ザ・プレイボーイズ『パラレルワールドでも恋におちて』稽古場レポート&写真到着!
20周年を迎えたザ・プレイボーイズの第12回公演『パラレルワールドより愛をこめて』『パラレルワールドでも恋におちて』が、2025年2月2日(日)〜2月9日(日)に東京・下北沢のシアター711で上演される。
1月某日、『パラレルワールドでも恋におちて』の稽古場を取材した。
「パラレルワールド」をテーマにした2作品を交互に上演する今回の公演。
『パラレルワールドでも恋におちて』は、みちる(まちだまちこ)の元にパラレルワールドの自分・未知瑠(帯金ゆかり)がやってきて、別れたばかりの元恋人・芹介(佛淵和哉)との恋が叶う世界線を一緒に探しにいく物語だ。
この日の稽古では、一通り台本の読み合わせを行った後、シーンごとの動きを確認し、さらに思いがけず粗通し稽古まで進み、スピーディーかつ着実に稽古を積み重ねていた。
印象的だったのは、この作品の見どころのひとつ、全出演者が動き回り大騒ぎするシーンの稽古だ。走り回ったり障害物が出てきたり、まるでジェットコースターのようなシーンなのだが、団体芸として、座組のチームワークが試される動きが多い。
息が上がりながらも、脚本・演出の善雄善雄の指示のもと、一丸となって作り上げている出演者の姿に思わず応援したくなった。
稽古場全体の印象として、帯金ゆかりの求心力が発揮されている場面が多々あった。
帯金が演じる未知瑠は、みちるの目の前に突然現れて、自分はパラレルワールドからやって来たのだという。未知瑠は作中に登場する3人の「ミチル」の中で最もエネルギッシュな性格で、そしてパンチラインとなる台詞も多い。
たとえば、それぞれの世界線での恋人との別れ話が描かれるシーンでは、未知瑠は子供のように泣き叫んで別れたくないと訴える。その振り切った演技に笑わせられながら、コメディエンヌとしての帯金の実力に舌を巻く。
本作の物語の大筋は、登場人物たちがてんやわんやしながら進んでいくコメディだが、単に笑えるだけの物語ではない。登場人物が不器用ながら愚直に自分の思いを握り締めて行動するさまには胸を打たれるものがあるし、登場人物が直面する問題は、世相を反映したタイムリーな話題を彷彿とさせる。
コメディとしての筋書のなかにある「考えさせられる要素」を支えているのは、登場人物の行動の「動機」を座組の各々が大切にしていることが一翼を担っていると思われる。稽古の随所で、台本には書かれていない登場人物の心情・思考を話し合い、実際の演技に落とし込んでいく出演者の姿が見られた。
演劇的な表現には、現実ではあり得ないような設定があったり、普段の会話では出てこないような切れ味のある台詞が登場したりする。だが、このフィクションの世界に生きる登場人物の行動原理に向き合っているこの稽古場からなら、演劇的面白さと説得力を両立させ、観た人の心に刺さる作品が作り上げられるにちがいない。
観客をパラレルワールドに連れていってくれる、爽やかで少し切ない疾走コメディ『パラレルワールドでも恋におちて』は2025年2月2日(日)から、シアター711にて。
同期間に本作と交互に上演される『パラレルワールドより愛をこめて』とは物語がリンクしているため、2作品とも観劇するとより楽しめる仕組みになっている。ぜひ、併せて観てみてほしい。
取材・文:伊藤優花
写真:堀山俊紀
【公演情報】
第35回下北沢演劇祭参加作品 ザ・プレイボーイズ第12回公演
『パラレルワールドより愛をこめて』『パラレルワールドでも恋におちて』
■公演日程 2025年2月2日(日)~2月9日(日)
■会場 シアター711
住所:東京都世田谷区北沢1-45-15
京王井の頭線・小田急線「下北沢駅」より徒歩約8分
■作・演出 善雄善雄
■出演
『パラレルワールドより愛をこめて』 鈴木浩文 犬飼直紀 村田和明 稲葉佳那子 熊野ふみ
『パラレルワールドでも恋におちて』 帯金ゆかり まちだまちこ(メロトゲニ) 砂田桃子(扉座) 佛淵和哉 おなか☆すいたろう
■鑑賞サポート付き公演を実施いたします
対象日時:2月7日(金)15:30/20:00、2月8日(土)13:00/15:30
内容:バリアフリー字幕のタブレット貸出/台本貸出/受付での筆談対応
【お問合せ・鑑賞サポート付チケットの予約】
https://udcast.net/workslist/the-playboys-parallelworld/
UDCastサポートセンター(平日10時〜17時)
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