ドナルカ・パッカーンは、資本主義/新自由主義リアリズム演劇によってこの世界を再現しようと試みるピーチャム・カンパニーの川口典成が立ち上げた演劇実験場。昨年12月には、『頭痛肩こり樋口一葉』を、新宿歌舞伎町能舞台 (Smappa!Group)にて上演した。また、日本における演劇と戦争の蜜月にあった「歓び」を探求。今回は森本薫の名作『女の一生』を、「戦時下の初稿版完全上演」という形で、4月8日〜12日に座・高円寺1で上演する。

生まれてすぐに母を失い、戦争で父を亡くした一人の少女――布引けい。
時代の波に乗って一時代を築く貿易商の一家へと流れ着いた彼女は、持ち前の明るさと好奇心の強さで、変わり行く時代のなかを育ち、みごとに生きて行く。「誰が選んでくれたのでもない、⾃分で選んで歩きだした道ですもの。間違いと知ったら⾃分で間違いでないようにしなくちゃ」。この名ぜりふに込められたニッポンの精神は、いったい何を焚きつけ、そして何を忘却させてきたのだろうか────。
戦時下の国策プロパガンダ組織である日本文学報国会による委嘱作品として、1945年4月に空襲のさなかに上演された森本薫の『女の一生』。その初稿版の上演を通して、現在のニッポンの姿をあぶり出す。
主人公・布引けいを演じる原田理央(柿喰う客)からのメッセージ

誰でも皆、紆余曲折、その人の人生を懸命に生きている。その中で、それぞれの「生き甲斐」を見つけていく。私にとっては、それが演劇です。
誰かにとってはビジネスかもしれない。趣味のスポーツや音楽フェスかもしれないし、SNS発信かもしれない。推し活かもしれない。
けれど、ある時、ある人にとってはそれが「戦争」だったのかもしれない。
「女の一生・初稿版」を役を通して生きてみると、戦争が人生の希望、「生き甲斐」に思える瞬間があるのです。
「戦争はいけない」これは私にとって当たり前の感覚。なのになぜ、また新たな戦争がはじまるのか。
長い間、解せなかったこの問いが、作品を通して実感として分かってくる気がしています。それは、とても恐ろしい感覚でもあります。
今生きる私たちが、いつ、どの瞬間、導かれるように「ある生き甲斐」に出会ってしまうのか。もしそれが、戦争だったなら。
これは遠い昔の話ではなく、今を生きる私たちにいつ起こるかもしれない、自分事の物語。そう響かせたいと願って稽古しています。「演劇」でできることがあると信じて。
ぜひ劇場で、一緒に体験してください。

公演情報

ドナルカ・パッカーン『女の一生』
作◇森本薫
演出◇川口典成
音楽◇河崎純
出演◇原田理央 浜名実貴 愛理 柳本璃音 廣井若葉 他
演奏◇河崎純(コントラバス) 松本ちはや(パーカッション)
4/8〜12◎座・高円寺1





