宝塚花組トップコンビ、柚香光&星風まどかの卒業公演である花組公演ミュージカル

『アルカンシェル』~パリに架かる虹~が、東京宝塚劇場で上演中だ(5月26日まで)。

ミュージカル『アルカンシェル』~パリに架かる虹~は、ナチス・ドイツ占領下のパリのレビュー劇場「アルカンシェル」(フランス語で「虹」)では、ドイツ軍の進駐目前にユダヤ系のスタッフが次々と亡命。残された人気ダンサーのマルセル(柚香)が振付を、看板歌手のカトリーヌ(星風)が演出を任されるなかで、はじめは意見を対立させていた二人が、心を通わせていく様を軸に、時代の暗雲のなか、レビューの灯を護ろうとする人々の姿を、パリ解放への長い道のりの過程に描く小池修一郎のオリジナル作品。

そんな舞台の初日を前に、柚香光と星風まどかの囲み取材が行われ、通し舞台稽古を滞りなく終えた二人が、公演への抱負を語った。

【柚香&星風挨拶】

柚香 こうして無事に東京公演の通し舞台稽古ができましたこと、心から感謝致しております。まずは何よりもご覧いただきましたお客様に喜んでいただける舞台をお届けできますよう精進して、大切に務めて参りますので、どうぞ皆様応援のほどよろしくお願い致します。

星風 東京での通し舞台稽古を終えて心から嬉しい気持ちでいっぱいでございます。この気持ちを胸に最後まで笑顔で元気に精進して参りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

──お二人にとって退団公演となる作品となります。宝塚大劇場公演を終えていまどのような気持ちで東京公演の初日を迎えようとなさっていますか?

柚香 新たにこの作品をより良いものにしたいと、お稽古場、そして舞台稽古をさせていただきました。約1ヶ月半(宝塚大劇場で)公演をさせていただきましたが、やはりやればやるほど、もっとここはこうできるのではないかですとか、もしかしたらここでは役の人物はこういうものを抱えているのではないかなど、色々な発見があったり、探求心もわいて参りますので、改めて東京公演、少しでもお客様に何かが届くような、エネルギーのある舞台にできるように、作品をまた一から見つめているところです。

星風 いま柚香さんがおっしゃった通り退団公演ではあるのですが、東京公演ではいつも思うことで、大劇場公演を終えて更に東京での千穐楽に向けて高みを目指して、という段階をちゃんと踏めるように、今回も心がけて大切に演じていきたいと思っています。

──お役柄を演じる上で大切にされていることと、フィナーレのデュエットダンスがまるで一篇のドラマのようですが、踊っていらしての心境を教えてください。

柚香 役にたいしては大劇場に向けてのお稽古、そして大劇場公演と長い間向き合ってきたのですが、今になってまた「もしかしたらマルセルってここではこんな風に感じていたのかもしれない」という思いが湧いてきたり、カトリーヌとも(星風に)昨日もちょうどね、もう一度台本を一から読み返して、一つひとつの場面を読み解いていって、二人の関係性を「ここはこうかもしれない」とディスカッションしながらやっているので、よりマルセルに対して、またカトリーヌとの関係をどう表現していけばよいのかを、まだまだ探求しております。デュエットダンスは(星風に)どうですか?

星風 銀橋に出るときに、いつもでしたら上手下手に分かれて進んでセンターでまたお会いする形が多いのですが、今回はご一緒に手をつなぎながら…

柚香 銀橋をお散歩してるのね(笑)

星風 お散歩できるのがすごく幸せですし、先生方の愛を感じますし、大切に演じたいです。

柚香 皆様に見守っていただけるようなデュエットダンスや、作品を濃く、濃く創っていきたいと思いますし、私たち自身もその時間を大切に過ごしたいなと思います。

──ドイツ占領下のパリの劇場を描いた作品のなかで、ご自身に通じるものは?

