全力でやりたいと思います!」とコメントを寄せた。

《『新版 糸桜』とは》
江戸の幕末期から明治という激動の時代に活躍し、江戸歌舞伎の粋を極めた河竹黙阿弥は、その生涯でおよそ360 本の膨大な作品を残した歌舞伎の名作者。本年2023 年は、黙阿弥が没して130 年の節目の年で、歌舞伎座でも1 月から毎月のように黙阿弥作品が上演されている。
時を超えて愛され、歌舞伎のレパートリーの中でも最も上演頻度の高い黙阿弥作品は、ある一人の女性が“女の一生を懸けて”守り抜いたことにより、現代まで受け継がれてきた──その女性こそ、黙阿弥の一人娘・糸。糸の奮闘を描いた河竹登志夫(黙阿弥の曾孫。歌舞伎研究家)の「作者の家」を原作として、新派文芸部の齋藤雅文が女優・波乃久里子に当てて書き下ろした新派の新作舞台『糸桜~黙阿弥家の人々~』は、2016(平成28)年1 月に三越劇場で河竹黙阿弥生誕二百年記念として上演された。“作者の家”を守る糸、“作者の家”の養子となる繁俊、“作者の家”に嫁ぐみつという血の繋がりのない三人が、それぞれの想いを胸に秘めて、ぎこちないながらも親子として心を通わせていく、笑いあり涙ありの感動作。人と人との絆を描いた心温まる舞台は高い評価を博した。

齋藤雅文による書き下ろしは、役者の個性を最高の形で発揮させる“究極の当て書き”がなされ、父・黙阿弥の作品を守るために生涯独身を貫く一人娘・糸を演じた波乃久里子は、名優・十七代目中村勘三郎を父に持つ波乃自身と重なり合い、まさに“虚実皮膜”の演技で賞賛を浴びた。初演にも関わらず、「久里子十種が制定されたなら確実に入る作品」との声が上がるほど。再演を望む声が多く上がるなか、初演から5 年を経た2021(令和3)11 月、コロナ禍に演劇ユニット「新派の子」を立ち上げた齋藤雅文が、「新派の子」の企画第二弾として『糸桜』を再演。波乃久里子の主演により日本橋劇場で二日間限定の公演を行うと、再演を待ち望んだ観客とその評判を聞きつけた観客が集まり満席、熟成度を増した舞台に、初演を超える熱気に包まれた。

そして、この度、演劇ユニット「新派の子」錦秋公演として『糸桜』が新編として上演。河竹黙阿弥没後130 年の節目の年に、齋藤雅文が新たな想いを込めて手掛ける『新編 糸桜』の主演に波乃久里子。そして、満を持してストレートプレイに挑む日本舞踊尾上流四代家元・尾上菊之丞に、初演以来連続出演となる宝塚歌劇団元宙組トップスター・大和悠河がキャスティングされ、「『糸桜』決定版をお送りします!」と齋藤が意気込む『新編 糸桜』。今日までの公演、お見逃しなく!

【公演情報】
演劇ユニット「新派の子」錦秋公演 河竹黙阿弥没後百三十年
『新編 糸桜』
脚本・演出:齋藤雅文(河竹登志夫「作者の家」より)
出演:波乃久里子 尾上菊之丞 大和悠河
只野操/村岡ミヨ、鴫原桂/石橋直也/下野戸亜弓、堅田喜三代社中
/喜多村次郎、市村新吾/佐堂克実
●10/12・13~◎日本橋公会堂(日本橋劇場)中央区日本橋蛎殻町1-3-1 日本橋区民センター内
※当日券は、各回開演45 分前より受付にて販売。開場は開演30 分前より。
〈公式X〉https://twitter.com/shinpa_no_ko 

【舞台写真/塚田史香】 

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