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ミュージカル「黒執事」~緑の魔女と人狼の森~、まもなく開幕! 立石俊樹・小野田龍之介 インタビュー

小野田龍之介 立石俊樹

人気シリーズ「黒執事」で〝W執事〟を演じる2人!

大人気漫画『黒執事』の中でも屈指の人気エピソード「緑の魔女編」をもとにした舞台、ミュージカル「黒執事」~緑の魔女と人狼の森~が、9月12日より大阪・梅田芸術劇場メインホールにて幕を開ける。(15日まで。そののち9月21日〜28日に東京・anadevia Hallにて上演。)

ダークファンタジーの金字塔とも言われる枢やな原作による本作は、2006年に月刊「Gファンタジー」(スクウェア・エニックス刊)で発表され、現在も連載が続いている。舞台化は09年からで、〝生執事〟とも呼ばれ絶大な人気を誇っている。

今回の舞台で主人公の執事、セバスチャン・ミカエリスを演じる立石俊樹、そしてこの作品のキーパーソンとして登場するヴォルフラム・ゲルツァー役の小野田龍之介に、作品と役柄などを語ってもらった。(このインタビューは「えんぶ8月号」より転載。)

シリーズの中でも重要な「緑の魔女編」

──立石さんは前作のミュージカル「黒執事」〜寄宿学校の秘密〜にセバスチャン・ミカエリス役で初出演、その再演を経て3度目の出演となります。

立石 またミュージカル「黒執事」に出演できることをとても嬉しく思っています。前作とはストーリーもまったく異なりますし、キャストもクリエーター陣もほぼ入れ替わるので、きっと稽古場でも新鮮な気持ちになるのではと思っています。それに今回の「緑の魔女編」は、とても『黒執事』らしさが表れた物語なので、僕自身も楽しみにしています。

小野田 僕はミュージカル「黒執事」には、今回初めて出演させていただきます。ただ、初期の頃から何回か観ていて、その頃はまだ2.5次元ミュージカルという言葉もそんなに知られていなかったですし、原作漫画は拝見していなかったので、新しい世界に出会ったという感覚でした。キャラクターだけが押し出されるわけではなくて、演劇としてとても面白かったんです。そういう記憶があった作品に、時を経て自分がヴォルフラム・ゲルツァーというキーパーソンの役で出演できるのが、とても嬉しいです。

立石 すごく面白い役ですよね。

小野田 後半でいろいろわかってくるんですが、ネタバレしてはいけないので(笑)。もちろん原作ファンの方々は、全部わかったうえで楽しんでくださると思うのですが。

立石 逆にちゃんと読んでおかなくてはと思う方もいるぐらいで。

小野田 でも読まないまま観劇されるお客様もいると思うので、どういう物語なんだろう? というワクワクさも残しておきたいですね。

──俳優としてのおふたりのファンの中には、『黒執事』の世界は初めてという方もいるかもしれませんね。そういう方へのアドバイスはありますか?

立石 セバスチャンが悪魔だということぐらいは知っていたほうがいいかもしれませんね。

小野田 僕も「原作を読んでから行きます」というお手紙をいただいたりするんですが、僕の役は「緑の魔女編」で初めて出てくるキャラクターなので、予備知識がなくても、物語を観ていただく中で役の背景などもわかってきますから大丈夫です。

──この物語は背景にいろいろ仕掛けがあって、どんどん引き込まれますね。

小野田 立石さんとも話しているんですが、シリーズの中でもとても重要な作品ではないかと。
立石 そう! 本当によく出来ていると思います。

小野田 台本を読んでいると、クリエーター陣の力の入り具合を感じるので、僕らも負けないように!

立石 がんばりたいですね。

執事としてのそれぞれ関係性や思いがある

──立石さんは、ご自身が演じるセバスチャン・ミカエリスという存在をどう感じていますか?

立石 セバスチャンについては、「あくま(悪魔)で執事ですから」というセリフがあるように、どこまでいっても悪魔なんです。僕自身、立石俊樹として原作を読んでいると他の登場人物には共感することも多いのですが、セバスチャンは周りを客観視しているし、同情したりしない。そういう意味では、僕自身とセバスチャンが最初はリンクしづらかったのですが、今はセバスチャンの視点で物事を見ることが楽しくなっています。ある種美食家ですし、こだわりもある。そういう彼の世界観を表現することを楽しんでいます。

──シエルとの関係も演じていて面白いのでは?

