イギリスのヒューマンドラマの傑作『星の降る時』世界に先駆けて開幕!

イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールのヒューマンドラマの傑作『星の降る時』が、東京PARCO劇場にて5月10日に開幕した。6月には山形、兵庫、福岡、愛知で上演する。
本作『星の降る時 Till the Stars Come Down』は、イギリスのかつて栄えた炭鉱町を舞台に、変わりゆく社会と折り合いをつけようともがく家族を、ベス・スティールが情熱的かつユーモラスに描いて、2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされた。その話題の新作戯曲を小田島則子の翻訳、第50回菊田一夫演劇大賞も受賞した日本を代表する演出家・栗山民也の演出で、豪華俳優陣を迎えて上演する。
出演には、三姉妹に江口のりこ、那須凜、三浦透子、父親に段田安則、母親代わりの叔母に秋山菜津子、叔父に八十田勇一、長女の夫に近藤公園、三女の夫に山崎大輝といった実力派の豪華俳優陣が顔を揃えている。

《ストーリー》
イギリスのかつて栄えた炭鉱町に生まれ育った三人娘。
今では二人の娘を持ち相変わらず倉庫勤務の長女ヘーゼル(江口のりこ)と、町に嫌気をさして実家を遠く離れていた次女マギー(那須凜)、そしてポーランド移民と恋に落ちた三女シルヴィア(三浦透子)。
今日は三女の結婚式。母親代わりの叔母キャロル(秋山菜津子)と共に、パーティの準備をしている。
早くに妻を亡くしたが、三姉妹を守ってきた父親トニー(段田安則)、その兄とは長年に渡る絶縁状態の叔父ピート(八十田勇一)、移民に職を奪われ失業状態の長女の夫ジョン(近藤公園)も久しぶりに顔を合わせ、三女の夫マレク(山崎大輝)を迎えて祝いの宴が催されるが…人生で最も幸せなはずの一日が、問題をはらんだ家族間の扉を開けてしまうことになり…果たして家族は再び向き合い、新しい朝を迎えることができるのか…




その東京公演初日の5月10日、開幕に合わせて作者のベス・スティールが特別来日し登壇、プレスコールと作家会見が行われた。
【コメント】

ベス・スティール
こんにちは、ベス・スティールです。
スピリットが同じだということに感銘を受けており、とても喜ばしく、良い意味で驚いています。キャラクターもプロダクションも美しく、圧倒されるくらい素晴らしかったです。
この公演はイギリス以外で初となる海外での上演になります。初日を迎え、日本のお客さまがこの作品をどのように受け止めてくれるか、舞台に出てくる登場人物たちと自分たちの家族を結び付けてどのように感じていただけるかが楽しみです。
この作品は結婚式のお話で、結婚式というのは文化が違っても人間らしい喜び、愛、未来に満ちた家族が一堂に会するセレモニーであることに変わりはなく、誰もが経験したことがあるものだと思います。そんな“結婚式”を通して喜びや悲しみといった人間らしい感情を描いているので、自分たちの中に通じるものを感じてもらえているという事がこの作品を評価していただいている理由だと思います。
この作品は私が生まれ育った街の人々を称えるために書いた戯曲です。物語の中に垣間見えるキャロルのような叔母さんも、実際に私の家族の中に何人かいます(笑)。自分自身はというと、三姉妹全員が私でもあり、日によってはキャロル叔母さんに投影されていることもあります。
(日本の印象について)日本に来て、頭が爆発しそうなくらいとにかく圧倒されています。日本の皆さまは人として心がとても優しく、美しいです。短い滞在時間でも、ここは地球上で一番素晴らしく、美しい場所ではないかと感じています。滞在中にぜひ日本の伝統芸能を観てみたいと思います。
この作品を観るために劇場に足を運んでくださる方々に心から感謝申し上げます。ロンドンと同じく、日本の方にもこの作品を愛していただけたらとても嬉しいです。そしてもしこの公演を気に入っていただけたら、今年7月にはロンドンのウエスト・エンドでも上演しますので、ぜひお越しいただき、日本公演との違いを見比べていただけたら嬉しいです。

