新たなシリーズへの期待膨らむ玉野和紀×東山義久、DIAMOND☆DOGSコラボレーション企画『LOVE LOVE de SHOW 2025』上演中!

唯一無二のエンターティメントステージ『CLUB SEVEN』シリーズをはじめ、日本を代表するクリエイターでありパフォーマー、俳優として幅広く活躍する玉野和紀と、ダンス・シーンのみならずシンガー&アクターとして確固たる地位を確立し、『ミス・サイゴン』や『BOLERO-最終章-』などで圧倒的な存在感を放つ東山義久がタッグを組み、男性パフォーマンス集団DIAMOND☆DOGS(以下D☆D)と強力ゲストによるコラボレーションステージ『LOVE LOVE de SHOW 2025』が有楽町 I’M A SHOWで上演中だ(12日まで)。
『LOVE LOVE de SHOW 2025』は、玉野と東山、そしてD☆Dが先頭に立ち、継続的に創っていこうとの志を旗頭に始動したショーアクト。初のステージとなる今回は、D☆Dの振付、演出家としても活躍した森新吾が、和太鼓の黒流と2007年から断続的に創り続けてきたシリーズ『LOVE LOVE de SHOW』の和楽器を用いたショーケースという枠組から、かつて『CLUB SEVEN』の為に書き下ろし、東山が主演の妖怪役を演じたオリジナルアクト作品「妖怪」に玉野が注目。内容を更に発展させブラッシュアップしたオリジナルミュージカル「妖怪Fantasy」によるACT.1と、「The Greatest Show」と題し、ライブから玉野作品お馴染みのスケッチと呼ばれるコント場面までが、飛び出す和楽器×ダンス×歌によるACT.2という、二部構成によるエンターティメントショーになっている。

【ACT.1「妖怪Fantasy」STORY】
はるか昔。人間と妖怪が共存していた山村。幼い頃に両親に捨てられ妖怪に育てられたのち、庄屋に引き取られた少女ゆき(朝月希和)は、庄屋の息子新之助(中河内雅貴)と兄妹として暮らしていた。その生い立ちから人と妖怪に分け隔ての意識を持たないゆきは、度々森に出かけ、かつての幼馴染の妖怪クロウ(東山義久)と再会。二人は互いに抱いていた淡い想いを蘇らせる。

だが、両親を妖怪に殺されたと信じている新之助は妖怪を激しく憎み、ゆきを妖怪から引き離そうとする。折も折、村に現れた妖怪漁師の与一(高橋駿一)から、妖怪の心臓は万能薬として高値で取引されると知らされた与一は、妖怪への復讐心と共に長く病を得て寝たきりの兄の為に、妖怪討伐を決意する。クロウへの愛と兄との絆に揺れるゆきは、新之助の両親の死の真相をクロウから聞き、なんとか互いの争いを止めようとするが……

いまや和楽器を取り入れたミュージカル作品や、絶大な人気を博している和楽器バンドなど、伝統芸能のイメージが大きかった和楽器のエンターテイメントとの融合はとどまるところを知らない勢いに満ちている。実際、その力強いリズムや音色が生み出す高揚感は桁外れだが、そのなかにもやはりどこかに神秘性も感じるのが和楽器でもあって、そうした特徴にピタリとあったのがこのACT.1「妖怪Fantasy」だった。いにしえの昔、人間と妖怪が共存していた時代を舞台に展開する物語は、だがその“共存”が互いへの尊重ではなく、人間が妖怪を明らかに下に見ている世界なのが胸を刺す。ただそんな世界観のなかでも、玉野和紀が根底に持っている優しさが表れているのは、妖怪を忌み嫌う側にもただの嫌悪ではなく、そうなるのも無理からぬと思える理由を描いていることだ。だからこのある種の「ロミオ&ジュリエット」とも言える物語には、単純に善悪を分けられない深みがあるし、そこに和楽器の調べが加わることによって、独特の趣や空気感が醸し出されていく。容貌や言語、習慣、そうしたもので差別や区別をするのではなく、違いを認め合い、ヒロイン・ゆきのようにただ感情をいっぱいに爆発させて共に踊ることのできる世界がどこかにあったとしたら、どれほど良いだろう。決して長くない上演時間のなかで、そんな思いを抱かせる物語が切なく美しかった。

