きっともっと純烈のことを知りたくなります! 村上大樹インタビュー
脚本家、演出家、俳優として活動する村上大樹が、新年最初に演出を手掛ける作品『明治座新春純烈公演』が、明治座で上演中だ。(28日まで)
大学在学中に劇団「拙者ムニエル」を立ち上げ、すべての作品の脚本、演出を担い、ナンセンスでポップな笑いで小劇場界を席巻してきた村上は、近年は舞台のみならず、テレビ、ラジオなど、幅広い分野でその才能を発揮している。人気と実力を兼ね備えた歌謡コーラスグループとして、昨年は念願の武道館公演、そして7年連続7回目の紅白歌合戦への出場、と活躍を続ける純烈の明治座公演の演出を村上が手掛けるのは、2021年7月と2023年9月に続き、今回が3回目。そこで村上に、本作に臨む思いを聞いた。
エラーを全く恐れないところがすごい
──初めて純烈の明治座公演の演出を手掛けた2021年、今振り返ってみていかがでしたか。
最初はもう単純に、明治座という格式があるすごい劇場での演出なんて自分にできるのかな、と思いました。でも純烈さんが座長で、プロデューサーも若い方で、「こうじゃなきゃいけない」という決まりはなくて、みんなで「自分たちが面白いと思える公演を作ろう」という空気で作れたのはありがたかったですね。純烈のみなさんのキャラクターとか、人間性とか、舞台での魅せ方も「さすがだな」と思いましたし、一緒にやっていて純粋に楽しかったです。
──リーダーの酒井さんと村上さんは年齢も近いので、共通点も多くやりやすい部分もあったのではないでしょうか。
それはすごくあると思います。同世代ならでは、ということで言うと、前回公演に引き続き出演する今林久弥さんは、僕の1歳上の先輩でずっとお世話になっているのですが、2005年くらいからプロレスに関わり始めて、その後40歳くらいのときに俳優を辞めて、DDTというプロレス団体に裏方で所属していたんです。だから今林さんは酒井さんがDDTにプロレスラーとして出た時から繋がりがあって、純烈のライブのMCなんかもやったりしているんです。そんな今林さんが50歳になったときに「またお芝居やろうかな」と言ってるという話を聞いて、ちょうどそのとき前回の純烈公演のキャスティングをしているときだったので、酒井さんに「今林さんに出演していただくのはどうですか」と提案したら、「是非!」ということだったので出てもらっています。
──今回改めて純烈に期待するところや、やってもらいたいと思っていることがあれば教えてください。
第1部のテーマは初回からずっと一貫して、アメリカを舞台にした、恋愛要素あり、勧善懲悪ありのドタバタ劇なのですが、今回はちょっと今までとは違う「胸キュン要素」というか、純烈の4人がパパになったらどんな感じなんだろう、みたいな親子愛をテーマにしたハートウォーミングな物語なんです。多分これまで純烈が見せていない一面だと思うので、そこはチャレンジしたいなと思っています。イメージとしては、純烈版「花より男子」みたいなことをやりたいんです(笑)。F4が純烈メンバーで、つくしにあたる役どころは谷花音さん演じる娘になりますけど、優しくてかっこよくて面白い4人の「ダディ」を感じてもらえたら思っています。
──純烈というグループの魅力をどのように感じていらっしゃいますか。
一言でいうと、やっぱり「デカさ」ですね。器も、懐もデカいというか。まず体がデカいですしね(笑)。頭で考えすぎるとか、細かいことを気にし過ぎるとか、そういうことが一切ないんです。とにかくまずやってみよう精神というか、メンバー4人全員が「お客さんを楽しませよう」ということに関してすごく前向きですし、純烈というグループ自体が今までトライアンドエラーを繰り返してきているんだと思うんですけど、その上で「エラーを全く恐れない」というところはすごいな、と思います。
生の純烈を見ると一瞬で好きになっちゃう
──明治座で作る面白さや、劇場としての特徴があれば教えてください。
盆(回り舞台)があるとか、セリがあるとか、そういうすごい舞台機構は使わなきゃ損なんじゃないか、と思っちゃいますよね(笑)。小劇場出身の身からしたらそれだけでもいつもは出来ないダイナミックな演出ができるので、そこはお芝居を作る中で燃えるところでもあります。あとは劇場自体が一つのアミューズメントパークのようなお祭り感があって、お客さんが劇場に入って来たときの高揚感をさらに盛り上げるようなお芝居とかコンサートを作りたいなというふうには思います。
──第2部のコンサートの構成・演出も手がけるということで、具体的にどのようなことを担当されるのでしょうか。
僕も最初は「何をやるのかな」と思いながら引き受けたんですけど(笑)、曲を決めて、曲順を決めて、どこでMCを入れるかといった全体の構成と、セットとか照明とか曲中の演出と世界観を任せてもらっています。普段なかなかやらないことなので楽しんでやらせてもらってます。昔、ダブルラジカセで曲をダビングして、好きな曲順でオリジナルのカセットテープを作ったりしたじゃないですか。あれを純烈の曲でやっているような感覚に近いかもしれません(笑)。
──今回の世界観はどのようなコンセプトなのでしょうか。
今回は異国情緒あふれるセットを作って、そこの中で純烈が歌う感じにしようと思っています。僕たち世代が子どものときに見ていた歌番組で、時々、海外にいる歌手と衛星で中継を繋いで歌う、というようなことがあったと思うんですけど、そういうイメージから始めようかなと。前回、巨大なLEDパネルに、ただでさえ大きい純烈をさらに大きく映す、という演出をしたら結構評判が良かったんで、その辺りもさらに進化させて。明治座のお祭り感の中でどんなことをやろうかな、と考えたときに、やはりここでしか見られないもの、ということにこだわってやりたいな、と思っています。
──公演のアピールをお願いします!
僕の周囲の人たちはみんなそうなんですけど、「純烈って聞いたことはあるけどよく知らない」と思って見に来た人が、生の純烈を見るともう一瞬で好きになっちゃうんですね。それってやっぱり、テレビで見るよりも実物はめちゃくちゃデカかったとか(笑)、トークがこんなに面白いんだとか、みんながテレビで見て思っているよりも実際の純烈の方が百倍ぐらいすごいんですよね。お揃いのスーツ着て甘い歌を歌ってる、というのはほんの一面に過ぎないので、テレビでは伝えきれてない部分を、それはお芝居の形であったり、コンサートの形であったり、余すところなくたっぷりと純烈が全力でお届けするので、純烈の入門編として見ていただいても、きっともっと純烈のことを知りたくなると思います!
■PROFILE■
むらかみひろき○東京都出身。 拙者ムニエル主宰。脚本家・演出家・俳優。1994年早稲田大学在学中に拙者ムニエルを結成。ナンセンスでポップな笑いを追求。 他にも、ドラマ・ラジオの脚本など、その活動範囲は多岐にわたる。
【公演情報】
『明治座新春 純烈公演』
第1部「俺たちはダディじゃねえ!」
作:横山一真
演出:村上大樹
出演:純烈(酒井一圭 白川裕二郎 後上翔太 岩永洋昭)
谷花音 曽我廼家寛太郎
小林綾子/今林久弥 千代田信一
留依まきせ 長田拓郎 手塚学 ほか
第2部 純烈コンサート 2025「BIG♨LOVE」
構成・演出:村上大樹
●1/7〜28◎明治座
〈チケット取扱〉明治座チケットセンター 03-3666-6666 (10:00~17:00)
【インタビュー/久田絢子 撮影/中田智章】
えんぶショップでもチケット取扱中 http://enbu.shop21.makeshop.jp/