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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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寺島しのぶインタビュー

やると決めたものを残るものにしていきたい

藤山直美と寺島しのぶという、天性の役者ふたりが久々に共演を果たす舞台、『お光とお紺〜伊勢音頭 恋の絵双紙〜』が、2月に新橋演舞場で上演される。この作品は脚本家・演出家の小幡欣治が1987年に『油屋おこん』として舞台化し、森光子と草笛光子により初演。1998年には宮本信子と星由里子の顔合わせで上演されて好評を博した。今回の公演では、明るい働き者で芯の強い遊女となっていくお紺に藤山直美、美しく誇り高い遊女のお光には寺島しのぶが扮する。そんな本作について、そしてリスペクトしている藤山直美について寺島しのぶが語る。

お客さまは直美さんの喜劇を楽しみに

──今回の作品ですが、1987年初演の『油屋おこん』を、かなりアレンジしての上演となるそうですね。 

 大きく違うのは今回は喜劇になるということで、新橋演舞場の2月公演はお客さんが直美さんの喜劇を楽しみに来てくださるそうなので、明るく笑っていただける作品になるのでしょうかね。

──物語としては、貧しい村で育った幼なじみのふたりが一緒に遊郭に売られて、そこでいろいろな出来事に出会います。寺島さんは美人の遊女お光の役です。

 最初はお光のほうが売れていたのですが、芸が達者で気働きがある直美さんのお紺のほうが人気になってしまう。そのせいでちょっと仲違いしてしまうのですが、最終的にはふたりの友情物語になっていくと思います。 

──そんな作品の見どころは、やはり直美さんとしのぶさんの共演ですが、かなり久しぶりだそうですね。

 最初は新橋演舞場の『浅草パラダイス』(1997年、2000年)シリーズで、そのあとドラマの『最強のオンナ』(2014年・MBS)でもご一緒しました。そのたびに「ああ、やっぱり直美さんすごいな。またご一緒したいな」と思っていたのですが、気がつけばもう12年も経ってしまいました。でもまた新橋演舞場でこうしてご一緒できるのは本当に嬉しいです。

──共演して感じた藤山直美さんのすごさはどんなところでしょうか。

 全身が、毛穴の1つ1つまで役者の様な方なんです。芝居の勘とか間とかの絶妙さ、そして、泣かせるところも笑わせるところも、お客さんはわかっていても、泣かされてしまうし笑わされてしまう。そういう直美さんを、共演者の柄本明さんや哲明さん(十八世中村勘三郎)が袖から食い入るように見ていて、そんな空気を肌で感じてすごいなあと思っていました。それに直美さんはソフトボールをやっていらして、運動神経が抜群なので、それがお芝居でのフットワークの軽妙さになっているようにも思えて。

──おふたりとも役者の血筋に生まれたわけですが、そういうお話などは?

 とくにそういう話をしたことはないのですが、非常にお芝居がやりやすかったという印象があります。それは直美さんが匠の技で私を巻き込んでくださったのかもしれませんし、お互いに間合いが似ていたのかもしれませんが、とても心地がよかったという印象があります。

──それぞれ、つねに舞台やお芝居がそばにある環境ですから、自然に体に入った部分もあるのでしょうね。

 それはあると思います。それに直美さんはとにかく歌舞伎がお好きでしょっちゅうご覧になっているんです。それプラスお父様(藤山寛美)の喜劇の才能が流れているわけですから、どこを切っても役者の血しか出てこない人。

──それは寺島さんも同じだと思います。しかも誕生日まで一緒だそうですね。

 そうなんです! 毎年、前夜の23時58分頃から待機して、日付が変わると同時に「お誕生日おめでとう」とメールを送り合う仲なんです(笑)。

 

歌舞伎を観てくださるきっかけになれば

──寺島さんはこの取材時は歌舞伎座で、『芝浜革財布』に出演中ですが、歌舞伎座と他の劇場とでは違う感覚はありますか?

