スタジオライフは男優が女性役も演じるという手法をとる演劇集団で、萩尾望都『トーマの心臓』の初舞台化をはじめ傑作小説やコミックを次々と舞台化、またシェイクスピア作品『夏の夜の夢』などの上演でも大きな反響を得て、本拠地ウエストエンドスタジオを拠点に傑作を生みだしている。

今回上演する作品は、チェコの国民的作家で日本では戯曲のみならず、エッセイ、小説など多大な作品で人気のカレル・チャペックによる傑作戯曲『マクロプロスの処方箋』で「スリリングでテンポの良い言葉の応酬、絡み合う疑念と思惑に恋心まで加わり、喜劇的要素をも孕みながら浮かび上がってくる深遠な物語世界」(チラシより)を多彩なゲストも参加しての公演となる。
【STORY】
1922年チェコ。
グレゴル家とプルス家は莫大な遺産相続を巡って90年以上裁判で争っていた。
ついに判決が下るその日、関係者が集う弁護士事務所に突如現れた高名なオペラ歌手エミリア・マルティ。
彼女は誰も知らないはずの遺言書の在り処をズバリと言い当て、居合わせた男たちを驚かせる。
なぜ知っているのかーーー。
謎めいたエミリアの佇まいと言葉の数々に、やがて男たちは翻弄されてゆく。
だが彼女の人生には、壮絶な秘密が隠されていた。
劇団の主宰者で今作の演出を担当する倉田淳と、主演の曽世海司のメッセージをご紹介!
曽世海司からのメッセージ

スタジオライフとして初めてチェコの戯曲に取り組みます。
軽快な会話劇でありながら、謎解きの要素や生命を見つめる鋭い眼差しがふんだんに盛り込まれていて、約100年前の作品なのに、なんて斬新な人間ドラマ!と感じています。
うちは男優劇団なので僕も女性役は沢山演じてきましたが、今回のエミリア・マルティという役は、まぁ一筋縄ではいかない人生と秘密を抱えていて楽しいですね。
人々はその謎めいた佇まいと言動に翻弄されてゆきますが、演じる僕はエミリアの歩んできた道筋に真摯に寄り添い、彼女の一番の理解者でありたいと思いながら稽古に臨んでいます。
今回の座組は、気の置けない劇団員達と深く物語に入り込めると共に、豪華な客演陣にもご参加いただいたことで実に刺激的な布陣となっています。作者カレル・チャペックが描いた喜劇的な要素=「人の可笑しみ」がアチコチに花咲きますので、是非たくさんの方にご覧いただきたいと思っております。
倉田淳(演出)からのメッセージ
作者のカレル・チャペックは1920年発表の『R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)』という戯曲で、この世に「ロボット」という言葉を生み出したことで知られています。
今回上演の『マクロプロスの処方箋』は『R.U.R』の2年後に発表された作品です。いずれも、というかカレル・チャペック作品はすべてが独創的な着眼点を物語の土台として、生きることの意味を問いかけていると思うのです。そのテーマは普遍であり、100年経った現在でも決して色褪せることはないと感じています。
今回、スタジオライフでは、謎めいたスター・オペラ歌手エミリアに曽世海司、莫大な遺産相続を争う紳士プルスに笠原浩夫、オペラ歌手を夢見ているけれど圧倒的なエミリアの存在に打ちのめされる娘クリティナに緒方和也、そのクリスティナに恋をしていながらエミリアの魅力に惑わされる若者ヤネクに大沼亮吉、そして4名のヴェテラン俳優の方々をお迎えします。遺産相続争いの相手グレゴルに坂本岳大さん、お喋りな事務弁護士でクリスティナの父親ヴィーテクに演劇集団円から岩崎正寛さん、エミリアに瓜二つだった女性が忘れられずに熱情的な想いをぶつけるハウク伯爵に今拓哉さん、そして弁護士で法学博士のコレナティーに文学座から清水明彦さんです。丁々発止でありながら軽妙、且つスリリングな会話を楽しんでいただきたく思っています。
スタジオライフの本拠地ウエストエンドスタジオはコンパクトな劇場です。俳優たちの繊細な息遣いや心を映す瞳の揺らぎまでを間近に感じ取っていただける空間です。手を伸ばせば触れられそうな距離感の中で世界観を共有していただけると確信しております。
捻りの効いたアイロニー、土壇場で現れる愚かともいえる真実の可笑しみ、軽やかに華やかに繰り広げられる舞台をお楽しみいただきたく思います。

公演情報

スタジオライフ『マクロプロスの処方箋』
原作◇カレル・チャペック
翻訳◇阿部賢一
演出◇倉田淳
出演◇曽世海司 笠原浩夫 坂本岳大 大沼亮吉 緒方和也 岩崎正寛 今拓哉 清水明彦
7/2〜12◎ウエストエンドスタジオ





