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演劇『楽屋』~流れ去るものはやがてなつかしき〜 キム・テヒョン インタビュー 

清水邦夫の代表作を、映画・ドラマ・舞台で活躍する韓国演技派女優たちによって日本で上演する舞台、『楽屋』~流れ去るものはやがてなつかしき~が、6月24日~29日に東京・博品館劇場で上演される。

物語は、アントン・チェーホフの「かもめ」を上演しているある劇場の楽屋を背景に繰り広げられる。それぞれ異なる時代を生きてきた4人の役者は、シェイクスピアやチェーホフなど古典の名作戯曲の主な場面を演じながら、各自の方法で歳月の重さに耐えている。舞台に上がることを熱望する4人の役者たち。その長い待ち時間は、眩しい瞬間を夢見て一日一日を堪能する我々の話でもある──。

今回来日する韓国ライセンス公演は、2021年に初演。韓国の背景に合わせて時代を現代に移し、人物像を具体化させたことで、韓国の観客の共感を得て口コミで広がり、開幕直後には、韓国公演芸術統合計算網(KOPIS)週間予約ランキング1位を記録するなど大きな評判となり、2023年に再演を果たしている。来日版のキャストも、韓国映画やドラマ、舞台で活発に活躍している演技派女優たちということで期待が集まっている。

この公演の企画・制作を手がけたプロデューサーのキム・テヒョン(TERRY KIM/テリー・キム)に、今回の公演意図やキャストたちについて語ってもらった。

(PROFILE)
キム・テヒョン(TERRY KIM)◇韓国のT2Nメディア(株式会社ティトゥエンメディア)代表。プロデューサー。最近の企画制作した作品は、ドラマ『愛のあとにくるもの』(2024年、総括プロデューサー)、ミュージカル『愛の不時着』(2022年、プロデューサー)など。

キム・テヒョン

韓国バージョンだけに許された特別なエンディング

──テリーさんは、2021年に『楽屋』を韓国ライセンス公演として企画・上演しました。この作品のどこに魅力を感じたのでしょう? 

清水邦夫さんの『楽屋』という作品は韓国でもとても有名で、30年前にもある劇団が上演して、その当時もたいへんな反響があり、大好評でした。やはり内容が共感できるということが大きくて、楽屋にいる4人の女優たちの会話だけでなく、そこで起きる出来事やそれぞれのキャラクター、人間性、お互いの関係なども、一般の人たちにとっても遠い話ではなく、身近に感じられるんです。最初に上演した劇団の事情で、その後しばらく上演されなかったのですが、この作品が持つテーマや描かれている人間たちの抱える問題は、時が経っても色褪せないと思ったので、ぜひ上演しようと思いました。それと、韓国も日本も女優の方たちが主役になる作品はそんなに多くないと思いますので、この作品で韓国の女優の方たちにその機会を作りたいと思ったのです。

──日本でも繰り返し上演されている名作ですが、韓国での上演で書き換えた部分などあるのでしょうか?
 
清水先生がご健在の時にお会いすることが出来て、現代の韓国という背景に合わせて脚色していいという許可をいただいて書き換えたのですが、とくにエンディングは戯曲とは違っています。その部分に関してはぜひ直接ご来場していただいて、観ていただければと思います。またそれについては清水先生から、日本の公演にはエンディングを変えることは許可していないこと、韓国バージョンだけ特別に許可したということを明記してほしいと言われました。ですから韓国バージョンだけに許された特別なエンディングですので、ぜひ皆さんにその目で確かめていただければと思っています。

清水先生も「日本に持って来れたらいいね」と

──テリーさんがプロデュースした『楽屋』公演が、韓国の観客の方々に大好評だったのは、どんなところがアピールしたのだと思いますか?

まず内容が、1つしかない役を守り抜くために、年配の先輩も若い後輩も互いにぶつかり合う。それは一般の社会生活の中でもよくあることで、私自身もそういうぶつかり合いは経験しています。そこは観客の方たちに共感していただけるところだと思っています。そして、女性のお客さんが涙を流しながら劇場を後にする姿をよく見ました。韓国での演劇レビューにも、この物語によって癒されたという評もありました。もちろんこの作品に感動したのは女性だけでなく、男性も自分の現実とか現状に置き換えて、感動してもらえたのではないかと思っています。ただ女性のほうがより自分に重ねて観ていたと思いますし、そのせいか女性の観客のほうが多かったんです。日本では女性と男性のどちらが多く観ているのでしょうか?

──清水邦夫さんは社会性や思想性を持った劇作家だったこともあって、男性の観客にもファンが多く、そういう意味では『楽屋』も観客は男性と女性が半々ぐらいではないかと思います。

僕は韓国で最初に上演していた30席とか40席ぐらいの小劇場で観たのですが、純粋にこの作品を良い作品だなと思いましたし、こういう作品をもっと沢山の人に観てもらいたいと思いました。それで清水先生に直接会って上演許可をいただいたわけですが。韓国でもこの『楽屋』という戯曲を知っている女優の方が多くて、僕は本業がドラマのプロデューサーなので、だったら韓国の有名な女優さんたちに出てもらって、もっと大きなところで上演しようと思ったんです。そういう中でシス・カンパニーさんが2009年に有名な女優さんたちで上演したことも刺激になって、僕もぜひ実現させようと思いました。

──そして韓国バージョンの公演で成功されたわけですが、この公演を日本でも上演することになったきっかけは?

