ミュージカル『ボディガード』いよいよ再演！ヒロイン・レイチェル役、May J.インタビュー！

2024-02-14

日本語で蘇る名曲の数々と、サスペンスを孕んだストーリー展開が大好評を生んだミュージカル『ボディガード』再演の舞台がいよいよ2月18日東京渋谷の東急シアターオーブで開幕する(3月3日まで。のち3月９日～11日山形・やまぎん県民ホール、3月30～4月7日大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演)。

ミュージカル『ボディガード』は1992年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演により世界中で大ヒットを遂げた映画『ボディガード』を舞台化した作品。グラミー賞受賞曲「I Will Always Love You」をはじめ映画でもお馴染みの楽曲などをふんだんに使った大型ジュークボックスミュージカルとして、英国「ローレンス・オリヴィエ賞」で、最優秀作品賞を含む4部門にノミネートされ、18か月の英国&アイルランドツアーを完売してウエストエンドへ凱旋。オランダ、ドイツ、韓国、カナダ、イタリア、オーストラリア、スペイン、フランス、オーストリア、米国等世界中で上演され、日本では、2019年9月に本場英国キャストによる初の来日公演を果たした。

更に、満を持した2020年春、新演出にて東京・大阪での公演を予定していた日本キャスト版初演は、コロナ禍の影響により殆どの公演回が中止になるも、2年後の2022年1月大阪、2月東京にて念願の再演が叶い、ミュージカルとLIVEコンサートの楽しさが融合した舞台は、大きな喝采を呼び、2024年2月〜4月、待望の再演の舞台が開幕する。

そんな作品で人気絶頂のポップシンガー、レイチェル・マロン役を新妻聖子とWキャストで演じるMay J.が、初演の思い出と再演の舞台に懸ける意気込みを語ってくれた。

夢が叶うってこんなに素晴らしいことなのか

──再演の舞台がいよいよ間近となってきましたが、改めて初演を振り返っていただいて、元々憧れの役だったと伺っておりますレイチェル役を、実際に演じてみていかがでしたか？

自分自身の殻を破りたいというのがひとつの目標としてあったので、ダンスも含めて1回の公演ごとに学ぶことが本当にたくさんあって、毎日が勉強でしたし挑戦でもありました。でもやっぱり夢が叶うってこんなに素晴らしいことなのかと、実感する日々でもあって、とても楽しかったです。

──この作品とレイチェル役のどこが心に響いていらしたのですか？

元々ホイットニー・ヒューストンが大好きで、小さい頃から彼女の歌声をCDでたくさん聞いていました。それこそ彼女の歌い方を真似して、私自身が歌を覚えていったという部分もあるほどなので、自分にとっては勝手にですけれども、歌の師匠のような存在の方なんです。その人が演じたお役をやらせていただくというのが、まず本当に光栄で、だからこそ自分にちゃんとできるのかな、という心配もありましたが、思い切って挑戦させていただいて本当に良かったと思っています。

──ご自身で演じてレイチェルという人物に感じたところ、ここが素敵だなとか、或いは少し難しいと感じられたところなどがもしあれば、教えていただけますか？

私自身は普段物静かと言いますか、あまり思ったことをハッキリ口に出すタイプではないんですね。人と衝突することも好まないですし。でもレイチェルはもう、本当に思ったことをパーッと言ってしまうタイプで。そういう部分ではまさに真逆の性格のキャラクターだったんです。でもだからこそ、こんな風に強い女性になってみたいという気持ち、憧れも大きかったので、この機会に自分の性格をちょっと変えてみるかぐらいの、強い気持ちで臨みました。

──ではレイチェルを演じている時には、生来のご性格からは飛翔する感じですか？

普段からそう意識しています。ですからいつもの私だったら、これはちょっと言わないなということも、思い切って言ったりもしますね。

──それは演じる醍醐味がより深いでしょうし、May J.さんご自身シンガーでいらっしゃるので、演じていてレイチェルに対してより理解できるところもおありになるのでは？

演じている時はレイチェルとして生きて、話していますからあくまでもMay J.ではないのですが、でも例えば、ライブをやっている最中にレコーディングもやって、オフでは家庭もあって家族もいる、あまりにも忙しくて「もう頭がいっぱいいっぱいなの！」という感覚はすごくわかります。私たちシンガーは常にプレッシャーを感じ続けながら過ごしているところが確実にあるので、その辺りはすごく自分と重ね合わせて演じていました。普段の自分も活用するというと言葉が適切ではないのかもしれませんが、でも自分のなかにある感情もレイチェルの台詞に乗っていると思います。

