「新たな時代劇をお見せできるのでは!」舞台『劇走江戸鴉』に出演! 武田玲奈 インタビュー

舞台『劇走江戸鴉(ゲキソウエドガラス)~チャリンコ傾奇組~(カブキグミ)』が、10月5日から新橋演舞場、11月2日から大阪松竹座で上演される。

本作は、横内謙介脚本・演出による時代劇で、2013年に『元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉』として大阪新歌舞伎座で初演された。江戸時代に派手に装飾が施された“デコチャリ”が登場し、若者たちが暴走族のように舞台上を縦横無尽に駆け巡るという大胆な発想で好評を博した舞台。今回は、作品の舞台を江戸に移し、公演名も変更するなどブラッシュアップして上演される。

同心の手先として街の浄化作戦の任に当たる布袋数右衛門を井上瑞稀、荒くれもの集団「江戸鴉」のリーダー・雁金弾七を橋本涼が、W主演する。数右衛門の姉でヒロインのお露を演じる武田玲奈に、作品への意気込みを聞いた。

原点にかえって、素直にまっすぐに!

──最初に本作への出演が決まったお気持ちから教えてください。

今回、初めて新橋演舞場と大阪松竹座の舞台に立ちます。とても光栄ですし、とても嬉しく思います。客席の一番後ろまでパワーを届けられるように頑張りたいと思っております。

──脚本・演出の横内謙介さんとは2回目のタッグだそうですね。

はい。『モダンボーイズ』(2021)の時に横内さんが脚本を担当されていました。ただ、そのときは、何回か稽古場にいらしただけであまりお話しはできませんでした。演出していただくのは今回が初めてなので、ワクワクしています。横内さんが演出された舞台を観に行ったことがあるのですが、とてもハートフルな舞台でした。くすっと笑えるようなポイントが所々に散りばめられていて、人間っぽい舞台というか、人に愛されるような舞台を作られる方だなと思いました。

──製作発表会見では、横内さんが「とても大きな存在感を持っている」と武田さんのことを絶賛していました。

とても光栄です。その期待を裏切らないように、期待を更に超えていけるように、頑張っていきたいなと思いました。すでに本読みのお稽古をしているのですが、横内さんからは「素直に、まっすぐに演じてほしい」と言われていて。私自身「素直に演じる」ことを最近やっていなかったので、課題だなと思っています。いろいろと複雑な考えを捨てて、原点にかえって、素直にまっすぐにやっていきたいです。

製作発表会見より

──主演の井上瑞稀さんと橋本涼さんについての印象を教えてください。

井上さんも橋本さんも年齢が近いのですが、やはりすごくエネルギッシュで、キラキラしていらっしゃいますよね。その若いエネルギーを分けてもらいつつ、一緒に頑張っていけたらなと思います。

──どういう場面でその「エネルギー」を感じましたか?

本読み稽古のときはお二人とも割と静かな印象だったんですが、製作発表などたくさんのカメラの前に立っている姿は生き生きとされていて! きっとこれからもっともっとパワーが出てくる場面を見られるのかなと、楽しみにしています。

江戸時代と“チャリンコ”の組み合わせが面白い

──武田さんが演じられる「お露」という役について教えてください。役の第一印象はいかがですか。

お露は強さを持っている女性で、私も結構強いほうだと自覚はしているので、その点は問題ないかなと思うのですが、やはり「素直に演じる」というところは課題だと思っています。でも、すごく愛せるキャラクターなので、大事に演じたいなとも思っています。

──衣裳は和服ですよね?

はい。和服での演技経験は、映像作品では何度かあるのですけど、舞台では初めてです。あまり和服の所作に慣れていないので、いろいろと先輩方に教えていただきたいです。

──映像作品での和服と、舞台作品での和服はまた違いそうですね。

映像作品でも走ったり歩いたり、いろいろ練習したのですが、編集やリテイクができますからね。舞台作品では全身を使わないといけないですし、生モノなので、より気をつけるべきポイントが多いと思います。横内さんに「慣れていないと草履が脱げてしまう」と言われていて、確かに舞台中に脱げたら恥ずかしいなと思うので、たくさん練習を重ねる必要がありそうです(笑)。

──今回は“チャリンコ”が出てきますが、武田さんも舞台上で乗るのでしょうか?

