情報☆キックコンテンツ一覧
お得なチケット販売中!
情報☆キック
株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
公演情報、宝塚レビュー、人気作優のコラム・エッセイ、インタビューなど、楽しくコアな情報記事が満載!
ミュージカルなどの大きな公演から小劇場の旬の公演までジャンルにとらわれない内容で、随時更新中です。

(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
公演チケットで広告掲載

ノーベル文学賞作家2人の作品をダブルビルで上演。『誰かひとり / 回復する人間』開幕!

古河耕史 豊田エリー 鈴木勝大 山本涼介 智順 平野良 

「ノーベル文学賞」を受賞した2人の作家の作品を、ストレートプレイのダブルビルで送る、Litera Theater vol.1『誰かひとり / 回復する人間』が、中野のザ・ポケットにて3月5日に開幕した。(3月29日まで上演。)

本作は日本初演となるノルウェーの作家ヨン・フォッセによる最新戯曲『誰かひとり』と、韓国の作家ハン・ガンの短編を初戯曲化する『回復する人間』を、ストレートプレイのダブルビル(二本立て)で届ける。

フォッセの澄んだ詩のような表現の中にある、言葉や形では言い表せない”間や空気”としての人の関係性の圧縮されたエネルギーと、ハン・ガンの描く身体的・社会的な葛藤や重みを重ねを、西本由香の演出とムーブメント・ディレクター藤井颯太郎による身体表現を駆使することで内面に迫り、見えない傷と孤独、痛みに寄り添う回復の物語を立ち上げる。出演は、山本涼介、鈴木勝大、豊田エリー、智順、平野良、古河耕史といった実力派たちが2作品を演じる。

《あらすじ》

『誰かひとり』

ある日、偶然に再会したと思われる二人の若い画家。彼らの前に、年長の女性が現れ、まるで息子に対するように懐かしい言葉や思い出について語りかける。しかし、若者はまるで彼女の存在に気づかないかのように沈黙し続ける。
後を追うように登場する年長の男性。年長の男女は「なぜ息子が自分たちを拒絶するのか」と戸惑い、必死に関係を取り戻そうとするが、若者は彼らの存在を無視し「一人でいること」に固執する。そして互いの存在に疑心暗鬼になり虚しさを吐露し始めた彼らは、やがてそれぞれの選択をすることになるのだが・・・

『回復する人間』

土曜の午後、左足首を怪我した“あなた”は、くたびれた白衣の医師に診察を受けている。
傷の治療とともに曖昧になっていく記憶の中、かつて冗談好きでほんの少し悪戯っぽかった自分の過去を思い出す。
そしてその記憶にはいつも“姉”がいた。怪我のきっかけとなったのは、その姉。長身で美しく、他人から羨望されていた姉が、実は自分よりも深い劣等感を抱えていたことを、“あなた”は思い出す。姉との微妙な距離感、二人はどこで何を間違えてしまったのか。そしてまだ足首の傷が癒えないある日、“あなた”は痛みを堪えて全速力で自転車のペダルを漕ぎ始めるのだが…。

《全体の見どころ、観劇の手引き》
この二つの物語は「何者でもない自分」と出会うための痛みだ。

『誰かひとり』

若い男、年長の女性、年長の男性。
それぞれが2人ずつのペアとなって登場する。
ペア同士は他人のようでもう一人の自分のようにも見える。もしくは自分と似ている他人のようでもある。
3人の男女は互いに親子のようだが、会話は噛み合わず、相手から思うような反応も得られない。
彼らは他人に、そして自分に、もしくは世界に何を求めているのか?
間と余白の中から孤独の在処を見つけてみていただきたい。

『回復する人間』


「あなた」とあなたの記憶の中にある「姉」。あなたと姉との関係を巡る痛みからの回復の物語。
男たちは「あなた」の記憶の断片であり、心の声でもある。『誰かひとり』とは打って変わって肉体に集約されるリズムと動きが見るものの気持ちをざわつかせる。
繰り返される悪夢のように同じ場面がループする度に、「あなた」の中にある痛みの正体が炙り出させる。
彼女は願う。どんな傷からも私を回復させないで欲しいと。

【開幕コメント】

山本涼介
まずは無事に初日を迎えられたことを嬉しく思います。劇場に入り、照明やセットも加わり、よりこの作品の世界観が鮮明になりました。なかなか自分の中で手応えを感じることのできない難しい作品ですが、稽古で何度も通すことによって見えてきた部分も多々あります。
30公演あるので本番期間でも色々と自分自身の変化も楽しみつつ、最後まで走り抜けたいなと思います。

