5人の絆とエネルギーが弾ける『Blue Spark Show』開幕!


鍵本輝(Lead)、米原幸佑、和田泰右、川原一馬、若松渓太の5人が全力のパフォーマンスを繰り広げるSpecial Show Case『Blue Spark Show』が19日東京銀座の博品館劇場で開幕した(22日まで)。
『Blue Spark Show』は2023年夏に上演されたオフブロードウエィミュージカル『ALTAR BOYZ』で「Team Spark」として共演した5人が、絆を深め、同じメンバーで新たな舞台に立ちたい!という想いを結実させた新作ショー。彼らの最大の武器である歌、ダンスを中心に、新たに書き下ろされたオリジナルストーリーのACT、LIVE、ショーで構成されるノンストップ90分の舞台になっている。


5人がチームとなった『ALTAR BOYZ』で意気投合したことから出発している新作Show Case らしく『ALTAR BOYZ』のナンバーを含む怒涛のLIVEシーンからはじまる舞台は、「ある一人の人物に救われた若者5人の物語」であるACTシーンで、それぞれの出会いを表現し、更に多彩なミュージカルナンバーがぎっしりと詰め込まれたShowへと一気呵成に進んでいく。その全てに懐かしさもあれば、新鮮さもたっぷりで、観ていてとにかくワクワクする。


そこには『ALTAR BOYZ』や、和田が所属するパフォーマンス集団DIAMOND☆DOGSの舞台を観続けてきた人ならば、この公演を企画した栫ヒロから、現在プロデューサーのバトンを受け取っている和田へと繋がれたエンターテイメントを信じる心のリレーが感じ取れるだろうし、「Team Spark」のメンバーを“推している”人には、商業ベースで成り立つことが実はさほど多くはない、人と人との出会いが新たな輝きを生む奇跡が見えることだろう。もちろんそうした幾多のバックボーンとは無縁に、初めてこのショーに接した人にも、このメンバーのチームワークの良さ、弾けるステージの楽しさは十二分に伝わるはずで、DIAMOND☆DOGSの元メンバーで、現在はパフォーマーとしてはもちろんスタッフワークも精力的にこなしている小寺利光が総合演出、共に総合演出とACTシーンの脚本・演出・作詞を担う宗田梁市、そして彼らの舞台には欠かせない顔になっている音楽監督の宮﨑誠、総合振付の木野村温子といった鉄壁の布陣が生み出した、スピード感にあふれる90分間に心躍る。


特に感嘆させられたのが、非常に著名なミュージカルから選択されている各メンバーが歌うソロナンバーで、その楽曲と面々のマッチングの良さは驚くばかり。前奏が鳴っただけで「そうきたか!あーぴったり!」と歌い出す前に拍手したくなるほどの絶妙の選曲が興趣を掻き立てていく。また、楽曲が元々持っている美しさとパワーが桁外れで、それだけで涙腺があやしくなるデュエット曲を、このカップリングで歌いますか?泣けと言うことですよね?と、喜んでいるのか文句を言っているのかわからなくなったくらいの(いや、褒めているのだが)感情ど真ん中に直球ストレートが飛び込んでくる場面もあって、こちらの気持ちの振幅も忙しいことこの上ない。


その上で、不思議なほど舞台がずっと温かく、このたたみかける展開で通常あり得ないどこかほのぼのとした感触がずっと続いていくのも、5人の相性の良さの賜物なのだろう。


鍵本輝は結成22年を迎えているLeadの一員として、また俳優として、更にクリエーターとしても活躍を続ける逸材。今回も振付と共にシークレットのサプライズもあり、そこにはLeadを彷彿とさせる『Blue Spark Show』にとっては、新たな香りもふんだんにあるが、このメンバーのリーダーのようでいて、末っ子キャラでもあるような、目も覚める二枚目ぶりとは反比例するほんわかした魅力に惹きつけられる。それがこの5人のチームカラーを絶妙に作っている大きな要素のひとつで、「叶うことなら演じてみたい」という夢もあるというミュージカルのソロナンバーも新鮮に、繊細に聞かせてくれた。


