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『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』まもなく開幕! 藤山直美インタビュー

藤山直美と寺島しのぶが共演を果たす舞台『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』が2月5日から新橋演舞場で開幕する。(24日まで)
本作は伊勢の古市の妓楼・油屋を背景に女同士の友情を描く物語で、脚本家・演出家の小幡欣治が1987年に舞台化し、舞台『油屋おこん』として森光子、草笛光子によって初演。1998年には宮本信子、星由里子の顔合わせで上演され、好評を博した。
令和初となる今回の上演では、庄屋の娘で、明るく、たくましく、その愛嬌で人気遊女となるお紺を藤山直美が、村一番の美しさを誇り、村を救うために進んで妓楼に売られ、お紺と人気を競う遊女・お光を寺島しのぶが演じる。
その舞台への思いや、寺島との12年ぶりの共演について、藤山に話してもらった。

生きている人間の中に出てくる笑い

──今回のお話をいただいたときのお気持ちを聞かせてください。

この作品は、『伊勢音頭恋寝刃』を元にしたお芝居ですが、私はセーラー服を着ていた時代からずっと観させていただいてきました。それをこうして設定を少し変えて、そこに自分が息吹をかけるように演じることができることはとても幸せなことだと思っております。私も(寺島)しのぶちゃんと同じで歌舞伎俳優になりたいと思っていましたが、どうしても性別上無理だったので、こうした関わり方ができて、また、しのぶちゃんともご一緒できて、とてもうれしく思っております。しのぶちゃんとは、実は1つ共通点があって、誕生日が一緒なんですよ。なので、どんなに忙しくても、必ず年に1回、誕生日の日はコンタクトを取り合っている仲なんです。そんなしのぶちゃんと12年ぶりにお芝居をさせていただくことになり、とても楽しみです。

──寺島さんとは久々の共演ですね。すでに今回の作品についてお話しされているのですか?

まだあまり話していないんです。(取材当時は)お稽古前なので、お稽古が始まってからになるかなと思います。今、私たちは台本を字面では読んでいますが、声で聞こえてくるとまた感覚が違いますから。皆さんがそれぞれセリフとしてお話しされると、もっと立体的になるので、それも楽しみです。

──台本を読んだ今の段階では、この作品の魅力をどんなところに感じていますか?

女同士の友情の話なので、そこを楽しんでいただければと思います。しのぶちゃんが演じるお光は、私たちと村を救うために働きに行こうとします。私が演じるお紺はそれを知ってついていく。そこから物語が展開していきもちろん、その間にいろいろな事件も起きます。

──涙と笑いがたっぷりの作品になるとか。

ここで笑ってもらおうとか、ひっくり返って笑ってもらうというお話ではないですが、ストーリーの中で、生きている人間を観ていただいて、その中に笑いが出てきたらいいなと思います。

寺島しのぶ、藤山直美(製作発表会見より)

女同士の友情がしっかりと描かれている

──今回、演じられるお紺という役柄についてもお聞かせください。

しのぶちゃんのお光とは幼馴染みというお役ですが、実際の年齢は私の方が14歳ほど上です。しのぶちゃんは頭が良くて、しっかりしていらっしゃるから、14歳の差は感じることはないですが、女同士の幼馴染みの良さをお見せできたらと思います。みんなのことを思いやり、村のためにと、自分が苦労を背負って人生を生きていくことがあった時代のお話ですので、そうした昔の古き良き日本の村や、その村を思う気持ち、そして途切れない縁の強さをお見せできたらと。女同士の友情は難しいというのが世の常ですが、この作品では女同士の友情がしっかりと描かれています。ぶつかることもあるけれど、お互いに尊敬して、愛して。そうしたことを3時間弱のお芝居にまとめていければと思います。

──演じる上では、どのようなことを考えていますか?