最初に清水先生に韓国で上演する企画をお話しした時に、先生が「日本にも持って来て、日本のお客さんに観てもらえたらいいね」とおっしゃっていたんです。その夢がやっと叶って先生との約束が果たせました。最初は、日本で公演するという話は冗談半分、希望半分でしたが(笑)良い後援団体と出会えたことと、本来なら今年は日韓国交正常化60周年なので、その文化交流という意味がありました。日本原作の作品を韓国でライセンス上演して成功をおさめたので、それを原作の地である日本に持ってきて上演するのは、まさに文化交流というタイトルにふさわしいので。でもご存知のように韓国の政治情勢の変化で、そのタイトルがなくなってしまったのは残念です。でもこうして日本で上演できることは夢のようなことで、今回参加される役者の方々も同じ思いでノーギャラで参加してくださるのですが、文化交流に積極的な方々なので良い機会になればと思っています。出演する女優の方々も皆さんキャリアのある有名な人ばかりなのですが、日本公演についてはちょっと緊張もしつつ、楽しみにしているところです。

役柄にぴったりなキャストたち

──キャストの中には日本でもよく知られた方もいますが、改めて役と演じる方を紹介してください。

 キャストは女優A,B,Cをそれぞれシングルキャストで、Dはダブルキャストで演じます。Aはボーイッシュで一度も舞台に上がったことのない女優で、Bは可愛らしいけれど彼女も舞台に上がったことがない。Cは年配の女優で『かもめ』のニーナ役を演じています。Dは若い女優で自信だけはあってニーナの役を奪おうとする。その4人のキャラクターについては少しだけ韓国らしさを加えてありますが、ほとんど原作通りです。

ソン・オクスク

演じる女優さんたちですが、女優Aのソン・オクスクさんはベテランで40年のキャリアがあり、大学でも演劇を教えています。ドラマ『冬のソナタ』でペ・ヨンジュンさんの母親役を演じたので日本でもよく知られていますし、今も現役で活躍していて、後輩たちから尊敬されています。Aという役がよく似合って、本人もそのキャラを磨き上げて、エンディングまで観客を惹きつける力があります。

ソ・ヨンヒ

女優Bを演じるソ・ヨンヒさんは、ドラマや映画で活躍して沢山の賞を受賞しています。この作品は10年ぶりの舞台だったのですが、その公演期間中も、ドラマの撮影現場と劇場を飛行機で行き来しながら出演してくれました。彼女が演じるBは原作よりも少しラブリーで、笑いも与える役柄で、重い話の中でも楽しい雰囲気を出してくれます。

イ・イルファ

女優Cはイ・イルファさんで、韓国では母親俳優として有名で知らない人はいません。最初はBをお願いしようとしたらご本人が絶対にCをやりたいと。そして実際に舞台で演じたのを観て僕は彼女に謝りました。とても素晴らしくて、この役は年配の方には難しいかと思っていましたが、そんなことはないというのを教えてくれました。Cは独白シーンがあるのですが、思わず息を止めて観てしまうような迫力のある演技を見せてくれます。そこはぜひ皆さん注目してください。

キム・ジュヨン
ハム・ウンジョン

女優Dはダブルキャストで、キム・ジュヨンさんは、ソウルの大学路という劇場街で演劇界のライジングスターとして人気を集めていて、主役級の役を次々に演じています。DもCに負けないぐらいの独白シーンがあるのですが、すごい迫力を見せてくれます。もう1人のハム・ウンジョンさんは、”T-ARA”というK-POPのグループで活動するアイドルで、意外なキャスティングですので最初は心配したのですが、問題にならないぐらいの演技を見せてくれました。来日公演では2回しか出演しないのですが、ぜひダブルキャストの2人とも観ていただきたいです。

文化交流を広げていくために

──キャストの皆さんそれぞれ魅力的でとても楽しみです。最後に観にいらっしゃる観客の方へメッセージをぜひ。

K-POPなどは交流も盛んですし盛り上がっていますが、演劇は日本もそうだと思いますが、他のエンターテイメントより厳しい状況にあります。だからこそこういう形の交流で盛り上げていければと思っています。今回の『楽屋』という作品は、清水邦夫先生に直接お願いして上演の機会をいただいた作品だけに、先生に観ていただけなかったのはとても残念ですが、そういう上演のいきさつなども知っていただいたうえで観ていただいて、もっと様々な作品でこういう交流が広がればいいなと思っています。そして、韓国の代表的な俳優たちの演技の素晴らしさを知っていただきたいので、ぜひこの『楽屋』を、沢山に方々に観ていただきたいと思っています。ぜひ劇場へいらしてください。
 

【公演情報】
演劇『楽屋』~流れ去るものはやがてなつかしき~ 
原作:清水邦夫
脚色:ユン・ソヒョン
演出:ユン・ソヒョン シン・ギョンス
企画・制作:キム・テヒョン
出演:ソン・オクスク ソ・ヨンヒ イ・イルファ ハム・ウンジョン/キム・ジュヨン(ダブルキャスト)
●6/24〜29◎博品館劇場 
〈料金〉特典付きSS席 13,500円
SS席 11,500円・S席 7,500円・A席 5,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※特典席は前方席。特典は終演後に出演キャストとのチェキ撮影&サイン入りポスターをお渡しいたします。
※特典会に参加するキャストは予告なく変更になる可能性がございますので予めご了承ください。
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
〈公式サイト〉https://gakuya.srptokyo.com/
〈公式X〉https://x.com/gakuya2025

【インタビュー/榊原和子 写真提供/サンライズプロモーション東京】  

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