OSK日本歌劇団新トップスター翼和希、就任後初の大型公演『レビュー Road to 2025!!』華やかに開催!
創設102年の歴史を重ねるOSK日本歌劇団が、新トップスター翼和希を擁し、初めて行う大型劇場公演『レビュー Road to 2025!!』が大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演中だ(24日まで)。
この公演は来年4月に開幕する大阪・関西万国博覧会に向けて大阪が誇る文化芸術を多くの人々に楽しんでもらおうという「大阪国際プロジェクト」の一環として、大阪で生まれレビューの灯をともし続けてきたOSK日本歌劇団が、日本の四季の美しさや大阪の魅力をレビューとして発信する公演の第二弾。2023年10月から放映されたNHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』出演でその人気を一躍全国区へと飛躍させた新トップスター翼和希と、娘役トップスター千咲えみコンビを中心とした和洋レビューの豪華二本立て公演となっている。
新トップスター翼和希の、トップ就任の口上からはじまる第一部・日舞レビュー「四季彩」は尾上菊之丞演出・振付により、新トップコンビがイザナギとイザナミに扮する天地創造の壮大な場面からはじまり、歌舞伎舞踊の保名、五穀豊穣を祝う夏祭り、木曽義仲の最後の戦い、新しい地平の夜明けと続いていく。
トップコンビが様々に姿を変えていくことで、全体の流れが輪廻転生を想起させていて、戦国の世の諸行無常から祈りによって命がまた生まれ出てくるというラストまで、一つひとつのシーンは多彩なのに、大きなうねりでつながっていく感覚が強まるのが面白い。中でもイザナギが失ったイザナミを求め続けていく姿から、翼が保名となっていく流れが自然であやめの唯城ありすはもちろんのこと、蝶を演じる有絢まこ、空良玲澄を印象的に見せるなど、OSK日本歌劇団の新しい力が次々と見えてくるのが頼もしい。
一方、夏祭りで翼、千咲、華月奏、白藤麗華、城月れい等々が、賑やかに、また小粋に踊ったあと、虫送りの行事に登場する「さねもりさん」=斎藤実盛を、華月がたっぷりと面白く見せたあとに、その実盛を翼の木曽義仲が討って、一気に場面が戦国時代と移っていく転換が鮮やか。巴御前に長身の男役スター登堂結斗をあてたキャスティングの妙も光り、今井兼平の椿りょうにもたっぷりと見せ場があり、一条忠頼の京我りくも合わせ、はじまったばかりの翼時代を共に担うスターたちの配置がよく考えられている。
散って行った命がつながっていく菩薩に特別専科の朝香櫻子が出た効果も大きく、盛りだくさんな50分だった。
続く第二部はスピーディでダイナミックな振付を得意とする麻咲梨乃演出・振付の洋舞レビュー「Shining Life」。とにかく全員が踊って、踊って、踊り抜くというOSK日本歌劇団が特段に秀でる群舞の魅力、団体戦の勢いが噴出している。日本が世界に誇るコンテンツであるアニメーションの名曲を紡いだシーンや、大阪の魅力を様々に表した場面が次々に飛び出してくる一気呵成ぶりに、観る方の心拍数まで上がってくるほど。
特に秀逸だったのは、特別専科の桐生麻耶の、登場しただけで空気感を変える大きな男役像を巧みに使い、桐生中心の場面を全体のアクセントに置いたことで、これにより、フレッシュでアイドル的要素や躍動感もある新トップスター翼の個性がより鮮烈に表れていて、構成の見事さが感じられた。新人時代からひと際目を引く存在として駆け上がってきた翼だが、やはりセンターに位置したことで、各段に大きさを増していて、過度な力みを見せないのも、新時代のトップスター像を鮮烈に映し出している。
また、前任トップスターの楊琳時代に、舞美りらと共にW娘役トップスターを務めていた千咲も、単独トップ娘役として初の大型公演だが、新進時代から芝居ものの作品などでも多くコンビを組んできた翼との相性が抜群。歌にダンスに地力を発揮している。
もうひとつ、公演全体を通して、妖艶でありつつコケティッシュな白藤、どっしりとした風格も醸し出すようになった華月、高音から低音まで楽々とカバーする歌唱力と男前のカッコ良さが光る城月、磊落な魅力に繊細さが加わってきた登堂、微かにワイルドな雰囲気も振りまく椿、キュートな容姿に収まらないエネルギーを噴出する唯城の、男役、娘役6人を、トップコンビと共に中心スターとして見せたことが、「OSK Road to 2025」の地固めを感じさせて、特別専科の桐生、朝香も含め、OSK日本歌劇団の陣容の盤石さを表した効果が大きい。
更に群舞のなかにいても目を引く、せいら純翔、夏目せな、珠凛かのん、華妃ダリア等々、ベテランから初舞台を踏んで間もない人材までそれぞれの顔がよく見えるのもOSK日本歌劇団の未来を明るく照らしていて、もちろん天輝レオ、壱弥ゆう、琴海沙羅をはじめ、今回のレビューには出演していないメンバーも合わせ、前途洋々の翼時代のはじまりを印象づける、充実の和洋レビューだった。
【公演情報】
OSK日本歌劇団
『レビュー Road to 2025!!』
第一部 日舞レビュー「四季彩」
演出・振付:尾上菊之丞
第二部 洋舞レビュー「Shining Life」
演出・振付:麻咲梨乃
出演:翼和希・千咲えみ・白藤麗華・華月奏・城月れい・登堂結斗・椿りょう・唯城ありす・京我りく・紫咲心那・蘭ちさと・せいら純翔・水葉紗衣・有絢まこ・知颯かなで・空良玲澄・夏目せな・梅名希歩・柊湖春・華蓮いろは・ひより芽依・桜乃ひとみ・珠凜かのん・初音くらら・香幸信帆・桃白透衣・陽向だいち・華妃ダリア
<特別専科>桐生麻耶・朝香櫻子
●11/21~24◎大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT
〈料金〉9.000円 (全席指定・税込)
〈公式サイト〉https://www.osk-revue.com/2024/09/09/no1expo.html
【取材・文・撮影/橘涼香】