立石 そうですね。普通の主従関係ではないし、シエルが復讐をする生き様を見たいような、それを諦めるようにどこか試しているような。とても複雑で奥深い関係性で、そこもこの物語の大きな魅力だと思います。 

──小野田さんのヴォルフラム・ゲルツァーも執事で、実は…という部分もあります。

小野田 そこも言えないのですが(笑)。ヴォルフラムは、とても厳格な人間で、サリヴァンというお嬢様を守るという使命感を持っています。そして彼女をお世話するうちにサリヴァンへの情がどんどん湧いてきて、愛おしさが積み上がっていく。でも自由のないお嬢に望むものを与えてあげられない無力感とか、そういう環境への無力感もあったりする。だからこそ愛おしさも増すし、大切な存在になっていく。執事だからこそのそういう思いを中に持って演じたいです。

──執事同士としては、セバスチャンにはどんな気持ちがあるのでしょう?

小野田 セバスチャンはあまりにもよく出来た執事なので、ジェラシーを感じているんで(笑)。ヴォルフラムは不器用な執事なので。

──今回の「緑の魔女と人狼の森」という物語ですが、そのテーマとなる問題は、今の世の中や世界で起きていることにも繋がるかなと。それについてはどう捉えていますか?

立石 僕の感覚としては、テーマ的な部分はこちらから訴えかけるというより、観てくださる方たち、それぞれの受け止め方に委ねたいと思っているんです。例えばこの作品に登場するキャラクターたちにのめり込んで観ているうちに、現実の出来事と重ねて観てしまうこともあるかもしれません。でもそれはそれぞれの捉え方ですし、それでいいのではないかと。ただ僕はミュージカルの舞台では、なるべく現実を引きずらずに、非現実の世界で心をやすめたり、そこで描かれているキャラクターたちの中にある、あたたかな何かを受け取って帰ってほしいと思っているんです。

小野田 僕もそう思います。この作品に限らずいろいろな舞台で、過去の戦争や今も起きている悲惨な出来事が描かれたりします。でもその根底には、そういう状況の中でも支え合って生きる人たちがいて、その絆とか情とか、そういう大切なものが描かれている。そこを感じてほしいし、それを自分と周りの人たちとの関係と重ね合わせたら、「人と人って面倒だけど、やっぱりいいよね」と、きっと思うんじゃないかな。そういう「生きているって、これだからやめられないよね!」みたいなことを届けるのが、この作品であり、他の舞台や音楽、映画などエンターテイメントの力だと思うし、それをこの「黒執事」で深く味わっていただければいいなと思っています。

舞台の良さを存分に発揮できる作品

──おふたりは初めての共演ですが、ともにミュージカル『テニスの王子様』に出演されていて、グランドミュージカルからストレートプレイまで幅広く活躍されているところなど、共通する部分も多いですね。

小野田 しかも年も2歳違いなんです。僕にはこんな可愛さはないですけど(笑)。立石さんの舞台はもちろんいろいろ観ていました。とにかく綺麗な俳優さんだなと。それは外見的なものだけではなく、役の気持ちとか造形がとてもシンプルで嫌味のない俳優さんで、例えば古典の作品でも余計なもので飾らずに自然にそのままそこにいる。だから親しみを感じるし、ちゃんと気品もある。素敵な俳優さんだなと思っています。

立石 ありがとうございます。僕から見て小野田さんは…

小野田 ちゃんと褒めてね(笑)。

立石 (笑)僕は初舞台が『テニミュ』だったのですが、小野田さんは1stシーズンに出演されていて、僕はオーディションを受けるとき、その動画を参考に観ていたんです。そこが僕のスタートで、そこからミュージカルやお芝居の世界が開けたわけですが、すでに小野田さんはさまざまな作品で活躍していました。とくに印象に残っているのが『ウエスト・サイド・ストーリー』で、ダンスも歌もすごくて、とにかく圧倒的な存在感でした。そういう意味では僕にとって、つねに先を行っていらっしゃる方なので、この作品で初めて共演させていただけることはとても嬉しいです。キャスト表を見たときは驚きましたし、ヴォルフラム役と知ってすごく楽しみになりました。

──歌でのバトルもあるようですね。

小野田 けっこうあるよね。立石さんからいっぱい盗ませてもらおうと思っています。

立石 いやいや、こちらこそです(笑)。僕が『黒執事』に参加させてもらってから初めて、自分とは違う執事が登場するので、今回〝執事同士〟という関係性でご一緒できるのは嬉しいですね。
小野田 お互いに守るものがある同士なんだよね。だからこそぶつかり合ったり共感したりするんだけど。