栗山民也(演出)
この芝居、稽古が始まる前に決まって胸の鼓動が激しくなるのです。いったいどこへ向かっていくのかわからぬ物語の、その流れの過激さからでしょうか、それぞれの登場人物の思いも行動もチグハグで、気持ちいいほどに勝手気ままに見えて、実は極めて真剣、必死なのです。ちょっと遠くから俯瞰してみると、小さな輪の中にみんながしっかりといて、まるで太陽を中心にそれぞれの惑星が周りをぐるりと巡っているような家族の光景が続くのです。
すぐ目の前にある大切なものを見過ごしたり、後悔するくせにあえて強がりをぶつけてみたり、大事なところで思わず滑って転んでしまう登場人物ばかりなのですが、確かにこの人たち、機械じゃなく素敵な生きものです。そんな彼らの必死に激しく求め合うそれぞれの愛のカタチに、またドキドキと鼓動が高鳴るのです。

江口のりこ
本当に面白い芝居です。人間の面白さが在ります。
是非是非劇場に足を運んで下さい!!
那須凜
家族という生き物はなんと不可思議なんだろうと、思いを巡らせる稽古の日々でした。愛し合いながら憎み合う。どんなに離そうと思っても離れられない手と手。それは決まった法則で永遠と動き続ける宇宙の惑星のようです。
遠いイギリスの話ですが、全ての世界の人々に通づるであろう家族の物語になりました。
『星の降る時』皆様に心から見て欲しいお芝居です!是非劇場にお越しください。
三浦透子
学びと笑いに溢れた、とても充実した稽古の日々でした。読むたびに発見と気づきがあって、なんと恐ろしい脚本だろうと感じております。稽古場で紡いだ時間を信じて、最後まで全力で作品に取り組んで参ります。ぜひ劇場に観にいらしていただけると嬉しいです!

近藤公園
もともと素晴らしい戯曲なのですが、栗山マジックによって素敵な演劇が出来上がりました。
三姉妹の個性が炸裂していて、本当に魅力的です。そこにキャロル叔母が入った時の、かしましさ!更に娘たちが加わった時の、金平糖みたいな形の面白さ!男性陣も負けじと奮闘したいと思います。
ただ、色んな角度から刺さる作品です。是非とも覚悟して、ご覧いただきたい。
山崎大輝
台本を読んだ時から面白い作品になると思っていましたが、稽古が進んでいくほど新しい面白さに出会いました。丁寧に並べたドミノをひと押しするだけで全部が倒れてしまう、変わってしまう。その瞬間に何を思うのか…。この時間をお客様と共有できることを嬉しく思います。劇場でお待ちしております。

八十田勇一
ストーン家の大変な一日を皆さまにのぞき見してもらうために、いつもより"慣れない""頭をフル回転させながら無意識に体を動かす"ことを徹底的にやってます。
なので初日を迎えるのがいつもより怖いです。でも皆さまにお会いできるのは楽しみです!でも初日は怖い…そんな想いが行ったり来たりしてる今日この頃です。
秋山菜津子
なんだかとてもワクワクする芝居です。稽古中もずっと新鮮な時間を感じていました。
この感覚を持ったまま、観客の皆様にもワクワク、ライブ感のある素敵な作品をお届けできたらと思っています。
段田安則
いつも一応「是非ご覧下さい」と言うのですが、今回は本心から「是非ご覧下さい」です。台本を読んだときも面白かったのですが、実際に稽古をし、俳優が動きだすと、もっと面白くなりました。どのシーンも面白い。どの役も面白い。何本も芝居をしていますが、そうですね、5年に1回、いや、10年に1回出会えるような名作の舞台になるのではないでしょうか。

【公演情報】
パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』
作:べス・スティール
翻訳:小田島則子
演出:栗山民也
出演:江口のりこ 那須凜 三浦透子 近藤公園 山崎大輝 八十田勇一/
西田ひらり 佐々木咲華 下井明日香/秋山菜津子 段田安則
●5/10〜6/1◎東京公演 PARCO劇場
▼地方公演
●6/8◎山形公演 やまぎん県民ホール
●6/12〜15◎兵庫公演 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
●6/21・22◎福岡公演 キャナルシティ劇場
●6/27〜29◎愛知公演 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
〈公式サイト〉https://stage.parco.jp/program/tillthestarscomedown
【撮影:細野晋司】