これまで個性的な日本語オリジナルミュージカルを上演してきた3つの団体(Group B、DAWN PROJECT、noo)が、日本のインディペンデント系ミュージカル・シーンの興盛と発展を目指して、同じ会場で新作ミュージカルを上演する刺激的な試み『ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル』が、今年10月シアター風姿花伝で開催される。

各団体の代表者(劇作家)たちから、制作中の作品に向け、メッセージが到着した。
noo モスクワカヌ
『モイ・ミリー 〜ユリウス・フチーク 最後の手紙〜』は、第二次大戦中ナチスの占領政策に抵抗した実在のジャーナリストを主役にした新作ミュージカルです。困難のなかで人は自分の在り方をどう選べるのか、どこに希望を見出せるのかという普遍的な問いを未来から過去へまなざし、同時に、過去に懸命に生きた人々から眼差されている「いま」の話でもあります。素晴らしいキャスト、スタッフ、音楽の力をえて、10月に舞台に立ち上がります。ご期待ください。

【プロフィール】
ミュージカル、ストレートプレイ、手話を使用した脚本等、様々なジャンルを執筆。近年では自閉スペクトラム症を持つ自分自身の視線や体験をもとに、世界から弾かれてしまう人々の生活をマジックリアリズムの手法で描く作品が多い。2021 年、『It’s not a bad thing that people around the world fall into a crevasse.』にて第20 回AAF 戯曲賞の特別賞を受賞。2024 年・2025 年、鳥の劇場「みんなが書く戯曲のコンテスト」にて短編『Bamboo』『暗いところに月をみにいく』が2 年連続受賞。

【公演情報】
noo『モイ・ミリー 〜ユリウス・フチーク最後の手紙〜』
脚本・作詞:モスクワカヌ(noo)
演出:赤澤ムック
音楽・演奏:伊藤祥子
出演:前田隆太朗、笹川幹太
あらすじ:1942年ナチスドイツ占領下のチェコ。収容所の中で、ジャーナリストのユリウス・フチークは未来に向けて「絞首台からのレポート」を密かに書く。
Group B エスムラルダ
ドストエフスキーの『罪と罰』を原作とした『ツミとバツ』、ブロンテ一家を描いた『ダイニング・テーブル』など、「文学」に焦点をあてたオリジナルミュージカルを作ってきたGroup B。今回、実力派揃いのキャストのみなさんとお届けする新作『檸檬SOUR』は、なんと梶井基次郎の『檸檬』にインスパイアされたコメディ・ミュージカル。あの憂鬱な短編小説がどうコメディになるのか? ぜひみなさんの目でお確かめください!

【プロフィール】
ドラァグクィーン/脚本家/ライター/歌手/俳優。1994 年より各種イベント、メディア、舞台公演等に出演。2018年、ドラァグクイーン・ディーヴァ・ユニット「八方不美人」のメンバーとしてCD デビュー。また東宝ミュージカル『プリシラ』(宮本亞門演出)翻訳、GroupB『ツミとバツ』『ダイニング・テーブル』、CCCreation公演『黒蜥蜴~Burlesque KUROTOKAGE~』など。映像・舞台の脚本を多数手掛けている。

【公演情報】
Group B『檸檬SOUR』
脚本・作詞:エスムラルダ(Group B)
演出:平戸麻衣(Group B)
音楽:大部胡知(Group B)
出演:上野哲也、丸山真矢、橘未左子、成川諒、tekkan
あらすじ:主人公はチェーンの居酒屋で働くストレス満載のアラフォー男性。そんな彼の脳内に梶井基次郎が現れる。現代における「爆弾」とは何か。
DAWN PROJECT オノマリコ
『ロミオ アンド ジュリエット アット ドーン!』はシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を現代に暮らす人間たちとして描いたミュージカルです。ロミオはゲイ、ジュリエットはクエスチョニング。二人が恋に落ちず、美しい友情を結びます。二人はお墓の中で亡くなるのか、それとも朝日を迎えることができるのか。若々しいロミオとジュリエットの疾走を、ぜひ観ていただければと思います。後藤浩明さんの音楽もご期待ください。

【プロフィール】
劇団趣向代表。東京女子大学文理学部哲学科卒。瑞々しく色彩豊かなセリフ、言葉で時空間を飛び越えようとする作風を特徴とする。近年の仕事としては趣向『べつのほしにいくまえに』脚本、ミュージカル『ラフへスト ー残されたもの』訳詞・上演台本、『音楽劇 中原中也』作詞・脚本、ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』訳詞・上演台本など。


【公演情報】
DAWN PROJECT『ロミオ アンド ジュリエット アット ドーン!』
翻案・脚本・作詞:オノマリコ(趣向)
演出・振付:小林真梨恵(waqu:iraz)
音楽:後藤浩明
出演:工藤広夢、松尾音音、藤原章寛、内田莉紗、古田伊吹、武井希未、植野葉子
あらすじ:とある国の王室に生まれたロミオとジュリエット。ロミオはゲイで、ジュリエットはクエスチョニング。2人が恋に落ちない、2020年代のロミオとジュリエット。
【イベント情報】

『ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル』
開催日:2025年10月9日〜20日(14日休演日)
会場:シアアー風姿花伝
公式サイト
https://1act-musical-fes.my.canva.site/