その中で、『CLUB SEVEN』のワンシーンとして2004年に15分ほどの尺ではじまったこの「妖怪」の初演、更に2011年に30分のミュージカルとして拡大された再演、そして今回の公演のACT.1をまるごと担うオリジナルミュージカル「妖怪 fantasy」に成長したすべての上演で、主人公の妖怪クロウを演じている東山義久が、粋でシャープな独特の個性を、創り込んだビジュアルのなかに封印して、朴訥でシャイで純粋な妖怪クロウを演じているのに惹きつけられる。近年様々な舞台で役幅を広げていることも大きく作用したのだろう。どこかいじらしいと思わせるクロウ像のなかに、きちんと影を感じさせる様が際立った。

そのクロウと心を寄せ合うゆきの朝月希和は、宝塚歌劇団雪組トップ娘役時代、また退団後も様々な役柄で力を発揮している人だが、ピュアな美しさを持つ王道のヒロイン像が何よりもハマる個性が生き、劇中多くの登場人物から愛されるゆきに説得力を与えた。バレエの基礎がしっかりとある端正なダンスも役柄に生きている。

その兄で庄屋の息子新之助の中河内雅貴は、両親を殺され、寝たきりの兄を抱えている、自ずから責任感を強く持たざるを得ない立場からくる鋭い居住まいと、ゆきに寄せる愛情の不器用な表出が巧み。妖怪への憎しみに更に火がついていく感情表現の昂りもよく出ていた。

彼らがギリギリで保っていた均衡を破る妖怪漁師、与一の高橋駿一は、山村に外からの価値観を持ち込む重要な役どころに、抜群の身体能力はもちろん目の使い方や、表情などでも抜け目のなさを披露。クロウに出会ってその強さに驚きながら、闘志を掻き立てられる表現も良かった。



また、D☆D Team Originalの面々もそれぞれに活躍していて、ゆきの世話係を務める妖怪・ゴンの中塚皓平が、しなやかなダンス力を封印して黙々とゆきに仕える妖怪を実直に。本百姓の息子・庄蔵の和田泰右が新之助と親しい友でありつつ、立場の違いでゆきへの想いを言い出せない複雑な感情を表現。それぞれ芝居面で作品を支えれば、語り部の咲山類が持ち前の豊かな歌唱力で、物語を進めつつゆきには聞こえるクロウの声を観客に届ける役割りを十二分に果たした。また妖怪ブシュの廣瀬真平、ドロのHomerが非常に個性ある振付のダンスで、妖怪の世界を活写。誕生する妖怪として、作品の冒頭と終幕を締めた玉野和紀、そして森の音楽人、和太鼓・雷人の黒流、三味線・雨人のKIJI、尺八・風人の岩田卓也が、和製ファンタジーの世界を劇場中に広げてくれていた。
【ACT.2「The Greatest Show」】

そこから休憩を挟んだACT.2「The Greatest Show」は、音楽監督を務めるTAKAを中心としたオリジナル楽曲で綴る華やかなショーケース。玉野、東山をはじめ、中塚、Homer、木野村温子、更にD☆Dの若手メンバーTeam Novelの角野颯真、三瓶賢人も振付を務める各場面がなんとも多彩。

特に印象的なのが、自身が全てを統率している『CLUB SEVEN』シリーズでは個性的なキャラクターを演じることの多い玉野が、最早言うまでもないタップダンスの実力だけでなく、ストレートな二の線のダンスに多く入っていることだった。これは玉野が脚本・構成・演出・振付・出演というスーパーな兼任をしていることは同じながら、今回のショーがあくまでも玉野、東山、そしてD☆Dがタッグを組んだ新しいショーであり、パフォーマーとしての玉野もまた、そこにメインキャストとして加わっていることが伝わってくる新鮮さがある。

ここではD☆Dメンバーを率いて、ショースターとしての輝きを存分発に揮する東山も、やはり『CLUB SEVEN』シリーズでなじみ深い玉野との共演とはひと味違う、玉野とセンターを分けて対等に踊り合っている爽快さがあり、センターパフォーマーとして年月を重ねてきた玉野と東山による、新しいショーステージがここからはじまる興趣に満ちていた。



力強くワイルドな魅力も放つ中河内雅貴、楚々とした芝居から一転、男性ダンサーたちを引き連れてのダンスを堂々とこなす朝月、得意のアクロバティックなダンステクニックを存分に高橋駿一が、それぞれメインとなる場面で躍動。その各場面で共に踊り歌うのはもちろん、中心のナンバーも軽やかにこなすD☆D Team Originalの中塚、和田、咲山、廣瀬、Homer、そして、ACT.2のみ出演のDIAMOND☆DOGS Team Novel矢崎諒、井川拓哉、角野楓真、三瓶賢人、高橋永遠の面々が、彼らだけの場面を存分に弾ませただけでなく、回替わりでメンバーが高橋のメインシーンにも登場して踊りまくるなど、早くもD☆Dの一員として、全体に溶け込んでいるのが頼もしかった。