私が漕ぐことはないと聞いていますが、橋本さんの自転車の後ろに乗るとは聞いています。和装なので横乗りになるのかな。以前、映像作品で二人乗りをするシーンを撮影したことがあるのですが、私が漕ぎ手で、全然漕げなかったんですよね(笑)。橋本さんには頑張っていただきたいです。

──そのほか楽しみにされているシーンはありますか。

そもそも江戸時代と“チャリンコ”という新しい組み合わせが、まず面白いですよね。熱くてド派手な男たちの青春群像劇。熱いパワーのぶつかり合いが楽しみです。「江戸鴉」のメンバーは派手なお衣裳やメイクになると思うので、実際にどういう風になるのか楽しみですし、「空飛ぶ」演出もどうなるのかワクワクしています。

──ポスタービジュアルもとても素敵ですね。

ありがとうございます。でも実はその撮影のときは、まだ数右衛門の「妹」という設定だったんです。でも井上さんと私のキャスティングから「姉」の方がしっくりくるということで、撮影後に、横内さんが設定を変更したんです。撮影した内容から比較的「姉」っぽい一枚が選ばれました(笑)。

更に幅広い役が演じられる俳優に

──武田さんが感じる舞台の魅力は何ですか?

私は稽古が好きなんです。映像作品はワンシーン撮ったら、その場面は終わってしまうんですが、舞台だと1ヶ月近くそのシーンのことを考えられるじゃないですか。いろいろなことを試したり、可能性を見出したりできるのが好きなんですよね。自分の中でもある程度プランを考えつつも、稽古場で相手のお芝居を見て、自分も臨機応変に変えてみたり。稽古場で新しく生まれるもの、自分の考えを超えて生まれるものが必ずあるのが楽しいです。

──ひとつの舞台作品でどの瞬間が一番好きですか?

初日は気が張っているので、2日目ぐらいの本番ですね。少し肩の力が抜けているけれど、新鮮味もあって、感情が整っている感じがするので。

──現在27歳の武田さん。今後どういう俳優になりたいと思いますか?

年齢が上がっていくにつれて、いただく役の幅が広がってきている実感があります。性格も職業もいろいろ挑戦させてもらっているので、これからも更に幅広い役が演じられる俳優になりたいと思います。具体的には、これまでナースや研修医の役を演じた経験があるので、せっかくなら医者役を演じてみたいです! また、いろいろな地方や、できたら海外での撮影にも挑戦してみたいですね。その土地の文化や空気に触れながら演じることは豊かだなと思うので。

──本番は10~11月ですから、2024年も残すところわずかとなりますね。武田さんにとってどんな1年でしたか?

今年はご縁に恵まれた1年だったなと思います。横内さんのように、以前ご一緒した方と再びお仕事でご一緒する機会があるなど、いろいろなご縁に恵まれました。

──素敵ですね。では、最後に観劇を楽しみにされているみなさんへ一言お願いします。

新感覚の江戸青春群像劇ということで、みなさんに新たな時代劇をお見せできるのではないかと、私自身もワクワクしております。客席の一番後ろまでパワーを伝えられるように頑張って演じていきたいと思います。劇場でお待ちしています!

(プロフィール)
たけだれな○1997年、福島県生まれ。15年に映画「暗殺教室」で俳優デビュー。18年ドラマ「人狼ゲーム ロストエデン」、映画「人狼ゲーム インフェルノ」で初の単独主演を果たす。最近の主な出演作品、【ドラマ】「おいハンサム!!」「あなたがしてくれなくても」「あなたの恋人、強奪します。」「おいハンサム!!2」「南くんが恋人!?」【映画】「劇場版 おいしい給食Final Battle」「真・鮫島事件」「唄う六人の女」映画「おいハンサム!!」【舞台】『モダンボーイズ』『ホームレッスン』など。


【公演情報】
『劇走江戸鴉 ~チャリンコ傾奇組~』
脚本・演出:横内謙介
出演:井上瑞稀 橋本涼 武田玲奈 押田岳 富本惣昭 オレノグラフィティ
山本亨 浜中文一 山口馬木也 ほか
●10/5~27◎東京・新橋演舞場
●11/2~10◎大阪・大阪松竹座 
〈公式サイト〉https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/engeki/?performance=performance-before
 
【取材・文・撮影/五月女菜穂】

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