鈴木勝大
『誰かひとり』『回復する人間』、二作品同時に初日を迎えることができました。
稽古期間は、まったく質感の異なる二つの世界を行き来する時間でした。『誰かひとり』では、他者との距離や孤独の輪郭を探り続け、『回復する人間』では、傷や時間と向き合う静かな格闘がありました。
稽古期間を通して感じていたのは、この作品が「回復」という言葉を、決して前向きな標語としてではなく、とても具体的で、痛みを伴う過程として描いているということです。うまく立ち上がれない時間や、誰にも見せたくない弱さに触れるたび、自分自身の内側も静かに揺さぶられました。
この作品が、観てくださる方それぞれの記憶や時間とどこかで接続することを願いながら、千穐楽まで丁寧に積み重ねていきます。

智順
約1ヶ月、稽古をしてまいりました。
やはり、解読、解釈、そして、みなさんと共通意識を持つことがとても難しい作品ではありました。
私が今まで経験してきた演劇の現場とは少し異なる部分もたくさんありました。しかし稽古が進み、みなさんの声で台詞を聞くにつれ、段々と輪郭が見えてきました。
まさに「個」が集結した感じがします。
この2つの作品はまさに個の内側に目を向けた作品だと思います。
普段生活をしていて、ふと感じる少しの違和感だったり、少しの嫌悪だったり、少しの哀愁だったり、、、、
そして孤独だったり、、、、とても繊細な部分に触れる感じ。
この両作品が観てくださる方々にどのように伝わり、どのように受けとっていただけるのかすごく気になります。できることなら私も客席から観たいですw
それぞれの観方、感じ方、捉え方、自由に観ていただければと思います。

平野良
本日より『誰かひとり/回復する人間』開幕です。最初台本を読んだときは正直どこまで作品を理解できているかわからないほど、難しい作品だなと感じました。
普段読書は好きで色んなジャンルの小説は読むのですが、「この作品はこういう作品だ」と断じてしまうには時期尚早だと警告音が自分の中で鳴り響きました。今となっては正しい直感でした。
稽古が始まってから二週間くらい演出の西本さんを筆頭に、テーブル稽古で事細かに作品の方向性、世界、色、匂い、見える景色などをディスカッションしました。きっとその時間がじわじわと浸透し、作品の芽が出たのだと思います。個性がそれぞれ違ったキャスト六人で、生きた鼓動を感じるお芝居になっていると思いますので、是非ご観劇ください。

古河耕史
全然簡単じゃなかったし本番だって毎回全然簡単じゃない。てことだけはお伝えしたい。
ノーベル賞作家を二人も同時に相手にして、何が書かれているのか読み解くにも、それが伝わる舞台表現を見つけるにも、議論と実験と失敗の繰り返しだった。稽古場は何度も重い空気になったし、意見を伝える「言葉」を探すのさえ億劫になった。だから今、ようやくここまで、無事に辿り着いたかという、天に感謝するような気持ちです。ご覧になれば、何もたいしたことはない至極当たり前、むしろ整然として見えるかもしれません。けど此処へ至るには、皆さん孤毒に身を浸し、
“ちょっとヒドい振舞い”を普段から実践するしかなかったのでは?あぁ「言葉」では伝えきれない。劇場で待ってます。

豊田エリー
舞台『誰かひとり/回復する人間』が初日を迎えました!
お稽古の約1ヶ月間、作品について丁寧にディスカッションを重ねる時間は、まるで哲学の授業を受けているようでもあり、あらためて人の感情や、自分という存在について考える、とても豊かなものでした。劇場へお越しいただくみなさまも、言葉と物語に身を委ねながら、そんな思考の旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。
まったく違うようで、どこか共通する質感や手触りをもつ二作品。続けてご覧いただくことでより理解が深まったり、余韻が重なるような瞬間があると思っています。どうぞ短編小説のページをめくるような軽やかな気持ちで、劇場の扉を開けてくださいね。
中野 ザ・ポケットで、心よりお待ちしております。

【公演情報】 
Litera Theater vol.1『誰かひとり/ 回復する人間』
『誰かひとり』
演出:西本由香(文学座)
脚本:ヨン・フォッセ  
翻訳:アンネ・ランデ・ペータス
上演台本:アンネ・ランデ・ペータス、山崎元晴
出演:山本涼介、鈴木勝大、豊田エリー、智順、平野良、古河耕史
『回復する人間』
演出:西本由香(文学座) 
原作:ハン・ガン
翻訳:宋元燮
脚本:オノマリコ
出演:山本涼介 鈴木勝大 豊田エリー 智順 平野良 古河耕史
●3/5~29◎ザ・ポケット(東京・中野)
〈公式サイト〉https://consept-s.com/reborn/litera1/
〈公式X〉@consept2017
 
   

【撮影:岩田えり (C)conSept All Rights Reserved.】