KAAT×Vanishing Point『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』開幕!
KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて、KAATと劇団ヴァニシング・ポイントが英国際共同制作で贈る村上春樹原作『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』が、11月28日に開幕した。
劇団ヴァニシング・ポイントは、スコットランド グラスゴーを拠点とし、25か国以上の国で、国際フェスティバルへの参加や上演を行ってきた“英国で最もユニークな劇団の1つ”(英ガーディアン誌)に評される劇団。
長塚芸術監督は文化庁海外研修制度でロンドン滞在中に偶然観劇し、彼らの作品手法に衝撃を受け、長い間共同制作の機会を模索していたが、コロナ禍を経てようやく実現した。本作はKAAT神奈川芸術劇場での上演後、2025年にスコットランド グラスゴーにて上演、その後英国ほかツアーを予定している。
本作『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』は、世界で最も著名な日本人作家である村上春樹の短編小説『品川猿』と『品川猿の告白』を原作とした幻想的なコミック・ミステリー。同種ではなく、人間の女性に恋し、思いを遂げるために、その名前を盗んでしまう叶わぬ恋の物語をベースに、他者への強制、罪と救済、記憶、そしてアイデンティティといった多層的なテーマを内包している。
物語を演じるのは、第29回読売演劇大賞で杉村春子賞を受賞し、演劇界での今後ますますの活躍が期待される那須凜をはじめ、伊達暁、田中佑弥、家納ジュンコという4人の日本人俳優。そして、劇団ヴァニシング・ポイントのクリエイティブ・アソシエイトも務め同劇団の数々の作品に出演してきたサンディ・グライアソンをはじめ、エリシア・ダリ、サム・ストップフォード、アイシャ・グッドマンと人形遣いエイリー・コーエンの5人の英国人俳優。
日英二カ国語が飛び交うダイアローグと独特な視覚的言語を用いて描く、比類のない夢のような世界。そして空間造形の中に字幕を組み込むことで、多言語での上演を可能にした新たなスタイルで観客を引き込んでいく。
《あらすじ》
ある旅行者が日本の山奥にある寂れた旅館で、温泉の番をしている猿と出会い驚愕する。そして猿が人の言葉を話すと、さらに驚いた。背中を洗ってもらいながら会話が始まり、猿は品川猿と名乗る。その後、ホテルの客室に戻りビールとスナックを楽しみながら、猿がどのようにして「人間の言葉」を習得し、ブルックナーやリヒャルト・シュトラウスの音楽を鑑賞するようになったか、そして今、衝撃的な告白をしようとしている。一方、東京では、若い女性が自分の名前を忘れ、深刻なアイデンティティの危機に陥る。そして2つの物語が絡み合う。
【コメント】
マシュー・レントン:原案・構成・演出
KAATの素晴らしいチームと、スコットランドを拠点に活動するアーティストたち、そして日本のアーティストたちと、この国際共同制作作品を演出できたことは大変光栄なことです。 そして、このような作品を創ることは野心的な取り組みです。 両国のプロデューサー、パフォーマー、デザイナー、ステージ・マネージャー、技術スタッフの協力なしには不可能だったでしょう。 また、村上春樹の物語から素晴らしいインスピレーションを得ることができました。この冒険は来年のスコットランド公演に続きます。そして願わくば、より沢山の方に作品を楽しんでいいただきたい。
【公演情報】
日英国際共同制作 KAAT×Vanishing Point
『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』
原作:村上春樹(短編「品川猿」「品川猿の告白」より)
原案・構成・演出:マシュー・レントン
出演:那須凜 サンディ・グライアソン 伊達暁 エリシア・ダリ
田中佑弥 サム・ストップフォード 家納ジュンコ アイシャ・グッドマン
エイリー・コーエン(人形遣い)
●11/28〜12/8◎KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
※11/28(木)プレビュー
〈公式サイト〉https://www.kaat.jp/d/shinagawa_monkey
【撮影・細野晋司】