ニール・サイモンの傑作コメディ『裸足で散歩』稽古場会見到着!
東京をはじめとする全国5箇所にて2022年に上演し、大好評を博したニール・サイモン脚本の傑作コメディ『裸足で散歩』が、9月27日~29日の大阪・サンケイホールブリーゼを皮切りに、銀座・博品館劇場を含めた全国17ヶ所で上演される。
その本公演に先駆けて、演出の元吉庸泰、出演の加藤和樹、高田夏帆、福本伸一、松尾貴史、戸田恵子が参加、本読み稽古の公開と稽古場会見が行われた。
《あらすじ》
寒い2月のニューヨーク。古いアパートの最上階に新婚のポール・ブラッター(加藤和樹)とコリー・ブラッター(高田夏帆)が引っ越してきた。工事に来た電話会社の男(福本伸一)も息切れして話せないほどの階段。エレベーターはなく、天窓には穴があき、暖房も壊れ、家具も届いていない。夜には雪が降るらしい。
アパートには不思議な住人がたくさん住んでいる。その中のひとり、屋根裏部屋に住むヴィクター・ヴェラスコ(松尾貴史)はブラッター家の窓を通って自分の部屋に行く。コリーはここでの生活をすごく気に入り楽しんでいるが、真面目な弁護士のポールはこのアパートに馴染めずにいた。
ある日コリーは、母であるバンクス夫人(戸田恵子)との食事にヴェラスコを誘い、食事を楽しんだ。だが、みんなが帰った後、2人きりになったポールとコリーはケンカをし始めてしまう。
ポールとコリーの新婚生活はどうなってしまうのか?
【コメント】
加藤和樹:ポール・ブラッター役
僕が演じるポールはバカがつくほど真面目でとにかくコリーのことを愛しているキャラクターです。少し融通がきかないところもあり、それが原因でコリーとぶつかってしまうこともありますが、曲がったことができない役どころなので、彼のように真っ直ぐ役に向き合っていきたいと思っています。 (ニール・)サイモンの脚本と(福田)響志くんの翻訳は読むだけでもとても面白いです。これにさらに元吉さんが演出をつけてくださることで、動きで笑える部分もあるのでもっとブラッシュアップしていかなければいけないなと今日本読みをして感じました。特にコリーは細かい動きや言葉など覚えなければいけないので、パートナーとして支えられるように頑張ります。
夏帆ちゃんは前回が初舞台でしたがそこから2年経って色々経験も積まれて、このふたりの信頼関係があるからこその夫婦のぶつかり合いみたいなものを密に描けたら、お客様もより感情移入してくださるのではないかなと思います。
少数精鋭で臨む舞台『裸足で散歩』ですが、再演ができる喜びを感じています。また観たいと思ってくださる皆様がいなければ再演をすることができません。それに今回は全国各地まわらせていただけるということで、この幸せな心がほっと温まるようなコメディを一人でも多くの方にお届けしたいと思いますので一公演一公演みんなで力をあわせて頑張ります!
高田夏帆:コリー・ブラッター役
コリー・ブラッターを演じさせていただきます、高田夏帆です。
コリーはポールのことが大好きで、自由奔放だけどしっかりしていて頑固な部分があるキャラクターです。
今回、皆さんの前で本読みをさせていただいて、初演の時を思い出してすごく懐かしい感じがして、もっともっとブラッシュアップしていきたいと思いました。
初演の頃は自分のことで精いっぱいだったので、今回はキャストの皆さんと関わりつつ、楽しみたいと思っています。
初舞台として経験したこの作品が、再演となり同じ役を演じさせていただく、こんなに嬉しいことはないので期待を裏切らないように、自分を超えられるように精一杯演じさせていただきたいと思います。
福本伸一:電話会社の男役
僕は唯一再演からの参加ということでかなりのプレッシャーがありまして、稽古に入る前に体に入れておこうと、この1ヵ月頑張ってまいりました(笑)。電話会社の男は真面目な職員なんですが、ただ電話を取り付けに来ただけなのに変なことに巻き込まれるという愉快な役です。3幕のはじまりに、冷え切ったポールとコリーのお二人のところに入っていくという辛いシチュエーションがありまして…(笑)。僕はとてもそのシーンが好きなので、ぜひ舞台上で立体的になったときに、楽しんで観ていただけたらと思います。コリーとの2人で幕が上がるので、そこでお客様に笑っていただき、楽に観ていただけるようになるといいなと思っていますので、楽しく頑張ります。
