情報☆キックコンテンツ一覧
お得なチケット販売中!
情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
公演チケットで広告掲載

【池谷のぶえの「人生相談の館」】第104回 鏑木知宏さん(音響・サウンドデザイナー・ミキシングエンジニア)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

10月下旬からNHK連続テレビ小説「ばけばけ」、松江の花田旅館の女将・ツル役で時々登場しております。
島根県松江市には、8年ほど前に個人的に旅行に訪れたのと、舞台公演で2回お世話になっていますが、本当にしじみが美味しく、風情があり、舞台を楽しみにしてくださっている印象のある街です。

初めて出雲ことばのセリフを練習した時は、山を上り谷を下るような音域の差異に、身に沁みこませられる気がしていませんでしたが、いまでは「こんな音程かな?」と予想できて嬉しい時もあり、逆に「そうきたか!」と未知の音程にびっくりする時もあり、奥深いものがあります。

もう少しチラチラと登場すると思いますので、ぜひ。

さて舞台では、EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」が、東京公演、大阪公演、北九州公演を無事終え、いよいよ最終地である金沢公演を残すのみとなりました。

2023年夏に初めて出会った仲間たちとも、金沢公演が終わればまたしばしのお別れです。
初日に向かってがむしゃらだった初演を経て、再演のお稽古では、演劇研究会のように豊かなお稽古の日々でした。それは本番にも続き、まだまだ微妙な調整を続けております。まるで、星太郎がお父さんの行方を探すように、演劇の行方を探す日々です。

きっとこのメンバーでは二度とご一緒しないでしょうから…と文章にして書くと、まるで「二度と会うもんか!」みたいなニュアンスになってしまいますが…そういうことではなく、せっかく出会ったのだし、またしばらくはご一緒することもないかもなのだから、私の持っているものでもし必要なものがあれば勝手に持っていってくれという気持ちで、ちょろちょろ言葉にしたりしている日々です。

とはいえ、伝えるというのは本当に難しい。
タイミング、語彙、それぞれの資質、スタンス…。
夏からずっと言ってるな…もしかしたら、伝えること自体が間違いなのではないか? とすら思いはじめた2025年の年末です。

まあ、今年は、疲れました…後先考えず、遊べてない…遊びたいです…。あと、10時間1度も起きることなく続けて寝てみたいです、サンタさん。

さて今回のご相談は、大学時代からの付き合いになりますこちらの方からです。

*****

押忍!

池谷パイセン、今回はよろしくお願いします!

いま男手一つで6歳の女の子と5歳の男の子を育てています。
「我ら宇宙の塵」のツアーに参加するにあたって知人に預かってもらっています。
3週間(泣)

そういう時の2人は環境の変化が理由なのか、食欲がなくなって痩せてしまいます。
このようなことが起こるたびに悲しく感じていて、今回のツアーを最後に地方でのオペレーション業務は引退しようと思っています。

この決断が正しいのか、ご意見をお聞かせください。
成長した2人が業務内容の変更の理由が自分たちにあることを気にしてグレてしまわないかも心配です。
帰宅の際は玄関まで「ニャー」と話しながら出迎えしてくれるかわいい子たちなんです。
え?
猫です。
猫なんだから話し言葉は「ニャー」ですよ。

そういえば、池谷パイセンが所属していた劇団は「猫ニャー」でしたね。

猫のニャーに縁があるパイセンのキレキレコメント期待しております。

金沢は真面目にやります。
押忍!

鏑木知宏さん(音響・サウンドデザイナー・ミキシングエンジニア)

*****

東京、大阪、北九州は真面目にやっていなかったの⁉︎  と、キレキレで突っ込もうと思いましたが、私がちょっとセリフをとばしてしまった時などにもさりげなく音を調整してくれたりと、きっと真面目にやっていたと思いますので、最終地金沢公演もよろしくお願いいたします。

90年代初頭、東洋大学には「劇団白芸」「劇団曙」「劇団昏々睡々」という3つの演劇サークルがあって、かぶちゃんは「劇団白芸」、私は「劇団昏々睡々」に所属していました。
劇団同士、お互いの公演を観に行ったり、機材の貸し借りをしたり、初日祝いのお酒を贈りあったり、打ち上げに参加しあったり、横の交流も盛んでした。

その後、「劇団昏々睡々」の仲間と、「劇団猫ニャー」という劇団を旗揚げすることになるのですが、そこで長い期間音響を担ってくれたのが、今回ご相談いただいたかぶちゃんです。

今回の、EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」でも音響として携わっており、一緒にツアー中です。
そんなかぶちゃんが、今回のツアーを最後に地方でのオペレーション業務を引退するとのこと。
最後のツアーをご一緒できたのも、猫がニャーしたご縁ですね。

とはいえ、私は猫については「魅力的な生き物だな」と思う意外、全くの無知です。
なのでまずは、猫の6歳と5歳が、人間でいうところの何歳くらいなのかから調べさせてください。
こうして事前にお断りしてさえも、「猫の年齢が人間の何歳かなんて考えることがそもそもナンセンスなのよ! 猫は猫なのよ!」と叱られる…と小耳に挟んだこともあるので、身を守りつつ。

猫の5~6歳を人間の年齢に例えると、30代後半から40歳くらいのようですね。
今回の座組ですと、ちょうど小沢さん(脚本・演出・美術)の年齢ですね。

小沢さん2人を育てていて、小沢さん2人が出迎えてくれて、小沢さん2人が食欲がなくなって痩せてしまう…猫と生活したことがないゆえ小沢さんで想像してみましたが、まあそれによってよくわからなくもなりましたが…もし小沢さんの親だったら、そりゃツアーどころではありませんね。