とびっきりイキが良く、それこそSparkし続けている印象が強い米原幸佑も、もちろんきっちりと芝居なのだが、本人の持ち味が色濃く投影されているACT部分では関西弁も飛び出して、適度なヌケ感を放っているのがやはりこのチームらしさを増幅させている要素のひとつ。前述したように、前奏が鳴っただけで「選曲天才!」と思わせるミュージカル楽曲のソロナンバーも、本人にとってははじめてづくしのことだそうで、そこに『Blue Spark Show』でしか観られない見事なアレンジとダンスが加わることも、作品の大きな見どころになっている。


ストリートダンスからスタートして、DIAMOND☆DOGSでの多彩な活動、更にアーティストとしても精力的な活躍を続ける和田泰右は、そうした持ち前の武器はもちろんのこと、プロデューサーとして全体を俯瞰している視点の確かさが、今回の企画、そして舞台の根底を支えていることが随所に伝わってくる。そのなかにも、和田ならではの茶目っ気や、何より情に厚い部分も顔を出すのがどこか微笑ましくもあり、出会いと絆が結実しているこのステージのエンジンとしての役割を果たした。更にソロナンバーはもうとにかく観て楽しんでください、という和田らしさが爆発している。


ダンスや歌唱の確かさはもちろん、高い演技力を持つ川原一馬は、ACTシーンを牽引する存在。役柄というだけでなく本人の個性もかなり投影されている今回のような芝居部分の場合、観ている側がその妙味を感じられる一方で、ある種の楽屋オチ的な感覚が芽生えてしまう危険性をどうしても孕むが、それをひとつのエモーショナルなACTとして届け得たのには川原の力量が大きく貢献している。ミュージカル楽曲のソロナンバーも芝居に寄せた想いが深いし、一方得意のタップダンスも披露するなど、八面六臂の活躍が頼もしい。


ミュージカル歌唱に特段の魅力がある若松渓太は、チームのなかで年齢的には末っ子になるが、決してものおじせず、むしろ率先してメンバーの中心で躍動している姿がカンフル剤的な役割りを果たしている。ACT部分も含めて、時代を感じさせる設定を重くなり過ぎず、むしろフラットに演じているのも好印象で、ロングトーンを伸びやかに聞かせるソロ歌唱はやはり絶品。ミュージカルシーンでの活躍はもちろん、こうしたあらゆる要素が詰め込まれたステージでも魅力を最大限に発揮できる押し出しの良さも際立った。


何よりも、ひとつの出会いが次の出会いを生み、新しい舞台が紡がれ、そこから発せられるエネルギーが客席に届き、陽のパワーとしてまたつながっていく。そんな循環が感じられるステージで、誰とも話さなくてもスマホひとつでほとんどの物事が成し得る現代で、希薄になりがちな人と人との絆の大切さを感じさせてくれるShowから、LIVEでしか得られない同じ空間を共有する醍醐味を、是非博品館劇場で体感して欲しいし、この『Blue Spark Show』が息の長いシリーズとして、続いていくことを願っている。


【公演情報】
『Blue Spark Show』
~ALTAR BOYZ Team Sparkがダンス&ボーカル&アクトで織りなす煌めきの夢GALAXY!~
総合演出:小寺利光 宗田梁市
ACT脚本・演出:宗田梁市
音楽監督・作曲:宮﨑誠
作詞・作曲:宗田梁市
総合振付:木野村温子
振付:鍵本輝(Lead)
出演:
鍵本 輝(Lead) 米原幸佑 和田泰右 川原一馬 若松渓太
ミュージシャン:宮﨑誠(Conductor/Keyboard) 蛇石徹(Bass) 三輪達宏(Guitar) 井上順乃介(Drums)
●9/19〜22◎博品館劇場
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
〈公式サイト〉https://www.hakuhinkan.co.jp/theater/archives/event/pr_2024_09_19
※アフターイベントあり
https://www.hakuhinkan.co.jp/theater/archives/news/news_pr_02_2024_09_19


【取材・文・撮影/橘涼香】

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