【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.135「生成AI」

70代も後半に差し掛かっている我が母親が先日、携帯電話を持ち歩かずに、アップルウォッチ的なものだけでやりくりしていた。
電車の改札は腕時計をかざし、LINEなども腕時計にサササッと指を滑らせていた。
これが、最近始めたわけでもなく、もう何年も前から、父親共々そんな感じなのだ。
たまに、面白かったyoutube動画のリンクも送ってきたりする。
デジタルの進歩の波にひょうひょうと乗っかり、乗りこなすその姿にいつも、ひどく自分の固さや遅れを感じたりする。
興味がないわけではないが、向いていないのだ。

そんな私が、
生成A Iで死者を蘇らせる、というニュースに触れた。
激しく動揺したのは言うまでもない。
亡くなってしまった大切な人が、画面の中で、生成A Iで蘇り、喋りかけてくるのだ。
今はまだ、若干のA Iっぽさはあるものの、本物そのものになる日はすぐにやってくるだろう。
「私の夢は、普通の人がデジタルの力で「永遠に死なない」ことを実現することです。」
その開発者が言っていた。
賛同しようがしまいが、いつか実現するだろうし、死んだ者と会話するのが当たり前のようになる時代はくるのだろう。
「永遠に死なない」ようでは、「死んだかいぞく」も描きづらくなるなあ。

著者プロフィール

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。

【今後の予定】

・彩の国さいたま芸術劇場・音楽劇「死んだかいぞく」
脚本・演出:ノゾエ征爾 原作:下田昌克
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/99619/
7月20日〜7月28日(彩の国さいたま芸術劇場 小ホール)
8月  4日(日)上田公演(サントミューゼ 小ホール)

8月  7日(水)富山公演(オーバード・ホール 中ホール)

8月10日(土)福井公演(ハーモニーホールふくい 小ホール)

8月17日(土)神戸公演(神戸文化ホール 中ホール)

8月21日(水)北九州公演(J:COM 北九州芸術劇場 中劇場)

8月24日(土)・25日(日)岡山公演(岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場)

8月31日(土)松本公演(まつもと市民芸術館 小ホール)
 
・モチロンプロデュース「ボクの穴、彼の穴。W」
翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾 翻訳:松尾スズキ 
原作:デビッド・カリ、セルジュ・ブロック
9月17日〜9月29日@スパイラルホール(東京)
10月4日〜10月6日@近鉄アート館(大阪)
https://otonakeikaku.net/stage/5055/
 
・世田谷パブリックシアター「ロボット」
潤色・演出:ノゾエ征爾 原作:カレル・チャペック
2024年11月〜12月@シアタートラムほか
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/

▼▼前回の連載はこちら▼▼
https://enbutown.com/joho/2024/05/15/nozoe134/

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