篠井英介主演『天守物語』開幕!
篠井英介主演、超攻撃型新派劇『天守物語』が8月22日に東京芸術劇場シアターウエストにて初日の幕を開けた。その舞台写真と開幕コメントが届いた。
本作は、主催の「PRAY▶」が松竹株式会社の協力のもと、篠井英介との合同企画として日本古典演劇の名作『天守物語』を上演する。「PRAY▶」は、新派劇の手法を軸に、日本古典劇の様式を繊細に踏まえつつも、古今東西の様式を柔軟に用いた現代に鮮烈に”刺さる”新演出で現代中小劇場に最適化する「RENOVATION」に挑戦してきた。Vol.4となる今回では、世界観に共鳴した篠井英介との共作として、また古典演劇の”総本山”松竹株式会社からの協力を経てシアターウエストに進出する。
《あらすじ》
白鷺城の最上階にある異界の主こと天守夫人の富姫が、侍女たちと語り合っているところへ、富姫を姉と慕う亀姫が現れ、宴を始める。その夜、鷹匠の姫川図書之助(ずしょのすけ)は、藩主播磨守の鷹を逃した罪で切腹するところ、鷹を追って天守閣最上階に向かえば命を救うと言われ、天守の様子を窺いにやってくる。
しかし富姫に二度と来るなと戒められて立ち去るが、手燭の灯りを消してしまい、再び最上階へと戻り火を乞う。すると富姫は最上階に来た証として、藩主秘蔵の兜を図書之助に与える。この兜から図書之助は賊と疑われ、追われるままに三度最上階へ戻ってくる。
いつしか図書之助に心奪われた富姫は、喜んで彼を匿うが、異界の人々の象徴である獅子頭の目を追手に傷つけられ、二人は光を失ってしまう。そこへ、近江の匡の工人桃六が現れ、再び獅子頭の目を掘り二人に光を取り戻させ、祝福をする。
「天守物語」は極めて麗しく美しい日本語で構成された泉鏡花の代表作であり、”幻想文学の最高峰”とも称され、歌舞伎・新派をはじめ数多くの団体が上演してきた古典の名作中の名作。
恋愛モノの戯曲・耽美的な仕立てという印象が強いものの、その実は、平和や芸術への鏡花の苛烈すぎるまでの願い、人間の魂の純粋さ美しさに対する信仰、踏みにじられていく弱い者達への柔らかい愛が豊かに練り込まれている。しかもそれが荒々しく全面に出すぎず、音楽的な文体にのって極めて美しく滑らかに仕立てられている傑作といえる。
コロナ禍以降、変質が加速し大きな転換点に立たされている社会や舞台演劇界に於いて、またやまない戦争や格差の広がりによって弱いもの達がふみにじられている現代において、まさに今上演すべき演目でもあり、劇場に出かけるだけの必然性のある体験と胸うたれる素晴らしい時間を提供できると信じている。
【コメント】
出演:篠井英介
古典の名作がこんなかたちで表現されるのか!と驚かれること請け合い。そしてこんないい芝居があったのか!とビックリして頂けることでしょう。
構成演出:桂佑輔
鏡花の天守物語は、時を経て、今池袋で私たちの天守物語とつながりました。是非一緒に「天守物語体験」しましょう!
【公演情報】
PRAY▶Vol.4『天守物語』
作:泉鏡花
構成演出:桂佑輔(PRAY▶/劇団新派)
ドラマターグ:長紀榮
出演:篠井英介 安里勇哉 林佑樹 木許恵介 長谷川稀世 他
●8/22〜27◎東京芸術劇場 シアターウエスト
〈公式サイト〉https://www.pray2024tensyu-monogatari.com/
【舞台撮影:引地信彦】