お紺は、17歳の役なんですよ。年齢はお話の中で変わっていくのですが、でも、17歳というのは大変なことです。それから、貧しい村、妓楼の油屋の栄えているところ、お金を持っている人、売れている遊女、売れていない遊女、それぞれのポジションでその立場に見えるかが大事だと考えています。ボロボロの衣裳を着ているからといって乞食だということではないんです。なので、それぞれが自分の人物像をしっかりと作り上げ、それぞれの役割を果たさないとお芝居が進まない。案外、難しいお芝居だと思います。

──寺島さんとはこれまでも何度も共演されていますが、寺島さんの魅力は?

やっぱり華がありますよね。役者は華がないとダメですが、しのぶちゃんはオーラも華もあります。大好きな役者さんで、うちの家族一同、寺島しのぶ応援団なんです。いろいろな役を演じていますが、ブレないんですよ。やっぱり戻ってくるところは、音羽屋さんです。歌舞伎俳優ではないけれども音羽屋の匂いがするように思います。私にとって憧れですし、ずっと観ていても飽きない方です。こうして一緒にお芝居をさせてもらえることを喜んでいます。

──本作の演出は、浅香哲哉さんが務めます。

ずっとご一緒させていただいている方なので、信頼関係があります。とても柔軟な考えを持っていらっしゃって、頑なに「ダメです」ということはなく、柔軟性を持って見てくださるので、喜劇の役者からしたらすごくやりやすいです。喜劇って発想が命なんですよ。昨日は思い付かなかった面白いことを、突然パッと思いつくことがある。そうしたら「変えていいですか?」となるわけです。浅香さんは、それに乗ってくれる方です。ただ、もちろんダメなときは、「前の方がいいです」と言ってくださるので、信頼できます。

昔の風情を残したお芝居だからこそ

──ところで、本作では女同士の友情を描いていますが、藤山さんご自身は「女の友情」に対して、どのような思いがありますか?

女同士の友情は、ずっとあると思います。私も中学校のときからの友達と、今でも繋がっています。この間も新年会をしたんですよ。

──そうして繋がり続ける秘訣があるのですか?

やっぱり相性だと思います。例えば、家庭の事情で引っ越しをすることもあるでしょうし、いろいろなことがありますが、縁がずっと繋がっているんでしょうね。私とその友達たちは、南座の顔見世で出待ちしていた仲間たちなんです。市村羽左衛門さんが劇場に入るときに、「う~ちゃ~ん!」って言って。私は猿之助さんのファンでしたから、歌舞伎座で猿之助さんを待っている。そうやってみんなで待っていたんです。それが楽しかったんですよね。今ではなかなか一緒に歌舞伎を観に行くことはないですが、「昔は楽しかったね」という話をよくしています。

──好きなものが同じだからこそ、話も合いますよね。

全員が歌舞伎に詳しいですからね。だから、「忠臣蔵の通しはよかったよね」とか、そうした話で今でも盛り上がるんです。どんどん歳を取って、みんな孫ができて、その孫たちを私たちが卒業した学校に入れたいという話をしたり、「中性脂肪の数値は…」「薬は何を飲んでいるの?」なんて話にもなってきます。今、私たちの年代は親の話も多いです。「デイサービス行ってるの?」とか。でも、それも楽しんでいます。

──そうした長く続く友達との関係は、生きていく上での楽しみの一つでもありますね。最後に改めて読者の方にメッセージをお願いいたします。

なかなかこうしたお芝居は、どの劇場にもかからなくなってきていると思います。古典でもあり、解釈が新しくもあり、テンポもリズムもあるけれど、昔の風情を残したお芝居なので、きていただいたら一瞬でその時代に入っていただけると思います。

【公演情報】
舞台『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』
作:小幡欣治
脚本・演出:浅香哲哉
出演:藤山直美 寺島しのぶ 他
●2/5〜24◎新橋演舞場
〈公式サイト〉https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202602_enbujo/

 
【取材・文/嶋田真己 写真提供/©松竹】