 大きさですね。空間が大きいというか。毎日自分の声がすみずみまでお客さんにちゃんと届いているか、そこをいつも意識しています。あとは、「音羽屋」という声がかかると嬉しいです(笑)。その声でちょっと緊張するときもあれば、逆にラクになるときもあって、不思議ですね。

──この『芝浜』には梶原善さんも出演されていたり、主役の中村獅童さんは歌舞伎だけでなく映像出演も多い方ですから、かなりリアルなお芝居になっているようですが、歌舞伎の様式などは意識していますか?

 そこをいつも皆さんで相談して、歌舞伎の方たちは私たちに少し寄せて、私たちは少し歌舞伎寄りにして、その狭間でやりましょうという話をしています。そういう意味では獅童さんや(市川)猿弥さんや(市川)中車さんは映像もやっていらっしゃる方たちなので、十分理解してやってくださってますし、善さんも私も歌舞伎座に出ているからには、多少は七五調というか音の鳴っているところで台詞を言ってみたり、そういう挑戦もしていかないといけないと思っています。その融合がうまくいくと新しい『芝浜』になるのではないかと思いながらやっています。

──歌舞伎を演じることで、ご自分の演技の幅を広げるということなどは?

 それはとくに意識していないです。歌舞伎座に出演するのもお話をいただいたからで、出していただくのだったら、必死で全力でやりとげようと思っているだけなので。もうなんでもかんでも挑戦するという年齢ではありませんし、やると決めたものを確実に残るものにしていきたいという思いだけですね。

──歌舞伎座への出演は『文七元結物語』(2023年)についで二度目ですが、歌舞伎座で女性が演じることへのプレッシャーのようなものは?

 それはとくにないのですが、とはいえ歌舞伎役者の中で女性が1人いるということは、線も細いだろうし、声も高いだろうし、いろいろな面でお客さんが違和感を感じるところもあるだろうなとは思います。ただ逆にこれを観て、「なんか違う。じゃあ歌舞伎俳優だけの『芝浜』を観てみようかな」と思ってくださったら、それはそれで嬉しいので。あくまでも『芝浜』という作品へのリスペクトでやっているので、私たちがやることでわかりやすくなったり、お客さんが歌舞伎を観てくださるきっかけになればそれが一番良いんです。

──今、映画の『国宝』効果で若いお客さんが増えています。

 映画のおかげで歌舞伎がブームになって、観てみたいと思ってくださる方が増えているのは嬉しいですし、もっともっと繁栄してもらいたいです。やっぱり歌舞伎って面白いですから。

──その意味では、『お光とお紺』も歌舞伎の『伊勢音頭恋寝刃』と関係のあるお話ですね。

 そうなんです。ですからこの作品から歌舞伎に入ってもいいと思いますし、逆に歌舞伎好きの方にも観ていただきたいです。そして私は新橋演舞場は23年ぶりとなります。そこで大好きな直美さんと久しぶりに共演できるのは本当に楽しみですし、ぜひそんなふたりを観にいらしていただければ嬉しいです。

(このインタビューは「えんぶ2月号」より転載)

インタビュー◇宮田華子 撮影◇松山仁

プロフィール

てらじましのぶ○京都生まれ・東京都出身。父は歌舞伎俳優の七代目尾上菊五郎、母は女優の富司純子、弟は八代目尾上菊五郎、長男は初代尾上眞秀。1992年、大学在学中に文学座に入団、96年に退団。以降、舞台や映像で活躍中。2010年のベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)をはじめ数々の映画賞を受賞。2025年は映画「国宝」、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』などに出演。

公演情報

舞台『お光とお紺〜伊勢音頭 恋の絵双紙〜』

作◇小幡欣治
演出◇浅香哲哉
出演◇藤山直美 寺島しのぶ 他

2/5〜24◎新橋演舞場 

〈問い合わせ〉
チケットホン松竹(10:00-17:00) 0570-000-489
チケットWeb松竹(24時間受付)

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