柚香 私自身コロナ禍で一番に感じたのがお客様への感謝でした。作品のなかでマルセルも、もちろん自分のダンスをどうしていきたいか、という思いもあるのですが、やはり劇場に詰めかけてくださるお客様に、楽しんでいただけるものを創ることが何よりも大切だと気付いていき、そこから彼は成長していきます。そこが私にも重なるところだと感じますし、やはり何よりもお客様が一番であると思っていますので、とても通じるところです。

──「たゆたえども沈まず」という楽曲が非常に印象的ですが、歌っていていかがですか?

柚香 歌詞の意味や旋律の美しさを私もすごく感じておりますし、そこからたくさんのパワーをいただいています。柚香としてもマルセルとしてもすごく心惹かれる楽曲でございますので、出会わせていただけたことにとても感謝しております。歌っている時には銀橋にいるのでお客様のお顔がよく見えるのですが、お客様も色々な思いを、ひとつの言葉、歌詞から膨らませながら聞いてくださっているのを感じますので、そういった時間をお客様と一緒に過ごせることに改めて感謝致しますし、その分私も心をこめて歌いたいと思っています。

──様々なダンスシーンが登場しますが、振付師のお役柄であることも含めて、ダンスについて感じることは?

柚香 お客様に色々なタイプのナンバーをご覧いただけるのをすごく嬉しいなと感じています。マルセルは振付師ではなく、振付に挑むことになる一人のダンサーですが、そんなマルセルを演じられることで、改めて自分の踊りから何をお客様にお届けすればいいのか、踊りを極める、研鑽を積むということに対する自分の意識がマルセルに通じて、卒業公演ではありますが学ばせていただくことが毎日あります。そういったお役を最後にさせていただけることを嬉しいなと思っています。

レビュー・ミュージカルと感じる作品のなかで、二人が囲み取材に芝居部分の衣裳を選択したことからも一端が見えるように、宝塚大劇場公演の長丁場を終え、いままた東京公演の開幕にあたって、もう一度一から台本を読み直し、場面を読み解いている、という二人の芝居と、役作りに対する姿勢には感心させられるばかり。場面ごとに状況や考え方が変わっていく役柄の行間を埋めていく作業を千穐楽まで続けていくのだろう二人の姿は、きっと花組の未来に大きな糧を残すに違いない。後半、柚香に質問が集中していたことにも、その場では気づかなかったほど、ひとつひとつの言葉に二人がアイコンタクトや、微笑みで思いを共有している様が、コンビの相性の良さを改めて感じさせる。何より囲み取材の最後に、柚香が両手を胸の前で記者たちにしみじみと美しい笑顔で手を振ったのが印象的で、花組トップコンビとして二人が過ごす、この東京宝塚劇場での時間が実り大きなものになることを改めて願う囲み会見だった。

【公演情報】

宝塚歌劇花組公演

ミュージカル『アルカンシェル』~パリに架かる虹~

作・演出◇小池修一郎

出演◇柚香光 星風まどか ほか花組

●4/14~5/26◎東京宝塚劇場 

〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター[東京宝塚劇場]0570-00-5100

〈公式サイト〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2024/arcenciel/index.html

【東京公演ライブ中継・ライブ配信情報】

★全国映画館でのライブ中継

【東京宝塚劇場公演】

■日時:5月25日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]

■料金:4,700円(税込/全席指定)

■会場:全国各地の映画館

■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

  

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】

■日時:5月26日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]

■料金:5,200円(税込/全席指定)※来場者特典「メモリアルチケット」付き

■会場:全国各地、台湾・香港の映画館

■配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

★ライブ配信

【東京宝塚劇場公演】

■日時:5月25日(土)15:30公演[サヨナラショーあり]

■販売期間:5月18日(土)10:00~5月25日(土)16:00

■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信

■視聴料:3,500円(税込)

【東京宝塚劇場公演 千秋楽】

■日時:5月26日(日)13:30公演 千秋楽[サヨナラショーあり]

■販売期間:5月19日(日)10:00~5月26日(日)14:00

■視聴方法:「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」にて配信

■視聴料:4,000円(税込)

詳細 https://www.tca-pictures.net/haishin/live/#arcenciel-tokyo-last

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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