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ウォーリー木下作・演出の舞台『1995117546』東京公演開幕! 

「阪神・淡路大震災」を描くウォーリー木下が企画・作・演出を手掛ける舞台『1995117546』の東京公演が12月18日に東京芸術劇場シアターウエストにて幕が開いた。27日まで上演される。
 
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて12月13日に初日の幕を開けた本作は、大学時代に「阪神・淡路大震災」に被災したウォーリー自身が九死に一生を得た体験をもとに、自然災害と直面した時の恐怖と、生き抜くことになった出来事を描く物語。あの時から30年を経た今だからこそ、沢山の人に観てもらいたい舞台となっている。 

紙、紙、紙・・・・・・クラフト紙、具象と抽象のモノたちで埋め尽くされた舞台。
1995年1月17日5時46分を時の境として、フィクションとノンフィクションの狭間で行き交う7名の出演者たち。大震災という誰も抗うことが出来ない作品がテーマであるだけに、重くないと言えば嘘になる。しかし、明と暗が恐れることなく積み重ねられ、そこに弦楽器を中心とした音楽が、時に切なく、時に優しく、時に哀しく寄り添い、「生きててよかった・・・」そのありきたりの言葉で胸が熱くなる。

《STORY》
1995年2月29日。   
神戸のJR六甲道と住吉の間にある住宅街。
雪が降る中、瓦礫の上でふたりの青年――りきゅうとあまりが何かを探している。
少し離れたところには車椅子の男。その足元にはワープロで印刷された紙が積まれている。彼はそこに書かれた文章を読んでいる。自分で書いたはずなのに、書いたことを思い出せない。
そこへもうひとり、車椅子の男と同じ劇団の仲間である高村もやってきた。
車椅子の男は語る。あの時、突き上げられるような衝撃があって、気づいたら暗闇の中にいた、と。

時は遡って1月17日。
瓦礫の中に横たわるK。彼の上には巨大な天井が乗っかっている。助けを求めて叫ぶが、その声は静寂に飲み込まれていく。どれだけ時間がたっただろうか。猫の鳴き声が聞こえた。飼い猫のポワロだ。ポワロは「きっとあなたを助ける」という言葉を残し、姿を消す。

少しあとの時間。
りきゅうとあまりは半壊した商店で水を探していたところ、店主にとがめられ、もみあいになる。興奮した店主・矢崎に話を聞くと、娘・すみれが死んでいる、と泣きそうな顔で訴える。だがよく見るとまだすみれには息がある。ふたりはすみれを病院へ連れていくことにするが、矢崎は行方不明の妻・はなを探しに行ってしまう。
あまりとりきゅうは残されたすみれを助けるために行動するが、実は彼らにも助けなくてはいけない別の友人がいてー。

再びKのもとに戻ってきたポワロ。
彼女は「地震の原因は、地底の悪いものを押さえこんでいる“要石”が外れてしまったためだ。その石がないと次から次へと悪いものがこの世界に出てきてしまう。要石を探しにいかないともっと大変なことが起こる」と話す。ポワロは、暗闇の中ひとりスコップで地面を掘っているもぐらに協力を頼み──。

開幕コメント】
ウォーリー木下:企画・作・演出 
兵庫で初日を迎えることが出来、お客様にお楽しみいただけて本当にホッとしています。地元を舞台に、みなさまがよくご存じの場所や固有名詞が登場するようなローカルな物語を描けたことも喜びの一つです。ご観劇いただいた方から、現実と非現実が入り混じり、人によっては「時間」や「空想」、地震の記憶や大切な人への思いを描いた話にもなる、との声をいただきました。東京公演も見た人それぞれの感想が聞けるような豊かな舞台にすべく挑みます。

須賀健太
初日が無事に終わり、開演ギリギリまで調整を重ねながら一本筋の通った作品をお客様に届けできたことが、何より嬉しいです。東京公演も、一公演ずつ丁寧に向き合い、地震というテーマと演劇の面白さを感じていただけるよう頑張ります。

中川大輔
兵庫で初日を迎え、実際にお客様にご来場いただき、そこには実際に震災を経験された方がいらっしゃるのかもしれないと思うと身が引き締まる思いでした。最後は希望を持って終わる作品です。「幸せな気持ちになった」と、劇場を後にしていただける舞台をお届けしたいです。

斎藤瑠希
初日は緊張で手が震えていました。でもその緊張がいいスパイスになり、新鮮に動くことができました。震災の重さだけでなく、人の力強さや温かさもお届けたいです。作品のテーマもありますが、構えることなく、多くの方に東京公演もご覧いただけたら嬉しいです。

前田隆成
兵庫で初日を迎えることができて、本当に良かったです。今もなお、不思議な気持ちでいっぱいなのですが、舞台は多くの方々の力で成り立つことを改めて感じました。素敵な座組に関われていることは、何より幸せです。東京でも変わらず頑張ります。

田中尚輝
開演前、袖で出演者全員が円陣を組み、絆を感じた初日でした。まるでウォーリーさんの頭の中にある“あの日”を一瞬で駆け抜けているような感覚。兵庫から東京へ、震災の記憶を演劇でつなぎ、心に何かが残り続ける作品をお届けしたいです。

小林 唯
初めてのストレートプレイで不安もありましたが、初日を終え、カーテンコールでのお客様の拍手に自然と涙が流れました。創作に立ち会えた喜びを胸に、東京公演ではさらにブラッシュアップし、今までお見せしたことのない小林をお届けします。

【公演情報】
舞台『1995117546』
企画・作・演出:ウォーリー木下
音楽:三國茉莉
出演:須賀健太、中川大輔、斎藤瑠希、前田隆成、田中尚輝、小林 唯
大倉杏菜(SWING)
●12/13・14◎兵庫公演 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (※公演終了)
●12/18・27◎東京公演 東京芸術劇場 シアターウエスト
〈公式サイト〉https://www.1995117546.com/
〈公式X〉@1995_117546