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宝塚歌劇花組『蒼月抄』『EL DESEO』永久輝せあ 星空美咲 囲み取材レポート

宝塚歌劇花組公演グランド・ラメント『蒼月抄(そうげつしょう)』-平家終焉の契り-、スパイシー・ショー『EL DESEO(エル・デセーオ)』が日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ(5月31日まで)。
グランド・ラメント『蒼月抄』-平家終焉の契り-は、平安時代末期、平家に非ずんば人に非ずとまでと称されるほどの、栄華を誇った平家一門が、大黒柱である平清盛を失ったのち、信じ難い速さで威光を失っていくなか、一門の誇りを守ろうと最後まで戦った平知盛(たいらのとももり)を中心に、その妻明子、弟・重衡(しげひら)、従兄弟・教経(のりつね)らの生き様を、欠けゆく月を象徴に描いた演出家・熊倉飛鳥の宝塚大劇場デビュー作。日本物の経験豊富なトップスター永久輝せあ率いる花組の新たな魅力があふれる一作となっている。
一転、スパイシー・ショー『EL DESEO』燃える太陽の下、愛や名誉を求め、生きてゆく力ともなる「欲望(EL DESEO)」をテーマにしたパッションあふれる作・演出の指田珠子渾身のラテンショーで、花組のエネルギーが舞台に横溢する一気呵成のショーが展開されていく。

そんな作品の初日を前にした4月17日通し舞台稽古を終えた花組トップスター永久輝せあ、トップ娘役星空美咲による囲み会見が行われ、記者の質問に応えて公演への抱負を語った。

囲み取材

永久輝 今日は通し舞台稽古にお越しくださいまして、本当にありがとうございます。明日の初日から、1公演1公演大切にお届けして参りますので、どうぞよろしくお願い致します。

星空 本日は舞台稽古を最後までご観劇くださいましてありがとうございました。明日より1回1回精一杯務めて参りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

──振り幅が大きい二作品に、どのように向き合っていらっしゃいますか?

永久輝 私は(宝塚)大劇場公演を1カ月半やっていくなかで、全然違う世界をお芝居とショーとで表現してはいるのですが、最後にたどり着く所はお芝居もショーも同じようなところだな、という実感を持っていまはやっております。自分のなかで色々なものと戦い、自分と向き合ったときにたどり着く場所みたいなものは、お芝居、ショー共に通じるものがあるので、そんなところを感じていただけたらと思って取り組んでいます。

星空 私は大劇場公演中にお芝居の役どころとしては、じっと堪えていたり待つような場面が多かったので、それをショーになって発散すると勝手に思っていたのですが、やはり公演を重ね、東京公演に向けいま一度考え直してみたときに、待っていながらも求めるもの、どんなにつらくても湧き上がってくる思いみたいなものがは人間だったらあると感じました。(永久輝さんと)同じになってしまうのですが、お芝居もショーも似ているなと思いました(二人顔を見合わせて朗らかに笑う)。

──ドラマのようなデュエットダンスをはじめ、熱いショーの見どころは?

永久輝 デュエットダンスの振り付けのSHUN(大村俊介)先生からは、デュエットの前のフィナーレの場面では“欲望”が最高潮にいっていて、それを経たからこその、その後のデュエットはふっと凪のような場面だと言っていただいています。自分の湧き上がる欲望を出し切ったときに、ようやくたどり着く、幸せで穏やかな心というようなものをいまは意識しやっています。
またラテンショーは、ただただ熱いだけではなく、妖しさ、少し刺激的な要素があるのが、他のラテンショーと違うところだと思っています。スパイシー・ショーというタイトルが付いているので、芝居心でしたり場面の色を、より際立たせてお届けしたいと思っています。

星空 デュエットダンスは、前回のショーも魂が出会ったがテーマだったと思うんですが、今回は更に高い所に行かなければならない感じで、今までのデュエットダンスよりも緊張もします。ただ、演出が指田珠子先生で、この赤いお衣装ということもあって、個人的にはすごく(かつて、永久輝と共に演じた)『冬霞の巴里』の劇中デュエットダンスを思い出したりもします。(永久輝があぁ!と思い出し、そんな風に思っていたの?と言いたげに驚いた表情も見せて、二人で笑い合う)

──日本物のお芝居で所作など配慮した点はありますか?

永久輝 やはり和物の美しさというのは、100%(想いを)外に出さないところなのかなと思っていて。これだけの想いがあっても手を添えるだけですとか、触れない。そういうものに宿る美しさがあるのかなと思っておりますので、かなり内面は濃く掘り下げているのですが、それを開放的に出すのではなく、そこに想いがあるからこそ相反する、拮抗する部分がふっと香り立つ、こぼれ落ちるようなものが表現できたらと思ってお稽古して参りました。

星空 いまもやはり所作については、どんなに公演を重ねて湧き上がってくるものがあっても、第三者の目を持って所作の大切さを忘れずにやっています。(振り付けの)尾上菊之丞先生が、多くのものを教えてくださるなかで、目線の使い方について一番学ばせていただいたなと思っています。自分がどこを見ているか、何を見ているかのそうですし、下を見ているときに何を思っているのか、全部に意味がついてしまう。動きが制限されているからこそ、目の表現が大事になると教えていただいたので、もっともっと頑張りたいなと思っております。

──殺陣のシーンがとても多いですが、ハードですか?

永久輝 ハードではあるかなと思うのですが、既に色々なところでお話していますが、前作『悪魔城ドラキュラ』という作品の時には私一人で戦うことが本当に多くて、仲間がいなかったのですけれども、今回は平家という仲間がいて、共に戦う家族、親戚、血のつながっている仲間、一門が横にいてくれているので、あまりハードさは感じておりません(星空が拍手するので、場に温かい笑い)。何かを守るため、本当に心の中に強い思いがあって戦っているので、一生懸命向き合っているうちに、ハードさは特に感じず、夢中でやっている感じです。

──デュエットダンスの最後、永久輝さんが銀橋で囁いている言葉はご自分で考えられているのですか?

永久輝 振付のSHUN先生から大劇場初日前日の通し舞台稽古が終わった直後に、振付として足された会話です。内容は秘密なのですが、あまり声を出すというよりは口だけがふふっと動いているというくらいですが、一応振り付けでございます。スペイン語で会話していて、その言葉の意味が私は腑に落ちた。お芝居の最後の言葉となんとなく通じる、そんな意味合いですが、秘密です(笑)。

最後の「秘密です」のひと言に象徴されるように永久輝のコメントは一つひとつが示唆に富み、かつどこかウィットもあって、作品への理解や期待感を高める非常にクレバーな内容。また美咲はその永久輝の発言を共に聞いている時の真剣な表情と、永久輝が自分の方を向いた時、また一つひとつの言葉に反応してこぼれんばかりに微笑む顔の愛らしさのギャップがなんとも魅力的。舞台では互いが一表現者同士として真摯に向き合っている印象の強い二人だが、宝塚のトップコンビだけが持つ特別な絆も日に日に深めていることが伝わる、温かな会見だった。

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

公演データ

宝塚歌劇花組公演
グランド・ラメント
『蒼月抄(そうげつしょう)』
-平家終焉の契り-

作・演出◇熊倉飛鳥

スパイシー・ショー
『EL DESEO(エル・デセーオ)』

作・演出◇指田珠子
出演◇永久輝せあ、星空美咲 ほか花組

4/18~5/31◎東京宝塚劇場

〈公式サイト〉
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2026/sogetsusho/index.html