立石 そこは大きな見どころだと思います。

──今回、曲数も多いし、かなりバラエティに富んでいると聞いていますが。

立石 登場人物それぞれにドラマがあるので、それに合わせて音楽の種類もさまざまなんです。前作でもどの曲も模索しながらでしたし、決して簡単ではなかったのですが、今回はさらにジャンルが幅広くなりそうなので、取り組みがいがあります。

小野田 僕はすごく久しぶりにネルケプランニングの2.5次元作品に携わらせていただくので、これまで他のジャンルの舞台で培ってきたキャリアを、如何にこの『黒執事』の世界観に投入できるか、そこは楽しみですし、非常に音楽のバリエーションが多いので、へんにキャラクターだけにとらわれず、いろんなアプローチをしていけたらと思っています。

──期待を上回る舞台になりそうで、楽しみです。最後に観てくださる方へのメッセージをいただけますか。

小野田 今回は、このミュージカル「黒執事」シリーズの中でも大きな盛り上がりとなる作品ではないかと思っています。そういう作品に、シリーズに初めて参加する僕が携わらせていただけるのは幸せです。年も近くて頼りがいのある立石さんと一緒に作品を作れること、そして演出の毛利亘宏さんとは約10年ぶりなのですが、いろいろ話し合いながら作れるのではないかとそこも楽しみです。原作をあまりよく知らない方も、すでに読んでいらっしゃる方も、構えずに来ていただいですね。とても楽しめる作品になると思いますので、ぜひ劇場にいらしてください。

立石 今回は演出の毛利亘宏さん、音楽の和田俊輔さんという、過去作を作られたクリエーターの方たちが再び手がけられるので、前回とはまた違う「生執事」の魅力が存分に発揮できると思うので。

小野田 「生執事」って言うんだ!?

立石 そうなんです。生の『黒執事』なので。

小野田 なるほど!(笑)

立石 先ほど小野田さんがおっしゃったように、原作を読んでいない方も楽しめる人間ドラマが満載で、周りのキャラクターたちもそれぞれ面白くて。

小野田 演じる俳優さんも、2.5次元作品の常連さんもいれば、マンガ原作の舞台は初めてという人もいるので、いろんな才能のぶつかり合いを観ていただけるんじゃないかな。

立石 カンパニーの皆さんと一丸となって届けますので、「生執事」の世界を堪能しにきてください。劇場でお待ちしています!

【プロフィール】
たていしとしき〇秋田県出身。2017年ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン幸村精市役でデビュー。最近の主な出演舞台は、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、ミュージカル『エリザベート』、ミュージカル『太平洋序曲』、ミュージカル『浜村渚の計算ノート』、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』、ミュージカル『VIOLET』、ミュージカル「黒執事」〜寄宿学校の秘密〜、MANKAI STAGE 『A3!』、東洋空想世界『blue egoist』、ミュージカル『ワイルド・グレイ』など。 

おのだりゅうのすけ○神奈川県出身。幼少より経験を重ね、確固たる演技力・幼少より培ったダンス力・圧倒的な歌唱力を武器にミュージカルを中心に活躍。 2011年「第1回シルヴェスター・リーヴァイ国際ミュージカル歌唱コンサート・コンクール」にてリーヴァイ特別賞を受賞。近年の主な出演作に『レ・ミゼラブル』、『WestSideStory』、『ミス・サイゴン』、『メリー・ポピンズ』、『マチルダ』、『ラブ・ネバー・ダイ』、『マリー・アントワネット』、『ベートーヴェン』など多数。

【公演情報】
ミュージカル「黒執事」~緑の魔女と人狼の森~
原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
脚本:Two hats Ltd.日置じゅん(D-6th)
演出:毛利亘宏
音楽:和田俊輔
出演:立石俊樹 小林郁大 糸川耀士郎 角川美紗 北村圭吾 佐藤永典 本間仁 蘭舞ゆう 玉山珠里 井上花菜/天寿光希/Clara 小野田龍之介 ほか
●9/12〜15◎大阪 梅田芸術劇場メインホール
●9/21〜28◎東京 anadevia Hall
〈公演に関する問い合わせ〉
大阪公演:梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00/土日祝含む)
東京公演:ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/contact/
〈公式サイト〉https://namashitsuji.jp

【文/宮田華子 撮影/中田智章 (立石)ヘアメイク/中元美佳 (立石)スタイリスト/MASAYA(PLY) (小野田)ヘアメイク/池田ユリ(eclat) (小野田)スタイリスト/津野真吾(impiger) (小野田)衣装協力/HARE】

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