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舞台『サザエさん』間もなく開幕! 酒井敏也インタビュー

サザエさんをリーダーに「ワンチーム」で楽しい舞台を届ける!

昭和、平成、令和と三つの時代を駆け抜けて長く愛され続けている国民的人気作品「サザエさん」の舞台版が6月5日より明治座にて幕を開ける。(17日まで。そののち7月に新歌舞伎座にて上演)

舞台『サザエさん』は2019年に初演、2022年に第二弾の上演を経て、今回は初演版の再演となる。サザエさんに藤原紀香、マスオに葛山信吾、フネに高橋惠子、波平に松平健と、豪華ベテランキャストが再び集結する本作で、過去2回の上演時にもタマ役を演じ、今回も出演する酒井敏也に話を聞いた「えんぶ6月号」のインタビューをご紹介する。

舞台で演じるタマ

大谷翔平に教えられた「楽しむ」気持ち

──酒井さんは2019年と2022年に続き、今回3回目のタマ役です。最初にタマ役でのオファーが来たときの率直なお気持ちを教えてください。

あ、そうなんだ、って思いました(笑)。

──これまでも人間以外の役は演じたことがありましたか。

いろいろやってますよ。鳩とか、妖怪とか、冷蔵庫とか、バスケットボールとか。割と幅広くやってます(笑)。でも、タマ役はすごいですよね。誰もが知っているキャラクターですから。

──共演者の方々も豪華メンバーで、藤原紀香さんがサザエさん役と聞いた当初は驚きましたが、非常にはまり役で好評を博しました。

紀香さんは、お人柄もサザエさんぽいところがちょくちょく見られますよ(笑)。よく開演前に、発声練習なのかな? 「ニャーオ!」って猫の鳴き声をやってました。多分お客さんにも聞こえてたんじゃないかな。すごくチャーミングな方です。座組も、サザエさんがリーダーになって、何かトラブルが起きたときは「ワンチームだからね!」と言いながらやっていました。初演のときよりも、第2弾のときの方が距離が縮まりましたね。(松平)健さんも、波平さんがタマを撫でるときに、僕がくすぐりに弱いのを知ってて脇をこっそりコチョコチョしてくるんですよ(笑)。今回は3回目なので、健さんがどんなことをしてくるのかな、と楽しみでもあります。

──タマを演じる上で何か気を付けてらっしゃることはありますか。

楽しむことですよね。それは最近、特に思います。

──本作は、みんなが知っているサザエさんの10年後を描いているところが大きな特徴です。

10年経つと変わるんですよね。僕は役者をやって45年なんですけど、やり始めたときと10年後で変わりましたし、今は45年経って原点に戻ったというか、そんな感じがしています。途中で「楽しむ」ってことを忘れちゃってたんですよ。始めた頃は楽しかったのに、どうしたらいいんだろう、と悩んでいたとき、一昨年のWBCで大谷翔平くんが楽しんで野球やってる姿を見て、あ、エンターテイメントもこういうふうにしなきゃいけないよな、と「楽しむ」ということを思い出したんです。

──酒井さんの原点といえばやはりつかこうへいさんですが、つかさんのところでお芝居を始めた45年前はどんな演劇青年だったんでしょう。

演劇青年じゃなかったんですよ。高校時代にちょっとやってましたが、演劇のことなんてわかってませんでした。つかさんに言われたことをやってただけで演技も全然できなくて、でもそのときに、つかさんが、「そういうことは時間が解決してくれる」とおっしゃったんです。そのときは「時間が解決ってどういうことなんだろう」と思っていたんですけど、10年経って言えなかったセリフが言えるようになって、20年経ってもっといろんなことができるようになっているんです。いろんな経験を積み重ねていく中で、できなかったことができるようになっていく、時間が解決してくれるというのはこういうことだったんだな、としみじみ思っています。

──つかさんに教わったことの中で、今でも自分で大事にしてることはありますか。

つかさんの芝居って、大きな声で怒鳴って、という芝居なんですよ。上京してすぐに先輩たちの真似して芝居っぽくセリフを言ったらすごく怒られて「お前が言うと嘘になる。嘘つくな」と言われました。それから、できないことはやらない、嘘っぽくしたくない、ということは思っています。

悩んでも生きていれば答えは見つかる!

──酒井さんは舞台をはじめ、バラエティーやドラマ、映画など、いろいろなお仕事をされています。最近だとドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』にもご出演されていました。

あの作品は、撮影が本当に楽しかったんですよ。スタッフさんの動いている姿を見ていて、良い作品を作るためにやってる、というのがすごく見えて素敵でしたし、待ち時間も楽しくて、自分自身が楽しんでるな、と思える現場でした。最近は本当に「芝居は楽しいな」っていうのがありますね。まあ、好きな仕事をやってますもんね。

──お芝居を楽しいと思えなかった時期もあった、と先ほどのお話しの中に出てきました。

つかこうへいさんの劇団が解散して、つかさんが10年ぐらい芝居から遠ざかってしまった時期があって、その間、僕は他のお芝居とかに出ていたんですけど、「何で芝居をやってるんだろう」とわからなくなってしまった時がありました。でも何かきっかけがあって「あ、好きだからやってるんだ」と思えてからは、仕事も増えていきましたね。その後も、どうやって役者を続けていったらいいのかわからなくなっていたときに、バラエティーのお仕事で広島の呉に行ったんですよ。そこでお会いした80歳過ぎて屋台をやってるという方に、「僕どうしたらいいんでしょう」と言ったら、「そのままでいいんじゃ」と返されて、ああそうか、と思えました。それからは、そのままで生きてます。生きているといろいろ悩むんですけど、答えは生きていれば見つかるんだな、と思いました。

──本作の登場人物たちも、特に大学生になったカツオと専門学校に通うワカメは、自分の人生について悩みながら生きている姿というのがすごくリアルに描かれているな、という印象です。

そうですよね。カツオくんもワカメちゃんも悩めばいいんですよね。それで自分で答えを出せばいいんですよ。

──最後に観てくださる方へメッセージをお願いします!

家族っていいな、って思いますよ。その一言ですね。僕は初演の後に再婚したんです。当時60歳で、もう1人で生きていくと決めていて、希望とか夢とかそんなものは持たないで目の前のことだけ考えて生きていこう、と思っていたんですけど、『サザエさん』に出演して、ああ家族っていいなと思っていたところに、今の奥さんを友達に紹介してもらって考えが変わったんです。そんな奇跡も起きる舞台です!

■PROFILE■
さかいとしや○岐阜県出身。劇団つかこうへい事務所のオーディションに合格し、俳優デビュー。以後、つか作品のみならずドラマ・映画などで幅広く活躍。また、独特のキャラクターでバラエティー番組にも出演多数。舞台での主な出演作は、2023年『幕が上がる』(滝田先生役)、24年『サイボーグ009』(張々湖役)など多数。映画「陽が落ちる」が4月より全国公開中。

【公演情報】
舞台『サザエさん』
原作:長谷川町子
脚本・演出:田村孝裕
出演:藤原紀香 葛山信吾
草川直弥(ONE N’ONLY)[Wキャスト] 佐藤友祐(lol))[Wキャスト] 平尾帆夏(日向坂46)
藤代翔真(wink first/TRAINEE))[Wキャスト] 松﨑光(wink first/TRAINEE))[Wキャスト] 酒井敏也
高橋惠子 松平健 ほか  
●6/5~17◎明治座
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
7/5~8◎新歌舞伎座
〈お問い合わせ〉新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00)

〈公式サイト〉https://www.sazaesan-stage.jp/index.html

【インタビュー/久田絢子 撮影/中田智章】

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