松尾貴史:ヴィクター・ヴェラスコ役
ヴィクター・ヴェラスコという怪しい、正体不明の男を演じます。
ポールとコリーが住んでいる部屋の屋根裏に十何年も住み続けているという、国籍不明で山登りとスキーが趣味ということ以外何も分からず、電話会社の男を巻き込む原因、騒ぎのもとになるキャラクターです。
初演時は役作りも全くない状態で演じておりましたので、今回は何を考えているか分からないというエキセントリックだったり、ストレンジだったり、少しミステリアスだったりという部分を、前回の3割増しで共演者も警戒するくらいのつもりで演じていきたいと思います。
本読みを通じて皆さんに物語の欠片を知っていただいて、いい経験になりましたし、楽しい舞台になりそうだと感じたので、皆さんに劇場へ足を運んでいただきたいと思っています。
戸田恵子:バンクス夫人役
私が演じるコリーの母・バンクス夫人は、コリーとは正反対な保守的な母で、どちらかと言うとお婿さんのポールと似通った性格なのではないかと思います。保守的ではありますが、母親も子供たちと一緒に少しだけ成長していくというストーリーです。
私は以前、コリーを演じたことがあるのですが、初めて出演したストレートプレイの舞台が、この『裸足で散歩』です。ずっとミュージカルをやる劇団にいたので必ず歌とダンスがあったのですが、初めてのストレートプレイでこんなにたくさんのセリフを喋るお芝居に抜擢していただいて、とにかくイヤだったなぁ…と(笑)。そんな中で夏帆ちゃんが2年前の初演のときに、初舞台で健気に毎日頑張っていて、偉いなぁと思っていました。自分もトライしたコリーという役ですが当時のことはすっかり忘れていて、夏帆ちゃんが色々聞いてくれるのに何一つ答えられなくて(笑)。真っ直ぐな気持ちで稽古されていたのを横で見て、母も頑張らねば!と思いました。2年という年月を経て、より可愛く演じたいなと思います(笑)。
元吉庸泰:演出
初演の手応えは、翻訳を福田響志くんというとても若い方に担当していただいたことで、ニール・サイモンの戯曲の現代に蘇らせることができたのではないかと思いました。
最近ニューヨークの大学を卒業して最近日本に帰ってきた方なので、ニューヨークの風を感じますし、現在と過去の現地の時代感を受信する感性が素晴らしいです。一番の特徴は、どの時代の言葉で訳すかという言葉のチョイスが見事で、例えば新婚夫婦の会話は「~じゃん」というような若い言葉遣いを当てていて、ヴェラスコやバンクス夫人の言葉遣いは少し時代をのせているというような、どういう風に戯曲を蘇らせていくのか、若い人がキャッチしやすいようにしていくのか、という部分にとても力が入った台本になっています。
やっている速度や疾走感は気持ちいいものになっていますし、逆に速度が出過ぎているところはみんなで話し合って作っていったのが前回でした。再演の今回は台本はさらにブラッシュアップさえているので、これからお稽古をしていくのが楽しみです。
2年経って思うことや狙うこととしては、とても生きづらい世情になっている今の世の中で、やはりニール・サイモンの戯曲はとても普遍的です。今の時代にいろんなことに突っかかっている人たちのヒントになるなにかを引き出せていけたらと思います。
【公演情報】
『裸足で散歩』
作:ニール・サイモン
翻訳:福田響志
演出:元吉庸泰
出演:加藤和樹 高田夏帆 福本伸一 松尾貴史 戸田恵子
●9/27〜29◎大阪公演 サンケイホールブリーゼ
●10/5◎静岡公演 2024年10月5日(土) 富士市文化会館 ロゼシアター
●10/10◎東京プレビュー(曳舟)公演 曳舟文化センター
●10/13◎東京プレビュー(西東京)公演 タクトホームこもれびGRAFAREホール
●11/8〜19◎東京公演 銀座 博品館劇場
ほか、茨城・神奈川・北海道(幕別・士別・中標津・札幌・大空)・宮崎・大分・宮城・愛知・香川公演あり◎東京・大阪・茨城・神奈川・静岡・北海道・愛知・香川 他
〈公演サイト〉https://hadashidesanpo.jp/
〈公式X〉@hadashide_sanpo
【撮影:岡千里】