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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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河相我聞・新木宏典インタビュー

『クリスマス・キャロル』の可能性を見せたい

イギリスの国民的作家であるチャールズ・ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』をもとにした、Reading Act『スクルージと呼ばれた男』。海外戯曲の現代的な解釈と繊細な演出に定評のある若手気鋭の下平慶祐が翻訳・脚本・演出を担い、『クリスマス・キャロル』を6人芝居に再構築。リーディングアクトという朗読劇をベースにしてストレートプレイのような演技や演出を取り入れた形で表現する。その舞台への思いを新木宏典と河相我聞が語ってくれた。

2年ぶりにセリフを交わせることが楽しみ

 ──最初にこのお話を聞いた時は、どのように感じましたか?

新木 ミュージカル『刀剣乱舞』の「目出度歌誉花舞 十周年祝賀祭」のリハーサル中に、(本作でも共演する)林光哲くんから「新木さん、出ないんですか?」と言ってもらったので「分かった、出るよ」って(笑)。その前からマネージャーと話していて出演しようと思っていましたが、そう言ってもらえてうれしかったことを覚えています。今回、我聞さんとも2年ぶりになりますので、違う作品でセリフを交わせるということが楽しみです。

河相 まず、年末のこの時期まで舞台に立てるということがなかなかない機会なので、それがすごくうれしかったです。それから、これまで朗読劇にご縁がなく、いつかやってみたいと思っていたので、それもまたうれしいところでした。

──今、お話にあった通り、お二人は2023年上演の舞台『赤ひげ』以来の共演になりますね。前回の共演で感じたお互いの役者としての印象を教えてください。

新木 『赤ひげ』では我聞さん、(高橋)健介にいじられまくっていましたよね?

河相 いじられてたね(笑)。僕は普段、いじられる方ではないと思いますが、そうやっていじってもらえて、若手の方たちがたくさん話しかけてくれることもうれしいなと思っていました。

新木 このお人柄があるから、いじりやすかったんだと思います。お芝居も、瞬発力で見せる引力を持っていて、純粋な表現をされる方なので、そうした役を通して我聞さんの人の良さを感じるんです。だからこそ、お芝居をしていてもストレスなくセリフを返すことができるんだろうと感じました。そんな我聞さんだからこそ後輩たちも親しみを持って近づきやすかったのではないかなと思います。

河相 ありがとうございます。新木くんは、彼にしかない魅力や惹きつける力があるからこそ、これだけのキャリアとこの雰囲気が出せるんだろうと思います。プライベートでもいろいろなお話をさせていただきましたが、全てを削ぎ落として役者にコミットしている生き方や役者としての考え方はすさまじいものがあります。普通はいろいろな煩悩や欲があるものですが、それらは役者にとっては必要ないと言って突き進む姿は彼にしかできないと感じました。そうした彼の精神性は芝居にも出ているので、だからこそたくさんの人に愛されるんだなと納得です。

1年を振り返り、考えることができる作品

──本作のもとになった『クリスマス・キャロル』がこれほど長く愛されているのはどんな魅力があるからだと思いますか?

新木 寓話や童話など、誰にでも当てはまるシンプルな物語はどれだけ年数が経っても色褪せません。そして、ずっと愛され続ける作品は、人間の本質に触れる物語なのだと思います。頭では理解していてもついつい取ってしまう行動をピックアップして作られているからこそ共感できます。例えば今の時代は、名前や顔など、自分の正体を隠して言葉を発する場所がたくさんあることで、態度が大きくなったり、人を傷つけることを平気で文字化できてしまうのも問題になっていますが、スクルージはそうした問題にも重なるテーマをはらんでいます。改めて自分の生き方を見直し、亡くなるときに悲しんでくれる人がいることに幸せを感じていただけたら、この作品を今、上演する意味があるのかなと思います。

河相 年末に上演されるので、出演している僕たちもお客さまも、1年を振り返りながら、「今年はこうだったな」といろいろと思いを馳せたり、考えることができる作品になるのだと思います。何歳になってもこの時期は、心を洗い、目を洗い流して、次の年を迎えたいという思いがあると思うので、だからこそ愛されているのかなと思います。

──では、そうした本作のどんなところに注目して観てもらいたいですか?

新木 今回は朗読劇で上演されますが、原作の『クリスマス・キャロル』の可能性を見せられたらと思います。「これもありなんだ」「演劇でも観てみたい。音楽劇でも観たい。コンサートでも観たい」というように、どこをピックアップしても、どんな見せ方でも面白そうだと思えるものにしたいです。朗読劇はセリフ、言葉で伝える割合が高いものだからこそ、物語が耳に入りやすく、頭に残りやすいので、お客さんの想像力がより膨らみやすくなるような表現になればと考えています。

河相 今回、キャスト全員が何役も演じ分けますので、僕たちがどう絡むのか楽しんでいただければと思います。正直なところ、まだ僕たちにもどんな作品になるのか想像できないところがあります。とにかく劇場に来ていただき、楽しんでいただければと思っています。

──最後に、2025年末に行われる本作ですが、2026年に向けての想いや目標を聞かせてください!

新木 やりたいことを見つけたいです。最近はありがたいことに満たされ過ぎていて、やりたいことは全部やり切ったのではないかと思うんです。お仕事は、たくさんのお話をいただいて、ありがたいことに途切れることなくできています。ただ、表現者として自分はこういうことをやりたい、こういうふうに取り組んでいきたいというものがなくなっている。もう一度見つけたいと思っています。

河相 人生50年だと思って生きているんだもんね。

新木 そうなんです。このままでは、50歳で人生を終える流れで、次世代に何を残すかばかり考えていて、僕自身について見つかってないものがあるのかもしれない。なので、それを見出したいです。

河相 僕も40年、俳優をやってきてやり尽くした感は確かにありますが、でも、時代も変わって新しいものと出会えたり、自分より下の世代の人たちと共演するのも楽しいので、そうしたお話をいただいたら積極的に挑戦していきたいと思っています。それから、このままだと同じものが続いていくのではないかという思いもあるので、例えば体作りや語学など、これまで持っていなかったスキルを磨いていきたいと考えています。

(このインタビューは「えんぶ12月号」より転載)

プロフィール

あらきひろふみ○兵庫県出身。2004年12月、若手男性俳優集団・D-BOYSに加入。翌年よりミュージカル『テニスの王子様』で2代目・乾貞治役を務め、注目を集める。07年にテレビ朝日系ドラマ『獣拳戦隊ゲキレンジャー』で理央役を演じ、幅広いファンを獲得。以来、映像や舞台で活躍中。23年6月、荒木宏文から現名称に改名した。

かわいがもん○埼玉県出身。91年のTVドラマ『天までとどけ』の次男役でレギュラー出演して注目を集め、『時をかける少女』(94)『未成年』(95)などのTVドラマに多数出演。近年の主な舞台出演作は、三越劇場『ホロー荘の殺人』、ミュージカル『ALICE THE MUSICAL』、明治座創業150周年記念公演『赤ひげ』など。 

構成◇宮田華子 文◇嶋田真己 撮影◇松山仁

公演情報

Reading Act『スクルージと呼ばれた男』

翻訳・上演台本・演出◇下平慶祐
出演◇新木宏典 林光哲 前川優希 三井淳平/三本木大輔/河相我聞

12/27〜30◎博品館劇場

〈チケット問い合わせ〉stage.contact55@gmail.com
https://xmascarol-scrooge.com