東京宝塚劇場雪組公演 初日前、彩風咲奈&夢白あや 囲み取材レポート

宝塚歌劇雪組公演、Happy“NEW”Musical『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』-Boiled Doyle on the Toil Trail- Winter Spectacular『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』-Snow Troupe 100th Anniversary-が、東京宝塚劇場で上演中だ(2月11日まで)。

Happy“NEW”Musical『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』-Boiled Doyle on the Toil Trail-は、世界で最も有名な名探偵と讃えられる「シャーロック・ホームズ」をこの世に生み出し、世界的な名声を手にした英国の作家サー・アーサー・コナン・ドイルが、実は「ホームズ作家」と呼ばれることに抵抗を感じていた、という有名なエピソードを軸に、作・演出の生田大和が、ホームズが実際に作者であるドイルの前に姿を現したら?という、ユニークな着想で描いたミュージカル。望んでいた作家としての名声を手に入れたものの、自分の想像力から生まれたはずの存在に自身の夢を脅かされそうになるドイルの葛藤を、あくまでも前向きな妻ルイーザをはじめ、心根の曲がった人は出てこないだけでなく、現実が辛いからこそ「物語」が必要だ、と信じる生田の信念によって、美しく描かれていくミュージカル作品だ。

続くショー Winter Spectacular『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』-Snow Troupe 100th Anniversary-は、宝塚歌劇に雪組が誕生して100周年となるこの年を記念して、世界中から宿泊客が集まってくる秘境のホテル“FROZEN HOTEL(フローズン・ホテル)”を舞台に、ここで伝えられる100年に一度花を咲かせる“雪の花”と、その開花を見た恋人たちは永遠に結ばれるという伝説が生み出す恋人たちの姿を、クリスマス・イヴから、ニュー・イヤーにかけて描く野口幸作作・演出によるスペクタキュラー・シリーズ第6弾。
どんなに切ない時代のなかでも、舞台の幕を開け100年の歴史を紡いできた先人たちの偉業をいまこそ語り継ごうという思いが、ミュージカル界のヒットメイカー、フランク・ワイルドホーンが書き下ろしたオリジナル曲「SNOW FLOUR WILL BLOOM」に集約される、美しいレビューの世界となって展開されていく。

そんな舞台の開幕を前にした1月2日通し舞台稽古のあと囲み取材が行われ、雪組トップコンビ彩風咲奈と夢白あやが公演への抱負を語った。

【囲み取材】

彩風咲奈 お忙しいなかお集りいただきましてありがとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い致します。

夢白あや 本日はお集りいただきありがとうございます。2024年もよろしくお願い致します。

──とても宝塚らしい二作品でしたが、作品の見どころを教えてください。

彩風 本当に宝塚らしい作品に出演させていただけてとても嬉しいです。お芝居は決して派手な作品ではないのですが、その中にも物語の大切さやドイルという人が、とても純粋な心を持っているので、この人が思い描く夢、想像、そういうものにお客様も一緒に浸っていただきたいな、そこが宝塚らしいところに通じているのかなとすごく思います。そして、ショーの方は本当に盛りだくさんで、新年は明けましたけれども、またクリスマスからもう一度お正月まで楽しめるものです。何よりも雪組100周年のためにフランク・ワイルドホーンさんが書き下ろしてくださいました楽曲が素晴らしくて。私はその歌を歌わせていただく時に、これまで素晴らしい先輩方が紡がれてきた歴史や、お顔が思い浮かびます。そして宝塚を愛してくださる方々、お一人お一人のお顔も浮かぶので、大切にさせていただきたいと思います。

夢白 お芝居、ショー共に大変明るい作品になっていると思いますので、是非観にいらしてくださったお客さまに元気にハッピーになってお帰りになっていただけたらと思っております。そして雪組としては本年100周年を迎えますので、いつも以上に盛り上げて行きたいと思います。

──お芝居の役を演じる上で大切にされているところと、ショーではたくさんのデュエットダンスを見せてくださっていますが、特にお好きなところを教えてください。

彩風 アーサー・コナン・ドイルという人を演じるにあたり、色々な本や資料を見せていただきましたが、本当に面白い方で、多趣味で、作家だけにとどまらず色々なことをされているので、そういう方を演じるということで、演じるのは人生の一部ですけれども、自分が閉じこもっていてはいけないなと思いますから、毎回、毎回、想像、妄想(笑)を働かせて、夢をいっぱい膨らませています。本当に色々な人に出会って、事件も起こり、一番はシャーロック・ホームズですが、自分がただ生きているだけでは出会えない人たちにたくさん出会うので、きっとご本人もものすごいエネルギーを使って生きていらしたのではないかと思います。このドイルを生きる為に私も、いつも舞台には命を燃やしておりますが、更に、更にパワーを倍増させて挑んでおります。
ショーのデュエットダンスはどこも好きなのですけれども、やはり本日も衣装で選んでおりますショーの最後のデュエットダンス、今回は二人きりのデュエットダンスではなく、フィナーレで色々な構成がある中で最後に二人で踊るということなので、その構成もすごく好きですし、大人な雰囲気で。このショーはホテルがモデルになっているのですが、最後はホテルに来た人々とのフェアウェルパーティーという設定なので、AYA(夢白の役名)もFESTIVE(彩風の役名)もこのホテルで出会って結ばれたけれど、またそれぞれの場所に帰っていき、でもまたきっと来年もここで出会うのだろうな、という色々な気持ちを馳せながら踊らせていただいております。

夢白 今回演じさせていただくルイーザ・ドイルという役柄はドイルの妻として無償の愛。アーサーを想う愛を一番大切にしたいなと思っています。信じる心って何よりも強く、演じる上でとても繊細で難しいポイントだなと思ったりもしたのですが、何より信じる心を大切にしています。日々さきさん(彩風の愛称)と歩ませていただいていることとリンクする部分もあって、新鮮に、二人の関係性を濃密に描けたらいいなと思っています。
ショーの方では、私は出会いの場面が好きです。カートに乗っていって二人の目が合う。デュエットダンスではないのですが、そこからスタートして、最後の人生はメリーゴーランドに続くので、私はそこがお気に入りです。

宝塚110周年、雪組誕生100年の年頭に二人が颯爽と入ってきた、その一瞬で場が華やいだのが印象的。何より読書家として知られる彩風の、役柄への深い探求がこの短いやりとりからも伝わり、そんな彩風の姿勢に盤石の信頼を寄せ、ともに舞台を創っている夢白の言葉も趣深く、充実した囲み会見だった。

なお、公演レビューも後日掲載予定です。どうぞお楽しみに!

【公演情報】
宝塚歌劇 雪組公演
Happy“NEW”Musical『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』-Boiled Doyle on the Toil Trail-
作・演出:生田大和
Winter Spectacular『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』-Snow Troupe 100th Anniversary-
作・演出:野口幸作
出演:彩風咲奈 夢白あや ほか雪組
●1/3~2/11◎東京宝塚劇場
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター[東京宝塚劇場]0570-00-5100
〈公式サイト〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/boileddoyleonthetoiltrail/

【ライブ中継・ライブ配信情報】
●2024年2月11日(日・祝)13:30公演[千秋楽]
■販売期間:
【先行抽選販売】1月6日(土)11:00~1月16日(火)12:00
【一般発売(先着順)】2月3日(土)11:00~2月9日(金)12:00
〈詳細〉LIVE VIEWING JAPAN https://liveviewing.jp/boileddoyleonthetoiltrail-tokyo/

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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