このままだと、小沢さんの親御さんにこのご相談の解答をお願いしてしまいそうなので、猫に戻りましょう。

私は猫に対して全くの素人ですが、猫ってすごいなぁと思った出来事があります。

ずっと以前、お仕事でとある施設を支度場にお借りしていたのですが、そこに住み着いているのか迷い込んだのかはわからない白い子猫がウロチョロしていて、その可愛らしさに、出演者さんやスタッフさんが総出で愛でていました。

とはいえ私は、その現場でモヤモヤとした辛い思いを感じながら、待合部屋の隅にポツンと座っていました。

するとその子猫は、さんざんモテている状態を振り切り、ポツンと座る私のところへ歩いてきて、膝にちょこんと乗っかってきたのです。
猫との交流に慣れていない私ですから、どうしていいのかもわからずそのままで固まっていましたが、私が移動しなければいけない時間までずっとそばにいてくれました。

泣きそうになってしまったことは、言うまでもありません。

猫には、猫にしか出せない見えない何かがあるのですね。
かぶちゃんにとっては、その存在がとても大切なのですね。

我々も、50代半ばに差し掛かりました。
20代や30代では当たり前、永遠に可能だと思っていたことも、できなくなってくることも増えてきましたね。

その当たり前だと思っていたことや、永遠に可能だと思っていたことは、そう思える世代にぜひ担ってもらって、我々は離れて見守ることも多くなってきたように思います。

若い頃おしゃべりが大好きな印象だったかぶちゃんが、じっとみんなのディスカッションに耳を傾け、ここだけは伝えた方がヒントになるのではないか? と、見守っている昨今の姿が印象に残ります。

猫のニャーと話す言葉にゆったりと耳を傾ける時間にシフトすること、娘ちゃんと息子ちゃんはとても嬉しいと思います。2人が嬉しいと、かぶちゃんも嬉しいわけですものね。

最後の地方でのオペレーション、ご一緒できてご縁でした。
初めて地方でもオペレーションをしたのは、猫ニャーの大阪公演だったそうですね。
1999年12月から約25年間。
猫の25歳は、人間にしたら100歳を超えます。
100年以上、本当におつかさまでしニャ!

■ラッキー待ち受け

大学時代の公演で、私が本番中に大量の鼻血を流しながら演技していた回を、かぶちゃんはちょうど観ていたそうです。
21歳の私は、舞台袖にはけないことが正義だったのでしょう。いや、拭くもの取りにはけて! セリフ入ってこないから! 54歳より。
赤と白、縁起がいいのでラッキー待ち受けに。
金沢公演で鼻血を出さないよう、お互いがんばりましょう。


鏑木知宏さんの今後の予定

EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」
脚本・演出・美術:小沢道成
音響:鏑木知宏
金沢公演:2025年11月21日(金)~24日(月・祝) 金沢 21 世紀美術館 シアター21
詳細 → https://epochman.com/wuc2025

▶最近のミキシングエンジニアとしての参加作品
東京グローブ座「Bug Parade」
東急文化村「泣くロミオと怒るジュリエット」
good morning N°5「執着の泡」
EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」
る・ひまわり「時をかけ・る2」

著者プロフィール

池谷のぶえ
いけたにのぶえ│94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」(後の「演劇弁当猫ニャー」)の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

出演情報

【舞台】
EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」
作・演出・美術:小沢道成
金沢:2025年11月21日(金)~24日(月・祝) 金沢 21 世紀美術館 シアター21
https://epochman.com/wuc2025

【舞台】
「ピグマリオン-PYGMALION-」
作:ジョージ・バーナード・ショー
演出:ニコラス・バーター
東京:2026年1月20日(火)~2月8日(日) 東京建物 Brillia HALL
名古屋:2026年2月13日(金)~15日(日) 御園座
北九州:2026年2月21日(土)~23日(月・祝) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
大阪:2026年3月5日(木)~8日(日) SkyシアターMBS
https://pygmalion2026.jp

【テレビ】
NHK
連続テレビ小説「ばけばけ」
花田旅館の女将・花田ツル役
放送中 月〜金曜
【総合】午前8:00~8:15・再放送 12:45〜13:00
【BS・BS4PK】午前7:30~7:45
https://nhk.jp/bakebake

【テレビ】
NHK総合
「LIFE!秋」
2025年11月24日(月・祝) 21:30〜22:30
https://www.web.nhk/tv/an/life

【テレビ】
NHK総合
「あさイチ」
2025年11月25日(火) 午前8:15〜
https://www.web.nhk/tv/an/asaichi

【テレビ】
NHK総合
「LIFE!ヒットパレード」
毎週水曜 23:00〜
https://www.web.nhk/tv/an/life

【ドラマ】
ドラマストリーム「スクープのたまご」#8
先行配信 Netflix 2025年11月18日(火)
https://www.netflix.com/jp/title/82132185
TBS 2025年11月25日(火) 24:58〜25:28
https://www.tbs.co.jp/scoopnotamago_tbs/

【テレビ】
Eテレ
アニメ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」
毎週金曜 18:40~ / 再放送 毎週土曜 17:45〜
声:銭天堂の店主・紅子役
https://www.toei-anim.co.jp/tv/zenitendo/

【LIVE】
池谷のぶえ×山内圭哉トークライブ
「のぶえ・圭哉の酔わせていただきます Vol.02」
2025年12月13日(土)
会場:中野富士見町ニュー・サンナイ
詳細 → https://x.com/newsannai

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!