もちろん黒流、KIJI、岩田のみでLIVEとして楽曲を聞かせてくれる場面や、敢えて内容は伏せるが、えっ!?この人がこの役を!?というショートコントシーン「スケッチ」ならではの変身の妙もあり、エンターテイメントの世界から「ショー」というジャンルを絶やしてはいけない、との信念を持って先頭を走り続ける玉野と東山、そしてD☆Dが紡ぐ新たなシリーズの幕開けに相応しい、盛りだくさんの内容となっている。

開幕に際し、玉野和紀、東山義久、中河内雅貴、朝月希和、高橋駿一からのコメントも届いた。
【コメント】
玉野和紀
『LOVE LOVE de SHOW 2025』初日!いよいよ始まりました!
いつになっても舞台の初日は緊張と喜びとで何とも言えない高揚感があります。
しかも今作品の一幕は自分が大切にしていたミニミュージカル『妖怪』の再再演のリメイクであり、二幕は多彩な楽曲でのショーという構成となっていますので、出演者たちの目まぐるしい表情の変化をお楽しみ頂けると思います。
是非劇場に足をお運び下さい。出演者・スタッフ一同、お待ちしています!
東山義久
『LOVE LOVE de SHOW 2025』いよいよ幕を開けました!
踊り、歌、殺陣、タップ etc…。
世の中に様々な作品、ショーがある中で、玉野さんを筆頭に今の僕達にしか出来ない唯一無二の作品が出来ました。
短い期間ではありますが、どうぞ劇場へご来場いただいて体感頂き、一緒に素敵な時間を共有したいと思っております。
是非、劇場でお会いしまSHOW!!
中河内雅貴
僕自身、メンバーとそれぞれで共演する事は過去にもありましたが、DIAMOND☆DOGSと共演するのは初めてなので楽しみにしていました。
噂どおり稽古進行が早い早い(笑)。無駄なく素晴らしかったです。
こんなに踊らせてもらって感謝しています。短い期間ですが一緒に盛り上げて楽しみましょう。
朝月希和
本日、初日の幕が上がりました。本作品は、お芝居、踊り、歌と見どころ満載で、盛りだくさんの内容の公演となっております。「I’M A SHOW」という劇場で、踊りや歌の楽しさ、高揚感をお客様に体感していただけますよう、出演者の皆さまと共に、心を込めてお届けして参ります。6月12日の千穐楽迄、どうぞよろしくお願い申し上げます。
高橋駿一
エンターテイメントがこれでもかと詰め込まれた作品になっていると思います。
素敵な先輩方や仲間たちと共にこの作品に携われて幸せです。
劇場に足を運んでいただいた皆様に感動や刺激を与えたいと思います。
【公演情報】
『LOVE LOVE de SHOW 2025』
総合演出:玉野和紀/DIAMOND☆DOGS
音楽監督:TAKA
音楽:奥村健介/TAKA
振付:玉野和紀/DIAMOND☆DOGS/木野村温子
出演:玉野和紀 東山義久
中河内雅貴 朝月希和 高橋駿一
DIAMOND☆DOGS Team Original(中塚皓平 和田泰右 咲山類 廣瀬真平 Homer)
DIAMOND☆DOGS Team Novel(矢崎諒 井川拓哉 角野楓真 三瓶賢人 高橋永遠)※Team Novel の出演はACT.2のみ。
ミュージシャン:黒流(和楽器バンド)・KIJI ・岩田卓也
●6/5~12◎有楽町 I’M A SHOW
〈アフタートークショー〉
6/9(月)13:30玉野和紀・東山義久・中河内雅貴・朝月希和・高橋駿一・MC中塚皓平
6/10(火)18:30玉野和紀・東山義久・黒流(和楽器バンド)・MC和田泰右
6/11(水)13:30DIAMOND☆DOGS TEAM Original(中塚皓平・和田泰右・咲山類・廣瀬真平・Homer)
〈料金〉全席指定12,000円(全席指定・税込)
〈公式サイト〉https://lovelovedeshow2025.srptokyo.com/
〈公式X〉https://x.com/lovelovedeshow
【取材・文・撮影/橘涼香】