情報☆キックコンテンツ一覧
お得なチケット販売中!
情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
公演チケットで広告掲載

【紀伊國屋ホール】つかこうへい作品連続上演開催中! 田谷野亮・横内謙介・中屋敷法仁 緊急座談会レポート

新宿・紀伊國屋ホールにて、11月~12月に「つかこうへい作品」が連続上演される。
公演は、11月1日〜9日、たやのりょう一座公演『熱海殺人事件』『ストリッパー物語』を皮切りに、12月9日~14日の劇団扉座『つか版・忠臣蔵2025』、12月18日~28日のアール・ユー・ピー&ゴーチ・ブラザーズ『熱海殺⼈事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』と続く。
そこで、それぞれの団体の代表、田谷野亮、横内謙介、中屋敷法仁が集まり、それぞれが考える“つかこうへい作品”について語り合う座談会が10月下旬に行われた。ここでしか聞けない裏話や創作の想いが詰まった、特別座談会のレポートをお届けする。

出席者(上演順)/田谷野亮(たやのりょう一座)、横内謙介(劇団扉座)、中屋敷法仁(ゴーチ・ブラザーズ) 司会/岡村俊一(アール・ユー・ピー)

田谷野亮、横内謙介、中屋敷法仁、岡村俊一

《特別座談会レポート》
紀伊國屋ホールにはつかこうへいがよく似合う。しかし、紀伊國屋ホールでつか作品を上演することは「ちょっと度胸がいる」と、演出家の岡村俊一は言う。にもかかわらず、11月から12月にかけて、3つの団体が紀伊國屋ホールでつか作品を上演する。来年十七回忌を迎えるつかこうへいの作品が、今もなおこうして多くの演劇人に愛され、上演され続けているのはなぜなのか。

岡村の呼びかけにより、11月に『熱海殺人事件』『ストリッパー物語』を上演する、たやのりょう一座の田谷野亮、12月に『つか版・忠臣蔵2025』を上演する扉座の横内謙介、『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』(以下、『モンテ』)を演出する中屋敷法仁が、紀伊國屋ホールのロビーに集結し、緊急座談会が開催された。

岡村の進行で始まった座談会の最初の議題は「なぜ今、つかこうへいなのか」。
これまでも自身の団体でたびたびつか作品を上演してきた田谷野は、つかを上演する理由について「ただ本当に面白い本があるからやりたい、という好奇心」だと答えた。
横内は「元々僕は台本を書き始めたのはつかこうへいのモノマネから始まった」と、つかに深く影響を受けたと述べ、「つかさんの三回忌のときに追悼公演として『つか版・忠臣蔵』を上演した。あれから10年以上経って、中心的な役を演じた山本亨が全力疾走でこの作品をやれるのは今しかないと思った」と再び上演するに至った思いを語った。
中屋敷は「つか作品以外にもいろいろ演出していると、だんだん演劇の核と呼べる面白さとは何だろう、とわからなくなることがある。つかさんの言葉に触れることで、その核に触れる感じがする」と、演劇をやる上での心の拠り所であることを明かした。

今回の公演でこだわっている見どころを問われると、田谷野は「演出のこぐれ修さんはつかさんの上演を実際に見ていて、その演技や演出を鮮明に覚えているので、それをコピーして上演している。当時を知っている方には、あのときに観たものだ、と思ってもらえるのではないか」と、当時つかが上演したものをコピーすることで、自分たちにしか上演できない作品になると述べた。
横内は「紀伊國屋ホールで『熱海殺人事件』を観たときに、こんなことができるのか、と衝撃を受けるような俳優同士のバトルを観た。『つか版・忠臣蔵』をこのテイストでやるのはこれが最後になると思うが、我々の限界を見せるつもりなのでそのバトルを観届けて欲しい」と意気込みを語った。
中屋敷は「『モンテ』は1年前と同じメンバーでの再演で、前回はつかさんへのリスペクトという意識が強かったが、今回はそこから少し自分たちを解放して、つか作品の悪ふざけというか、愉快なところ、ポップなエネルギーをたくさん出したいと思っている」と展望を述べた。

