オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』2024年2月、吉祥寺シアターにて上演!

「今、この作品を上演する意味」にこだわり、まだあまり知られていない戯曲も意欲的に取り上げ、数々の優れた作品を上演してきたオフィスコットーネ代表だった演劇プロデューサー綿貫凜。2022年に急逝した彼女が書き残した企画構想のメモを元に、気鋭の演出家・五戸真理枝と俳優が集結し、2024年2月に吉祥寺シアターにてオフィスコットーネプロデュース作品『卒兵タナカ』が上演される。

作者は、1920年代のドイツで表現主義の第一人者として舞台を風靡した劇作家ゲオルク・カイザー。1940年に彼がスイスで書いたのが、この貧しい農家の出身である兵卒タナカの物語だ。今回、この作品の演出を手がける五戸真理枝からのメッセージが届いた。

今も世界の各地で戦争や紛争が続いていて、今までに地球全体が平和だった時代などあるのだろうかと、ふと考え込んでしまいます。
『兵卒タナカ』の作者ゲオルク・カイザーは、ナチスに新作の出版や上演を禁じられ、スイスに亡命しました。この作品は1940年、62歳の時にスイスで上演されました。主人公タナカにはカイザーの心が宿っているようで、いくら言葉を尽くして訴えても聞いてくれない相手に物言うために書かれた戯曲のように感じます。カイザーは社会情勢に絶望しながらも、武器ならぬ筆を取り、愚かな戦争に対する最終兵器のような戯曲を書いたのではないかと思うのです。作者の心のうちに世界との闘いを見るような気持ちです。
世界が虐殺を繰り返すならば、それに対抗する芝居を打たなければならない。
物語を荘厳していく。丁寧に読みとき、綺麗に飾り立てることで、まずは作者の魂を鎮めたいと思っています。恐ろしいほど美しい上演にしてみたいのです。

【五戸真理枝プロフィール】
1980年生まれ、兵庫県出身。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。2005年文学座付属演劇研究所に入所。2010年に座員昇格。演出部や演出助手として劇団内外の多数の公演に携わる。2022年、『コーヒーと恋愛』(文学座アトリエ)、『貴婦人の来訪』(新国立劇場)、『毛皮のヴィーナス』(シアタートラム)の演出において、第30回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞。

【あらすじ】
貧しい農家の出身である兵卒タナカは、休暇をとり、戦友ワダとともに実家を訪れる。軍人となった息子が帰ってくることを一家は喜び、贅の限りを尽くして迎え入れるが、村は不作が続き、大飢饉のまっただ中にあった。 自身の軍人という身分が、もっとも身近な存在の犠牲により成り立っている現実を突き付けられたとき、タナカが信じて疑わなかった世界が音を立てて崩れていく―――。

【公演情報】


オフィスコットーネプロデュース
『兵卒タナカ』
DER SOLDAT TANAKA作◇ゲオルク・カイザー
翻訳◇岩淵達治
演出◇五戸真理枝(文学座)
企画◇綿貫凜
出演◇平埜生成 瀬戸さおり 朝倉伸二 かんのひとみ(劇団道学先生) 渡邊りょう 土屋佑壱 名取幸政(青年座)
村上佳(文学座) 比嘉崇貴(文学座) 須賀田敬右(青年座) 澁谷凜音(青年座) 永野百合子(妖精大図鑑) 宮島健

2024年2/3~14◎吉祥寺シアター

公式サイト
https://officecottone.com/tanaka/

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