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世田谷シルクが大岡昇平の小説『野火』を一人芝居で上演

世田谷シルクにより7月8日〜12日にスタジオサンモールで上演される『野火』は、大岡昇平の同名の小説「野火」をもとに、堀川炎がテキストレンジした極限状態に置かれた一人の日本兵の内面を通して人間の崩壊を描いた一人芝居。

ここまで富山県利賀村、兵庫県豊岡市、大阪府大阪市など国内での上演を重ねながら、5つの海外フェスティバルにもオンデマンドで参加、作品の精度を高めてきた。複数の海外メディアの劇評では、作品に対しての評価はもとより、俳優永井秀樹の演技に対しての言及が目に付いた。

その一部を紹介すると、
「俳優・永井秀樹による、誠実かつ力強い一人芝居である」「永井はそれぞれの人物に現実味と多面性を与え、状況が追い詰められていく中で人間が描く根源的な感情を描き出している」
「永井秀樹の演技は圧巻であり、強い集中力と緊張感を保ち続けている」
などがあり、極限状態での倫理と生存の狭間で揺れ動く一人の兵士を演じた永井秀樹は作品のテーマを具現していて高い評価を得ている。

撮影:山口紘司

その作品を試行錯誤しながら挑戦し続けている演出の堀川炎からメッセージが届いた。

堀川炎からのメッセージ

24年当時、SCOTサマーシーズンで上演にあたり、いくつかの候補作の中から選んだのが、この大岡昇平作の「野火」でした。小説を読んだ初めの感想は、“なんて美しい言葉だろう”。孤独と飢餓に耐えながらも、野火を遠方に見つけては、恐ろしさと人恋しさの混じった感情が湧き上がる主人公に、戦火の状況以外の哲学的な視点を感じ、心を奪われました。現在も世界各地で戦争が続いている状況に強い憤りを覚えています。そして、それを決して他人事ではなく自分たちの問題として捉えたいと考え、この作品を選びました。

これまでオリジナル作品や古典を現代に置き換えるなどをしてきた私の作品としては、戦争文学に関わること自体が新しい試みであります。出演者を複数人にしたり、舞台の設定場所を変えたりと、演出のアイデアはいくつか思いつきましたが、ここをあえて真っ向からそのまま取り組もうということが、ビジュアルアートが得意な私にとっての新しい挑戦でした。

出演者は1人です。それは孤独にさまよい続ける主人公と、出演者の約90分に対する圧倒的な科白量と肉体への挑戦が、場所は違えど「極限」という意味で通じる部分があるからです。

ぜひこの機会に作品をご覧ください。劇場でお待ちしております。

あらすじ
舞台は、敗戦間近のフィリピン・レイテ島。肺病を患った一人の日本兵は、
わずかな芋を渡され、部隊を追い出される。野戦病院からも、食糧不足を理由に拒まれる。
飢えと孤独のなか、野火の煙が立ちのぼる原野をさまよい続ける彼は、やがて人としての境界を越えていく。

公演情報

世田谷シルク『野火』

原作◇大岡昇平
演出・テキストレジ◇堀川炎
出演◇永井秀樹(青年団)

7/8〜12◎サンモールスタジオ