岡村から「現代的な視点によるつかこうへいの課題」として、作品の中に含まれているパワハラやセクハラの描写をどのように取り扱うのか、という問題を投げかけられると、横内は「今の時代だとアウトなセリフもたくさんあるが、それを言わなきゃ作品として成り立たない。お客様に対しては注釈を出したり、キャスト・スタッフにはレクチャーをしたりしないといけないと思う」と、現代の状況に対応について述べた。
田谷野は「そのままのセリフで稽古すると、若い人たちは最初びっくりしている。でも、つかさんが書いた言葉なので」と、あくまで元の台本に即した上演にこだわる姿勢を見せ、「その言葉の裏側にある思いについて、説明するようにしている」とした。
中屋敷は「つかさんはとても暴力的なセリフが多いが、それと同じくらい愛情深いセリフが多いと思っているので、それを伝えたい」と、そのセリフに込められた意味を大切にしている思いを述べ、「(つか作品は)演劇という、生でセリフをしゃべる人と、それを受け止める人がいるメディアだから成立していると思う。受け止める側の演技が重要」と語った。
それぞれの意見を聞いた岡村は「つか作品は、歌で言うと詞よりも曲が先行している。(つか自身が)曲がしっかりしているから詞が変わってもいい、という人だったからどんどんセリフを言い換えたりできる」として、「一貫しているのは、相容れないものが、どうしたら相容れられるのか、というテーマ。それをキープしていれば言葉自体は変わってもさほど問題ない」と語った。

「つかこうへいのどこが好きか?」という問いに、田谷野は「言葉の裏側にある、愛と憎しみのパワーの大きさ、傷つければ傷つけるほど自分も傷ついていくという、言葉の意図の深さ」、横内は「演劇は反権力とか右翼とか、過激になりがちなところがあるが、つかさんは中道だと思う。バランスをとって常に真ん中にいる感じがして、そこに安心感を覚える」、中屋敷は「エンターテインメント要素やセリフの分量が多くて熱量がある、というイメージだと思うが、見た後に世の中の見方や生き方がちょっと楽になったり愉快になったりする」とそれぞれの思いを語った。(取材・文/久田絢子)

なおこの座談会は以下で配信中。
前編 https://youtu.be/lWMArM6oWd0
後編 https://youtu.be/d53ELfGTgEM

【公演情報】
たやのりょう一座公演『熱海殺人事件』『ストリッパー物語』
作:つかこうへい
演出:こぐれ 修(劇団☆新感線)
出演: 
『熱海殺人事件』小澤雄太(劇団EXILE) 松川尚瑠輝 小池里奈 田谷野亮
『ストリッパー物語』日比美思 田谷野亮 滝澤エリカ 大川泰雅 八条院蔵人 永井彩加 門松順 なだぎ武
●11/1〜9◎紀伊國屋ホール
〈公式サイト〉https://ichiza.jp

【公演情報】
幻冬舎Presents 劇団扉座第80回公演 
『つか版・忠臣蔵2025』
原作:つかこうへい
脚本・演出:横内謙介
企画:見城 徹
出演: 岡森諦 有馬自由 犬飼淳治 累央 上原健太 新原武 松原海児 野田翔太 小川蓮 翁長志樹 彌永拓志 土岐倫太郎 守敦也
中原三千代 伴美奈子 藤田直美 砂田桃子 小笠原彩 北村由海 菊地歩 佐々木このみ 他
客演: 山本亨 友部康志
●11/29・30◎厚木市文化会館 小ホール
●12/9~14◎紀伊國屋ホール
〈公式サイト〉https://tobiraza.co.jp/tobiraza80-tsukaban-chushingura

【公演情報】
『熱海殺⼈事件 モンテカルロ・イリュージョン2025』
作:つかこうへい
演出:中屋敷法仁
振付:野⽥裕貴(梅棒)
出演:多和⽥任益 嘉島陸 ⿃越裕貴 ⽊﨑ゆりあ
●12/18〜28◎紀伊國屋ホール
〈公式サイト〉https://www.gorch-brothers.jp/atamimonte_2025

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!