──そうしたレイチェルを創っていくなかで、前回はレイチェル役がトリプルキャスト、今回は新妻聖子さんとMay J.さんのWキャストですが、お互いの演技で刺激を受けるものもありますか？

私は何しろ演技経験がすごく浅いので、前回の柚希礼音さんも含めて、新妻聖子さんとお二人の演技を観させていただけたことで、私自身が色々なものを引き出していただけたと思っています。

──そのなかで、May J.さんご自身のレイチェルの個性や、演じる上で大切にされていることは？

レイチェルは先ほども言いまたが、基本的に気の強い女性ですし、何しろ大スターという役柄なので、まずその強さをきちんと出したいと思っています。子供もいて私生活も大切にしないといけないのですが、でもそれでシンガーとしての在り方に影響が出ていると感じられてしまうのは、レイチェルは嫌だと思うんですよね。ですからシンガーで、しかも大スターである以上、歌やダンスのパフォーマンスがレイチェルにとってファーストプライオリティなんだ、というところはすごく大事にしています。

更に余裕をもって役を楽しんで演じたい

──また、レイチェルには周りに助けてくれる素敵なチームの方々が揃っていて、今回新たなキャストも加わってよりパワーアップしていると感じますが、皆さんとの演技はどうですか？

本当にすごい方々ばかりなので、はじめは緊張してしまい、レイチェルは気が強いはずなのに、私はしょっちゅう「すいません」「ごめんなさい」ばかりを繰り返していました。それで、このままではレイチェルになれない、と思った瞬間があって。とにかく自分がやりたいようにやり、言いたいことを言えるようにならないとダメだということで、皆さんがすごく協力してくださって、ボール投げの練習をしたりもしたんですよ。

──ボール投げと言いますと？

台詞を言い捨てながら、一緒にボールも投げるんです。

──あぁ、なるほど！ボールを相手にぶつける勢いで台詞をおっしゃるのですね？

そうです、そうです。時には頭に当たっちゃったりもしたんですが「いいから、いいから、いっぱいぶつけて！」みたいな感じで、皆さんが手伝ってくださったおかげで、いまはレイチェルとして気を遣わずにポンポンと台詞が言えるようになっています。

──カンパニーの素敵さが伝わってきますが、先ほどからお話が出ているようにレイチェルがシンガーだということで、ミュージカルと言ってもまた少し感覚が違うのかも、とも思いますが、レイチェルとして作品のなかで歌われる時と、May J.さんご自身がアーティストとして歌われるのとでは、違いを感じるところはありましたか？

前回公演の時には違うなと思っていたんですが、いまはあまり違いを感じなくなりました。と言うのも、ミュージカルの舞台に立たせていただいて、実際にその役を演じている中で感じる思いが歌になるということを経験させてもらえたことによって、アーティストとして歌う時にも歌詞の世界が各段に表現しやすくなったんです。ですから今はあまり自分の中で差がないなと感じています。ミュージカルを経験したことで、歌に対しての思い入れの仕方をひとつ掴むことができたと感じているので。

──つまり、俳優として演じたことがシンガーのMay J.さんにとっても相乗効果になったということでしょうか。

はい、この舞台の経験が確実に自分のLIVEにも生きているので。

──それは本当に素晴らしいですね。その上で、いま再演の舞台に向けて楽しみにされていることや、より深めたいと思っていることはありますか？

新キャストの方が加わられたことによって新たな風が吹いていますし、そのなかでもキャストの結束、絆がより深まりましたし、経験者の方たちは更に前へ、前へと新たなチャレンジをされる余裕が出ていらしているので、私自身もそういう余裕が出せるように、まず楽しんで演じたいです。本当に再演でもう一度この舞台に立てることが幸せなので、精一杯頑張りたいです。

『ボディガード』という作品が究極の夢

──その「舞台」そのもの魅力についてはいかがですか？

舞台って本当に生のもので、毎回同じ作品、同じ脚本、同じ歌やダンスを同じメンバーでさせていただいているのに、1度として同じことはできないんです。でも逆に、その日に感じたものをお届けできるのもその日、その回だけということが、とても面白いなと感じます。その1回、1回の変化を楽しめるのが、演じる側の良さなのかなと思います。

──また、この『ボディガード』の舞台を経験されたことで、ミュージカルの舞台に対しての意欲や、今後具体的な作品名でなくて大丈夫なのですが、こんなものにも出てみたいなど、新たに生まれた夢はありますか？

正直『ボディガード』という作品が私にとって究極の夢だったので、いまは頭のなかが『ボディガード』でいっぱいなんです。演じることもダンスもふんだんにあって、その上に自分の好きなホイットニーの楽曲を日本語で伝えられる、もう私にとって全ての夢がこの作品で叶ったので、いまは再演の舞台を生きられる幸せをただ感じています。

──それほど思い入れの強い作品に出会われているということなので、再演の舞台の開幕がますます楽しみですが、May J.さんからここは是非観て欲しいというおススメシーンをあげていただくとすると？

全てが見どころだと思っているのでとても悩みますが、ボディガードのフランクと言い合ってちょっと喧嘩みたいになってしまったあとに、落ち込んだレイチェルがその負の感情さえもパワーに変えて、自分のショーの歌で発散し、爆発させるところがカッコいいなと思っているので、強いて言うならそこは是非観て欲しいです。でも本当に全編、すべてが見どころなので、是非隅々までご覧いただきたいです。

──無理なご質問をしてしまってすみません。もうひとつ、ご自身が歌い、演じるという部分で変わったなと感じるところはありますか？

やはり先ほどもお話しましたが、生の舞台ではその日の気持ちを届けるので毎回毎回違いますし、やはり私自身が母親になったことで、それ以前に歌っていた歌を歌う時にも、違う表現をしているなと感じることもあります。どれひとつとして同じ歌はないですし、常に変化していくものなんだなと。ただLIVEで歌う時にはお客様お一人、おひとりの目を見て歌いますが、レイチェル役として舞台にいる時には、客席全体を俯瞰しているイメージなので、そこはLIVEとの大きな違いなだけに、お客様お一人おひとりのお顔がよく拝見できるカーテンコールの楽しさはとびっきりですし、お客様との一体感を強く感じるので、是非一緒にカーテンコールまで楽しんでください。

──お話を伺って、ますます2024年版の開幕が楽しみですが、では改めて開幕を待たれている方々にメッセージをお願いします。

ミュージカル『ボディガード』をご覧になった方も、はじめての方もいらっしゃると思いますが、このミュージカルは、もちろんひとつの作品としても楽しめますし、まるでLIVEコンサートを観ているかのような音楽も楽しめる、ひとつの作品で何通りもの楽しみ方ができる舞台になっています。最高にハッピーになれる時間を皆さんに過ごしていただけると思いますので、是非観にいらして下さい。劇場でお待ちしています！

■PROFILE■

めい・じぇい〇日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち、幼少期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りをもこなす。 2006年メジャーデビュー。記録的な大ヒットで社会現象にもなった、2014年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌（エンドソング）を担当。同年の第65回紅白歌合戦に初出場。2015年1月には自身初となる、日本武道館の単独公演を開催。デビュー15周年となる2021年1月にはベストアルバム「May J. W BEST 2 -Original &Covers-」を発売。 2020年ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』に舞台初出演した。2024年4月17日には、10枚目となるオリジナルアルバム「AURORA」をリリース。

【公演情報】
ミュージカル『ボディガード』
原作◇ローレンス・カスダン作ワーナー・ブラザース映画「ボディガード」
脚本◇アレクサンダー・ディネラリス
訳詞◇森雪之丞
翻訳◇阿部のぞみ
編曲◇クリス・イーガン
演出・振付◇ジョシュア・ベルガッセ
出演◇新妻聖子／May J.(Wキャスト)　大谷亮平
AKANE LIV 水田航生加藤潤一大久保祥太郎
内場勝則
野林万稔／古澤利空／笹本旭(トリプルキャスト)
青山航士
飯田一徳岡田治己加藤翔多郎鹿糠友和熊澤沙穂後藤裕磨斎藤葉月杉浦小百合杉山諒二橋本由希深瀬友梨 Micc 吉元美里衣（五十音順）
[スウィング] 新井健太江崎里紗
●2/18～3/3◎東急シアターオーブ
【料金】S席 14,000円　A席 9,500円　B席 5,500円（全席指定・税込）
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場　0570-077-039（10時～18時）
●3/9～10◎山形・やまぎん県民ホール
●3月30～4月7日◎大阪・梅田芸術劇場メインホール
アフタートークショー、特典付きチケットなど詳細は　公演ホームページ参照　
〈公式サイト〉https://bodyguardmusical.jp/